ヘグセス米国防長官、NATO加盟国に強硬姿勢 ウクライナ支援で負担増求める

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アレックス・テリエン、フランク・ガードナー安全保障担当編集委員
アメリカのピート・ヘグセス国防長官は12日、ヨーロッパ諸国がウクライナへの資金提供の「圧倒的な」割合を負担すべきだと述べた。ウクライナでの戦争に対する、アメリカの劇的な立場の変化を示唆した。
ベルギー・ブリュッセルで開催された会合「ウクライナ防衛コンタクトグループ」でヘグセス氏は、アメリカは同盟国との「不均衡な関係」をこれ以上容認しないと発言。北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対し、防衛費の大幅な増額を求めた。
また、ウクライナが2014年以前の国境に戻ることは「非現実的」だとし、ウクライナのNATO加盟の可能性は小さいとした。
ドナルド・トランプ米大統領は同日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と「長時間」の電話会談を行い、戦争を終わらせるための交渉を開始することで合意した。
ヘグセス氏の発言は、トランプ政権のウクライナ戦争に対する立場と、紛争を終わらせるための和平計画がどのようなものになるかを最も明確に示している。
ヘグセス氏が示した立場は、NATO加盟を繰り返し求め、和平合意の一環として領土を譲渡することを拒否してきたウクライナに失望をもたらす一方で、ロシアには歓迎されるだろう。
また、ヘグセス氏がアメリカのウクライナ支援を大幅に縮小し、ヨーロッパ諸国が今後「圧倒的な」割合の援助をウクライナに提供する必要があると主張したことで、欧州大陸全体に緊張が走るだろう。
ヘグセス氏の発言があった「ウクライナ防衛コンタクトグループ」には今回、ウクライナと同盟関係にある40カ国以上が参加した。
ヘグセス氏は、「私たちも皆さんと同じように、主権と繁栄を持つウクライナを望んでいる」と話した。
そのうえで、「しかし、ウクライナが2014年以前の国境に戻ることは非現実的な目標であることを認識しなければならない」、「この幻想的な目標を追い求めることは、戦争を長引かせ、さらなる苦しみをもたらすだけだ」と述べた。
ロシアは2014年3月にクリミア半島を不当に併合。その後、ウクライナ東部で武装蜂起している親ロシア派分離主義者を支援した。
ロシアは現在、ウクライナ領土の約5分の1を支配しており、その範囲は主に東部と南部に集中している。

ヘグセス氏は、持続可能な平和には「戦争が再び始まらないようにするための、強固な安全保障の保証」が必要だと述べた。
一方で、「アメリカはウクライナのNATO加盟が、交渉による解決の現実的な結論になるとは考えていない」とも述べ、安全保障の保証は「有能なヨーロッパおよび非ヨーロッパの部隊」によって支えられるべきだとした。
また、「これらの部隊がウクライナに平和維持軍として派遣される場合、それはNATOの任務の一部としてではなく、NATO条約第5条の適用外であるべきだ」と主張した。
NATOの北大西洋条約第5条では、加盟国に対する武力攻撃は全加盟国への攻撃と見なし、防衛に協力すると定めている。
ヘグセス氏はまた、欧州のNATO加盟国がウクライナ支援の大部分を提供する必要があると述べ、アメリカは「不均衡な関係」をこれ以上容認しないと警告した。
さらに、「ヨーロッパの安全保障を守ることは、NATOのヨーロッパ加盟国にとって不可欠であるべきだ」とし、「ヨーロッパは今後、ウクライナに殺傷力をもたらす援助ともたらさない援助の両方について、圧倒的な割合を提供しなければならない」とした。
アメリカはウクライナに対する最大の財政および軍事支援国だが、トランプ大統領はアメリカの援助支出を繰り返し批判し、自分の優先事項は戦争を終わらせることだと述べている。この戦争は、2022年2月にロシアの全面侵攻によって激化した。
ヘグセス氏は、NATO同盟国に対して防衛費を国内総生産(GDP)の5%に引き上げるよう求めるトランプ氏の呼びかけを繰り返すとともに、現在の2%の目標では「不十分」だと述べた。
アメリカは現在、GDPの約3.4%を防衛費に費やしており、イギリスは約2.3%。ロシアに近いポーランドやバルト諸国が欧州では最も高く、約4%を費やしている。

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アメリカのジョー・バイデン前政権が提供していた規模の支援がなければ、ウクライナがロシアの進軍を食い止めるのは難しいだろう。
ロシアは紛争で多くの兵士を失っているが、同国の指揮官たちはウクライナの前線に全力を投じる準備ができている。
また、世界中の軍事力を比較する年次報告書「ミリタリー・バランス」によると、ロシアは現在、ヨーロッパ各国を合わせたよりも多くの防衛費を支出している。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は今週初め、ロシアとの和平交渉に応じる準備ができているが、自国が「強い立場」から交渉することを望んでいると述べた。
英紙ガーディアンに対してゼレンスキー大統領は、トランプ氏がウクライナとロシアを交渉の場に着かせることができれば、ウクライナはロシアに対して領土交換を提案する予定だと述べた。これは、ウクライナが6カ月前の奇襲攻撃以来、ロシアのクルスク州で保持している土地を放棄することを意味する。
「我々は一つの領土を別の領土と交換する」とゼレンスキー氏は述べたが、ロシアに占領されているどの部分をウクライナが要求するかはまだ分からないと付け加えた。
ゼレンスキー氏はまた、ウクライナ再建のための有利な契約をアメリカ企業に提供する意向を示し、トランプ氏を味方につけようとしているようだ。両者は昨年11月、トランプ氏の選挙勝利後に話し合いをもっている。
ゼレンスキー氏は、次期大統領だったトランプ氏と「建設的な意見交換」を行い、トランプ氏が大統領に就任すればロシアとの戦争が「より早く」終わると確信していると述べた。
しかし米民主党は、トランプ氏がプーチン大統領に寄りすぎていると非難。トランプ氏のこの戦争へのアプローチは、ウクライナにとって降伏に等しく、ヨーロッパ全体を危険にさらすと主張している。
双方が受け入れられるような外交的解決策がすぐに見つかるかどうかも不透明なままだ。











