タイのタクシン元首相に禁錮1年の有罪判決 過去に刑期を病院で過ごしたためと

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タイの最高裁判所は9日、タクシン・シナワット元首相に禁錮刑1年の有罪判決を下した。同国政界に影響力のあるシナワット一族にとって、新たな打撃となった。
この決定は、タクシン氏が汚職で複数年の禁錮刑を言い渡された過去の事件に関連している。この時、同氏は刑務所の独房で1日未満しか過ごさず、そのまま病院へ移送された。
最高裁はこの日、この移送が違法であると判断。76歳のタクシン氏は刑務所で刑期を務めなければならないとした。
タクシン氏とその一族は、2001年に同氏が首相に初めて選出されて以来、タイの政治を支配してきた。娘のペートンタン氏も最近まで首相を務めていたが、カンボジアの強権的な指導者フン・セン氏との私的な電話の音声が流出したことを受けて、8月に解任されたばかりだ。
タクシン氏は、判決が発表された直後にソーシャルメディアで声明を発表し、「たとえ身体の自由を失っても、国と国民のために思考の自由は持ち続ける」と述べた。
また、タイ王室とタイ国家、国民に奉仕するための力を維持すると誓った。
同氏は2006年に軍事クーデターによって首相の座を追われ、その後、主にドバイでの事実上の亡命生活を数年間送った。
2023年にタイへ帰国した際、同氏は直ちに裁判にかけられ、在任中の汚職と権力乱用の罪で有罪判決を受け、禁錮8年の刑を言い渡された。
しかし、タクシン氏は刑務所の独房で数時間過ごした後、心臓の不調を訴え、タイ警察総合病院の高級病棟へ移送された。
その後、王室に恩赦を求める嘆願を行い、国王によって刑期は1年に減刑された。
タクシン氏は病院に6カ月間滞在し、その後、仮釈放を受けてバンコクの自宅へ移った。
最高裁判所の判事は9日、声明の中で、タクシン氏が「自身が重篤または緊急の状態ではないことを認識していた、あるいは認識できたはずだ」と述べた。
判事は、タクシン氏に慢性的な基礎疾患があったことを認めつつも、外来治療が可能であったとし、病院での滞在は違法であるとの判断を示した。

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タイではこの事件は、タクシン氏が滞在していた病院の階数にちなみ「14階事件」として知られ、厳しい精査の対象となっている。
事件の扱いについては、多くのタイ国民から批判が寄せられており、裕福で権力を持つ者が特別待遇を受けることが多いと指摘されている。
9日の判決以前から、多くの人々がタクシン氏の動向を注視していた。
同氏は先週、プライベートジェットでタイを出国し、ドバイへ向かった。そこで医療を受ける意向を示し、ソーシャルメディアでは裁判のために帰国する予定だと述べていた。
タクシン氏は9日、バンコクの裁判所にペートンタン氏と共に姿を現し、笑顔でメディアや支持者らに挨拶した。タクシン氏は、タイ王室を象徴する黄色のネクタイを着用していた。
判決後、ペートンタン氏は記者団に対し、父親のことを「心配している」と述べたが、父親と家族は「元気な様子だった」と語った。
また、一族のタイ貢献党を、野党として引き続き前進させていく意向を示した。

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タイ政治の混乱
タクシン氏の事件は、タイ国内の政治的混乱の最中に発生した。この日の判決は、シナワット一族およびタイ貢献党の運命が変化していることを示す新たな兆候となっている。
「14階事件」は、タクシン氏が最近直面した唯一の事件ではない。
同氏はタイ国王を侮辱したとして別件で告発されていたが、、裁判所は先月、不敬罪について無罪判決を下した。
一方、ペートンタン氏は、フン・セン氏がタイとカンボジアの国境紛争に関する電話の内容を漏洩したことで、論争に巻き込まれた。その通話の中で、ペートンタン氏がフン・セン氏を「おじさん」と呼んでいたことが確認されている。
その後、憲法裁判所は同氏が職務に求められる倫理基準に違反していたと認定し、同氏は解任された。
タイ議会は5日、アヌティン・チャーンウィラクン氏を新たな首相に選出した。同氏は過去2年間で3人目の首相となる。
アヌティン氏率いるタイ名誉党は、タイ貢献党が主導する連立から離脱した後、議会内で他党から十分な支持を得て首相職を獲得した。











