ネタニヤフ首相、カタールによる仲介を「問題」と発言か カタールは「無責任」と非難

画像提供, Reuters
パレスチナ自治区ガザ地区でのイスラエルとイスラム組織ハマスの戦いをめぐり、カタールが仲介役を務めていることについて、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が「問題だ」と発言したとされる録音が浮上した。カタールは「がくぜんとしている」とし、ネタニヤフ氏を非難している。
ガザでは人道危機が深刻化している。一方、イスラエルでは政府が、人質解放を求める国内圧力にさらされている。
そうしたなか、カタールは数週間にわたり、新たな戦闘停止の仲介に努めている。
こうした状況で、イスラエルのテレビ局チャンネル12は23日、ネタニヤフ氏が人質の家族に話をしている様子だとする録音を公開した。
ネタニヤフ氏とされる人物は、「私がカタールに感謝するのを聞いたことがないでしょう。気づいてましたか?」と語りかけ、次のように続けている。
「なぜか? 私にとっては国連や赤十字と本質的に変わらないからだ。ある意味、もっと問題だ。私は幻想を抱いてはいない」
「だが、(人質の)帰国を手助けしてくれるなら、どんな人でも今すぐ利用する用意がある」
イスラエルはこれまで、国連や赤十字について、人質の支援や解放に向けて十分な活動をしていないと非難している。
ネタニヤフ氏とされる人物はまた、カタールが仲介役を果たせるのは、ハマスへの「影響力」をもっているからだと発言。
「なぜ影響力があるのか? 資金を提供しているからだ」と述べている。
「無責任だが驚きではない」
カタール外務省のマジェド・アル=アンサリ報道官は24日夜、「こうした発言は、もし本物ならば無責任で、罪のない人々の命を救う努力を台無しにするものだ。だが、驚きではない」とX(旧ツイッター)に投稿した。
また、「人質100人以上の解放につながった昨年の仲介の成功のあとも、カタールは数カ月かけて、イスラエルの機関を含めた交渉当事者と定期的に対話し、人質に関して新たな合意の枠組みを確立し、ガザに人道支援が即時に入れるよう努力してきた」と主張した。
そのうえで、ネタニヤフ氏について、「自らの政治キャリアのために」カタールの仲介努力を損なおうとしていると思われるとした。
これに対し、イスラエルのベザレル・スモトリッチ財務相は、「カタールはテロを支援し資金を提供している国だ。ハマスの後援者であり、ハマスによるイスラエル国民の虐殺に大きな責任を負っている」とXに書いた。
また、「確かなことが一つある。終戦の翌日、カタールがわずかでもガザに関与することはない」とした。
カタール外務省はすぐにはコメントしなかった。
カタールとハマスの関係
湾岸地域の小さな首長国のカタールは、1990年代からイスラエルとハイレベルの接触をもっている。ただ、両国に正式な外交関係はない。
カタールは長年、パレスチナの大義を支持し、ハマスの政治指導者を受け入れている。イスラエル、イギリス、アメリカなどはハマスをテロ組織に指定している。
ハマスは2006年、パレスチナ自治評議会選挙で勝利した。以来、カタールはガザに何億ドルもの支援をしている。
一方、イスラエルとエジプトは同年、ガザを封鎖。破滅的な打撃をもたらした。翌2007年にハマスがパレスチナ自治政府(PA)軍を暴力的に追放し、ガザ支配を強めると、封鎖をいっそう厳しくした。
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イスラエルは2018年以降、ハマスが運営するガザ政府の職員数万人の賃金の支払いと、最貧困家庭への財政支援、ガザ唯一の発電所への燃料搬入のための資金提供を、カタールが担うことを認めている。カタールはこうした資金提供について、あくまで非軍事的で人道的な目的のためだと主張している。
この政策はイスラエル国内で論争を巻き起こした。批判的な人たちは、ハマスの政権維持を助け、軍事活動に資金を供給するものだと警告した。
これに対しネタニヤフ氏は、ハマスにイスラエルへの攻撃を思いとどまらせるとともに、ガザで人道面の惨事を防ぐ一つの方法だと説明した。
昨年10月7日にハマスがイスラエル南部を襲撃すると、ネタニヤフ氏について、PAを冷遇する代わりにハマスを強化する目的で、カタールによるハマスへの資金提供を奨励していたとの非難が出た。ネタニヤフ氏はこれを「大うそ」だと退けた。
カタールはハマスとの関係を利用し、昨年11月下旬に1週間の戦闘停止を仲介。その間に、イスラエル人と外国人の人質105人が、イスラエルの刑務所に収容されていたパレスチナ人約240人と引き換えに解放された。
他方、アメリカのジョー・バイデン大統領は、ガザで拘束されている人質に関する新たな取引を仲介する目的で、中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官をフランスに派遣する。BBCが提携する米CBSが確認した。
バーンズ長官は、カタール首相とイスラエルの情報機関モサドの長官と会談する見通し。







