ゼレンスキー氏、ウクライナ抜きの和平合意は「受け入れない」 米ロの交渉開始合意受け

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領

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ドナルド・トランプ米大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、ウクライナでの戦争終結の交渉を開始することで合意したことについて、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は13日、自国抜きでアメリカとロシアが和平合意を結ぶことは受け入れないと警告した。

「我々は独立国として、それを受け入れることはできない」と、ゼレンスキー氏は述べた。

動画説明, ウクライナ戦争、トランプ氏の関与でどうなるのか 大混乱から何が生まれるのか

トランプ氏は12日、プーチン氏との電話協議の後、戦争終結の実現について「かなりの可能性」があると表明した。一方で、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟するのは「現実的」ではないとした。また、ウクライナが、同国南部クリミアをロシアに一方的に併合された2014年以前の国境に戻れる「可能性は低い」とも述べた。

トランプ氏は、ドイツ・ミュンヘンで14日から開かれる安全保障会議で、ロシア代表団がアメリカ側と面会する可能性を示した。

「ロシアは我々の代表と共にそこにいる」とトランプ氏は述べた。「ちなみに、ウクライナも招待されている。どの国から誰が来るのか正確にはわからないが、ロシア、ウクライナ、そしてアメリカから、ハイレベルの代表がやってくる」。

「私は(ロシア代表団に)戻って来てもらいたい。彼らを追い出したのは間違いだったと思う。いいか、ロシアが好きか嫌いかという問題ではないんだ」

安保会議に招かれていないロシアは、トランプ氏の主張について即座にはコメントしていない。

米の支援と欧の関与必要とウクライナ

ウクライナ大統領顧問のドミトロ・リトヴィン氏は、「ミュンヘンでロシア側との協議」は想定されていないと記者団に語った。

ゼレンスキー氏は14日にミュンヘンで、J・D・ヴァンス米副大統領と面会する予定。

ゼレンスキー氏は12日に、トランプ氏と電話で協議している。

ウクライナは「自国抜きで(結ばれた)いかなる合意」も受け入れることはできないと、ゼレンスキー氏は述べた。

「欧州諸国も交渉のテーブルにつく必要がある」とし、ウクライナ側の優先事項は「安全保障」だとトランプ氏に訴えた。ゼレンスキー氏は、アメリカの支援なしに安全保障は実現しないとしている。

ゼレンスキー氏は、ウクライナのNATO加盟は、パートナー国にとって「最も費用対効果の高い」選択肢になるとも述べたが、詳細は明らかにしなかった。

そして、「私はまた、戦争を終わらせる用意があるという(プーチン氏の)主張を信用しないよう、世界各国の指導者たちに警告する」と付け加えた。

欧州諸国の反応

ウクライナを支援する欧州諸国も、ウクライナ政府に強制的な解決を迫る動きを一蹴している。

イギリスのジョン・ヒーリー国防相は、「ウクライナ抜きで、ウクライナに関する交渉はあり得ない。どのような交渉でも、その中心にウクライナの声がなければならない」と述べた。

ドイツのオラフ・ショルツ首相は、「独裁的な和平」を拒否するとした。ドイツのボリス・ピストリウス国防相は、米政府がすでにロシア政府に「譲歩」していることを「遺憾」に思うと述べた。

欧州連合(EU)のカヤ・カッラス外務・安全保障政策上級代表は、アメリカ政府がロシアに対して「宥和(ゆうわ)的」になっていると非難した。

「交渉が始まってもいないのに、(交渉の)テーブルから何も取り下げるべきではない。なぜならそれは、ロシアの機嫌を取ることになるからだ。彼らはそれを望んでいる」

アメリカは何と

ドナルド・トランプ米大統領

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画像説明, トランプ氏は、そう遠くない将来にプーチン氏とサウジアラビアで会う可能性が高いとしている

トランプ氏は12日、2022年にロシアがウクライナ全面侵攻を開始してから初めて、プーチン氏と電話で協議したことを公に認めた。詳細は明かさなかったが、そう遠くない将来にプーチン氏とサウジアラビアで会うつもりだと述べた。

トランプ氏は電話協議後、大統領執務室で記者団に応じた際、プーチン氏は戦争の終結を望んでいるとし、間もなく停戦が実現することを期待していると述べた。

和平プロセスにおいて、ウクライナは対等なメンバーかどうか質問がおよぶと、「彼らは和平を実現しなければならない」とトランプ氏は答えた。

ピート・ヘグセス米国防長官は13日、ベルギー・ブリュッセルで開かれたNATO国防相会合の記者会見で、和平交渉はプーチン氏とゼレンスキー氏の「両者と」行われるとし、トランプ氏は「完璧な交渉役」だと述べた。

ヘグセス氏は前日に、ウクライナがクリミア併合以前の国境に戻ることは「非現実的」で、ウクライナのNATO加盟の可能性は小さいと述べていたが、その発言を後退させたようだ。同氏は、「あらゆることが(交渉の)テーブルの上にある」とし、トランプ氏が交渉を主導していると述べた。

ヘグセス氏はまた、交渉中の対ウクライナ財政援助や、欧州に駐留する米兵の規模についても、交渉のテーブルの上にある可能性を示唆した。

ウクライナにおけるロシア軍の占領範囲を示した地図

ロシアは2014年3月、ウクライナ南部クリミアを一方的に併合。その後、ウクライナ東部で活動する、親ロシア派のウクライナ反政府勢力を支援するようになった。

両国間の衝突と緊張は何年も続いた。そして2022年2月にロシアがウクライナに侵攻し、全面戦争に突入した。

首都キーウの掌握というロシアの試みは阻止されたが、ロシア軍はウクライナ東部と南部の約5分の1の領土を占領し、ウクライナ各地に空爆を行っている。

一方のウクライナ軍は、ドローン(無人機)攻撃や、ロシア・クルスク州に越境攻撃を仕掛け、対抗している。

ロシアとウクライナはいずれも、秘密保持を徹底しているため、死傷者数を正確に把握するのは難しいが、これまでに数十万人の兵士や民間人が死傷したと推定されている。