ガザ市の子ども5人に1人が栄養不良、国連機関が警告

病棟と思われる場所で、青いスカーフを頭に巻いた女性が、明らかに栄養不良の赤ちゃんを抱いている。奥のベッドにも、栄養不良の赤ちゃんが横たわっている
画像説明, 国連は、ガザの飢餓危機は「かつてないほど悲惨」だと警告している

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は24日、パレスチナ・ガザ地区のガザ市に住む子どもの5人に1人が栄養不良に陥っており、その数は日々増加していると警告した。

UNRWAのフィリップ・ラザリーニ事務局長は声明の中で、「ガザの人々は生きているとも死んでいるとも言えない。まるで歩く死体のようだ」との現地職員の言葉を紹介した。

一方、ガザ地区への物資搬入を管理しているイスラエル政府は、搬入を妨げる包囲は行っていないと主張し、栄養不良の責任はイスラム組織ハマスにあると非難している。

しかし国連は、ガザ地区に届いている支援物資は「わずかな流入にすぎない」と警告。同地域の飢餓危機は「これまでにないほど深刻だ」との見解を示した。

ラザリーニ事務局長は、「報告によれば、100人以上が飢餓で死亡しており、その大半は子どもだ」と述べた。

さらに、「我々のチームが目にしている子どもたちの多くは、やせ細り、衰弱し、緊急の治療を受けなければ命の危険がある」として、イスラエルに対し、「人道支援団体が制限なく、途切れることなく支援物資をガザに届けられるようにするべきだ」と訴えた。

世界保健機関(WHO)も23日、ガザの住民の多くが「飢えている」との見解を示している。

WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は、「これを集団飢餓と呼ばずして何と呼ぶのか。しかもこれは人為的なものだ」と述べた。

動画説明, 小麦粉を手に入れ歓喜するガザの家族、動画が拡散 深刻な食料不足で「集団飢餓」拡大と援助団体

ガザ北部に住むハナア・アルマドウンさん(40)は、現地の市場では食料や生活必需品がほとんど手に入らない状況が続いていると訴えた。

アルマドウンさんはBBCに対し、メッセージアプリ「ワッツアップ」を通じて、「もし物資があったとしても、庶民には到底手が出ないほど高額だ」と語った。

特に小麦粉は入手困難で、人々はそのために「金や私物を売っている」という。

3人の子どもを育てる母親であるアルマドウンさんは、人々は「何か食べられるもの」を探しており、「毎日が新たな試練だ」と話した。

「自分の目で、子どもたちがごみの中から残飯を探しているのを見た」

こうしたなか、23日にガザを訪問したイスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領は、イスラエルは「国際法にのっとって」人道支援を提供していると主張した。

しかし、ガザで支援活動を行うタハニ・シャハダさんは、「人々は1時間ずつ生き延びようとしている」と、現地の厳しい状況を訴えた。

「料理やシャワーのような単純なことさえ、今ではぜいたくになっている」

「私には8カ月の赤ちゃんがいるが、その子は新鮮な果物の味を知らない」

生後8カ月の赤ちゃんが、おもちゃのシャベルを持ちながら、赤い肘掛け椅子に座っている

画像提供, Tahani Shehada

画像説明, タハニ・シャハダさんの子どもは、新鮮な果物を食べたことがないという

イスラエルは、2カ月間の停戦が終了した2025年3月初旬にガザへの支援物資搬入を阻止した。約2カ月後に封鎖は一部緩和されたが、食料、燃料、医薬品の不足はさらに深刻化している。

イスラエルとアメリカは、新たな支援態勢として「ガザ人道財団(GHF)」を設立した。

国連人権高等弁務官事務所によると、食料支援を求める中でイスラエル軍によって殺害されたパレスチナ人は、過去2カ月間で1000人を超えているという。

このうち少なくとも766人は、GHFが設置した4カ所の配給センター周辺で死亡した。これらのセンターはアメリカの民間警備会社によって運営され、イスラエル軍の管理区域内に位置している。

また、国連やその他の支援団体による支援車列の周辺でも、288人の死亡が報告されている。

イスラエル政府は、支援拠点周辺の混乱はハマスによって引き起こされたものだと主張。自国の兵士は警告射撃のみを行っており、民間人を意図的に狙ってはいないとしている。

GHFも、国連が引用している死者数は、「ハマスが運営するガザ保健省による虚偽の数字だ」と反論している。

白いスカーフを頭に巻き、黒い服を着た女性が、赤ちゃんを抱いている
画像説明, 19歳のナジャさんは、援助物資の配布場所に行くことを恐れている

ガザの病院に避難している19歳のナジャさんは、支援物資の配給所に向かえば「撃たれるのではないか」との恐怖を抱いていると語った。

夫を亡くしたナジャさんはBBCに対し、「配給所には何か食料があると思っている。食べ物も飲み物もなく、飢えで死にそうだ。私たちはテントで暮らしている。もう限界だ」と訴えた。

ガザで英医療慈善団体の活動をしているアシール医師は、飢饉は近づいているのではなく、もうここにあると説明。「夫は一度、二度と(支援物資の配給所に)行ったが、撃たれてしまった。それで終わりだった」と語った。

「飢えで死ぬならそうなるまでだ。支援への道は死への道だ」

市場で商売をしているアブ・アラアさんは、自分も子どもたちも「毎晩、空腹のまま眠りについている」と話した。

「私たちは生きていない。死んでいる。世界中に助けを求めている」

また、3人目の子どもを妊娠中で、現在妊娠8カ月のワラア・ファティさんは、「ガザの人々は、誰も想像しなかったような大惨事と飢饉を経験している」と語った。

ガザ中部デイル・アル・バラフにいるファティさんは、BBCに対し、「このような厳しい状況の中で出産しないで済むよう、赤ちゃんがまだお腹の中にいたままでいることを願っている」と述べた。