トランプ氏、イスラエル首相によるヨルダン川西岸併合は「認めない」

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アメリカのドナルド・トランプ大統領は25日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相によるパレスチナ・ヨルダン川西岸地区の併合は「認めない」と表明した。
ネタニヤフ首相が26日に国連総会で演説するのを前に、トランプ氏はホワイトハウスの大統領執務室で記者団の取材に応じた。その中で、「イスラエルがヨルダン川西岸地区を併合するのは認めない。(中略)そんなことは起こらない」と述べた。
トランプ氏はまた、ネタニヤフ氏をはじめとする中東諸国の指導者たちと話をしたと明らかにし、パレスチナ・ガザ地区での戦争をめぐる「合意、そして平和の実現にも、かなり近づいている」とした。
トランプ氏は29日にネタニヤフ氏と会談する予定。
トランプ氏は23日に国連で、アラブ地域やイスラム圏の主要国の指導者と会談。これらの国々から、イスラエルが併合への動きを進めた場合の影響について警告を受けた。
サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハン外相は、「米大統領は、ヨルダン川西岸の併合がもたらすリスクと危険性を十分に理解していると思う」と記者団に語った。
イスラエルに対しては、イスラム組織ハマスとのガザでの戦争と、ヨルダン川西岸の占領をやめるよう、国際的な圧力が高まっている。西側諸国は、独立したパレスチナ国家の正式承認を次々に表明している。イスラエルの極右勢力は、併合こそが、この流れを阻止する手段だと考えている。
ネタニヤフ氏率いる連立政権の超国家主義者たちは、パレスチナの一部であるヨルダン川西岸をイスラエルが併合すべきだと繰り返し主張している。
イギリスとドイツは、併合に踏み切らないようイスラエルに警告したとしている。一方、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は22日、ガザの現状が「道義的にも法的にも政治的にも容認できない」ものだと述べた。
こうした中、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長は25日、国連総会でビデオ演説し、フランスが22日に発表したイスラエルとパレスチナの和平計画の実行のため、世界の指導者らと協力する準備があると述べた。
アッバス氏は先月、他のパレスチナ自治政府関係者80人とともに米国務省からビザ(査証)を取り消された。そのため、国連本部のあるニューヨークを訪れることができない。
アッバス氏は演説で、最近パレスチナ国家を承認した国々に感謝の意を表した。21日のカナダ、オーストラリア、イギリス、ポルトガルに続き、フランス、ベルギー、ルクセンブルク、マルタ、モナコ、サンマリノ、アンドラ、デンマークも承認した。
アメリカは、ハマスにほうびを与えることになるとして、パレスチナ国家の承認に反対している。
アッバス氏は、将来のガザ地区の統治については、イスラム組織ハマスが担う役割はないと言明。ハマスには武装解除を求めるとした。
また、イスラエルの撤退後、パレスチナ国家がガザ地区の「全責任」を負い、イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区と連結されることを求めた。これらは、アラブ諸国とその他の国々の支援によって行われるとした。
西岸地区とヨルダンとの検問所を閉鎖
イスラエルは24日朝、ヨルダン川西岸と隣国ヨルダンを結ぶ唯一の検問所を閉鎖した。これにより、200万人以上のパレスチナ人が外部とのアクセスを遮断された。
この閉鎖は、数日前にヨルダン人の銃撃犯が検問所付近でイスラエル兵2人を射殺した事件を受けた措置。銃撃犯は現場で射殺された。
ガザ北部では23日夜から24日にかけてイスラエル軍の攻撃があり、女性や子どもを含む80人以上のパレスチナ人が殺害されたと、病院関係者が明らかにした。死者の大半はガザ市で犠牲になったという。
ハマスは2023年10月7日にイスラエルを攻撃し、約1200人を殺害、251人を人質として拘束した。これを受けたイスラエルの攻撃により、これまでに少なくとも6万5419人のパレスチナ人が殺害されたと、ハマスが運営するガザ保健省は発表している。このうち1万8000人は子どもだという。
国連が支援する総合的食料安全保障レベル分類(IPC)は8月、ガザ全域で50万人以上が「飢餓、困窮、死」によって特徴づけられる「壊滅的」な状況に直面しているとの報告書を公表した。一方でネタニヤフ氏は、ガザで飢餓は起きていないと繰り返し否定している。
国連人権理事会の調査委員会は今月16日、イスラエルがガザのパレスチナ人に対してジェノサイド(集団殺害)を行っていると結論付ける報告書を公表した。イスラエル外務省はこの報告書を断固として拒否し、「歪曲(わいきょく)された虚偽の文書」だと批判した。
ガザでの戦争とヨルダン川西岸の占領をめぐる、イスラエルに対する国際的圧力は、ますます強まっている。
パレスチナ国家を承認する国が増える中、欧州委員会はイスラエルとの貿易を制限し、イスラエル政府の極右閣僚に制裁を科す計画を提案している。採択されれば、ガザでの戦争をめぐる欧州連合(EU)の最も厳しい対応となる。
25日には、米マイクロソフトがイスラエル国防省の部局に対するサービスの一部を停止した。このサービスがイスラエルによって、ガザ住民の大規模監視に利用されていたことが、内部調査で判明したためだという。
ネタニヤフ氏は、イスラエルは「自給自足」の能力を一層高めるべきだと呼びかけている。











