国連、イスラエルの攻撃を非難 アル・ジャジーラ記者らを狙って殺害

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ルース・カマーフォード、BBCニュース
パレスチナ・ガザ市でジャーナリスト6人を含む7人を殺害した、標的を絞ったイスラエルの攻撃について、国連の人権高等弁務官事務所(OHCHR)は11日、重大な国際法違反だと非難した。
イスラエル軍の10日の空爆では、カタールの衛星放送局アル・ジャジーラのアナス・アル・シャリフ記者ら同局のジャーナリスト5人が殺害された。さらに、フリーのジャーナリストと、もう1人も殺されたと、同局は伝えている。
イスラエル軍は、シャリフ記者を狙った攻撃だったと説明し、証拠をほとんど示すことなく、同記者が「(イスラム組織)ハマスのテロ小集団のリーダーを務めていた」と主張した。シャリフ記者は生前、こうした見方を否定していた。
BBCは、シャリフ記者が今回の紛争の前に、ハマスのメディアチームとガザで仕事をしていたとの情報を得ている。
同記者は生前、ソーシャルメディアへの投稿でハマスを批判していた。
この攻撃については、メディアの権利団体やカタールなどの国々が非難している。
イギリスのキア・スターマー首相の報道官は、同国政府が「深刻な懸念」を抱いており、独立調査を求めると記者団に説明。イスラエルについて、ジャーナリストが安全に仕事をし、恐れることなく報道できるようにすべきだとした。
ガザ市内に張られていた報道用テントを標的とした今回の攻撃では、アル・ジャジーラの記者のシャリフ氏、モハメド・クレイケ氏、カメラマンのイブラヒム・ザヘル氏、モハメド・ヌーファル氏、モアメン・アリワ氏が殺害された。5人の葬儀は11日に執り行われた。
ロイター通信によると、モハマド・アル・ハルディ氏が、この攻撃で死亡した6人目のジャーナリストになったと、アル・シファ病院が明らかにした。ほかに、もう1人が殺害されたという。
ガザ市内の通りはこの日、記者らの葬儀に集まった群衆でごった返した。シャリフ氏は、インターネット上で何百万人ものフォロワーがいる有名人だった。
メディアの自由のために活動する団体「国境なき記者団」は、シャリフ氏の暗殺を強く非難した。
「外国人記者協会」も、記者を標的とした殺害に強い憤りを表明。イスラエル軍について、パレスチナ人ジャーナリストを「しばしば検証可能な証拠を示さずに、戦闘員だと」決めつけてきたとした。
「ジャーナリスト保護委員会(CPJ)」は、この攻撃に衝撃を受けているとし、イスラエルはシャリフ氏に対する見方を裏付ける証拠を提示していなかったと批判。「イスラエルは長年にわたり、信頼できる証拠を示すことなく、ジャーナリストをテロリストだと非難してきた」とした。
一方、イスラエル軍は、シャリフ氏がハマスに所属していたことを示す文書をガザで発見したとしている。その中には、「人員名簿、テロリスト養成コースのリスト、電話帳、給与書類」などが含まれているという。
イスラエル軍は、ガザ地区北部のハマス戦闘員のリストとみられる、けがについての記載があるスプレッドシートのスクリーンショットと、ハマスの東ジャバリア大隊の電話帳とされる一部だけを公開した。
BBCは、これらの文書を独自に検証できていない。また、シャリフ氏が現在の戦争に関与していることや、ハマスの現役メンバーであることを示す証拠も確認していない。
アル・ジャジーラの報道チーム全員を殺害したことについて、イスラエルはこれまで何の説明もしていない。
CPJによると、イスラエルがガザで軍事攻撃を開始した2023年10月以降、少なくとも186人のジャーナリストが殺害されている。
OHCHRは、「イスラエルは、ジャーナリストを含むすべての民間人を尊重し、保護しなければならない」とXに投稿。「すべてのジャーナリストが即時に、安全かつ妨害されることなくガザで取材できるようになることを求める」とした。
先月、BBCと他の3報道機関(ロイター通信、AP通信、AFP通信)は共同声明で、ガザ地区のジャーナリストらに関する「非常に切迫した懸念」を表明。ジャーナリストらが自らと家族の食べ物を確保するのがどんどん困難になっているとした。
イスラエル政府は、BBCなどの国際報道機関がガザに入り自由に取材することを認めていない。そのため、多くの報道機関はガザを拠点とする記者を頼りに現地について報じている。
栄養不良でさらに5人死亡
一方、ハマスが運営する保健当局は、過去24時間でさらに5人が、栄養不良で死亡したと発表した。うち1人は子どもだという。
保健当局によると、これで栄養不良による死者は222人に上っている。うち、子どもは101人。
国連の人道支援機関は8日、ガザに入る支援物資の量は「人々の多大なニーズを満たすのに必要な最低限をはるかに下回る」状態が続いていると述べた。国連が支援する世界的な食料安全保障の専門家らは先月、「飢饉(ききん)という最悪のシナリオが進行中だ」と警告した。
イスラエルは、ガザでの飢餓を否定し続けている。そして、国連機関が境界付近で支援物資を引き取らず、運んでいないと非難している。
国連の人道支援機関は、イスラエルが支配する境界地帯から支援物資を引き取る際に、障害や遅れが見られ続けているとしている。
イスラエルは、2023年10月7日のハマス主導のイスラエル南部への攻撃で、約1200人が殺害され、251人が人質に取られたの受け、現在まで続く攻撃を開始した。
ガザ保健当局によると、それ以来、イスラエルの軍事作戦によって、ガザでは6万1430人が殺害された。












