ゼレンスキー氏、米議会とのテレビ会議を直前キャンセル 支援滞るなか

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領(11月)

画像提供, Getty Images

画像説明, ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領(11月)

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は5日、予定されていた米議会の議員らとのビデオ会議を直前になって中止した。理由は明らかになっていない。アメリカではウクライナへの支援が滞っている

ゼレンスキー氏はこの日、米議会の上下両院にバーチャルで出席する予定だったが、急きょこれをキャンセルした。

上院のチャック・シューマー院内総務(民主党)は、ゼレンスキー氏が出席しなかった理由については説明しなかった。「急な」用件で手が一杯だったようだと述べ、詳細は語らなかった。

ウクライナのアンドリー・イェルマーク大統領首席補佐官は同日、米首都ワシントンのシンクタンク「米国平和研究所」で講演。アメリカの継続的な支援がなければ、ウクライナがロシアに負ける「大きなリスク」があると訴えた。

イェルマーク氏はまた、「ウクライナ軍の位置を維持することと、国民が本当に生き残ることは、難しくなる」と述べた。

この数時間後、ゼレンスキー氏は米上院議員らとのビデオ会議の予定をキャンセルした。

BBCはワシントンのウクライナ大使館にゼレンスキー氏のキャンセルについて説明を求めたが、すぐには返答がなかった。

ウクライナ東部アウディイウカ村の近郊で砲撃するウクライナ軍

画像提供, Getty Images

画像説明, ウクライナ東部アウディイウカ村の近郊で砲撃するウクライナ軍

<関連記事>

アメリカのジョー・バイデン政権は、ウクライナへの追加支援の必要性を議会に強く訴えている。議会はウクライナでの戦争が始まった昨年2月以来、同国に対する1100億ドル(約16兆2000億円)以上の軍事・経済支援を承認しているが、政府は数カ月前から、すでにその大半が使われたとしている。

米上院では現在、共和党と民主党が1060億ドル(約15兆6000億円)というさらに大規模な支出案について協議中だ。これにはウクライナ支援のほか、イスラエルと台湾への軍事支援や、メキシコ国境の警備資金の増額が含まれている。

国境警備は、政治的に大きな問題となっている。民主党議員らが、アメリカへの入国を難しくする変更などに難色を示している一方、共和党からは「ウクライナに追加資金を拠出する見返りに、国境政策の大幅で実質的な改革が必要だ」(トム・コットン上院議員、アーカンソー州選出)といった声が出ている。

シューマー上院院内総務は、軍事支援法案を今週中に採決に持ち込むと表明している。しかし、移民対策で両党が合意しない限り、採決で共和党から十分な支持を得られるかは不透明な情勢となっている。

キーウ市内の壁面には、米国製の対戦車ミサイル「ジャヴェリン」を持つウクライナ兵の絵が描かれている

画像提供, Getty Images

画像説明, キーウ市内の壁面には、米国製の対戦車ミサイル「ジャヴェリン」を持つウクライナ兵の絵が描かれている

ウクライナとロシアの戦争は、前線での戦闘が実質的な膠着(こうちゃく)状態に陥っているとみられる。

ウクライナ軍は南部での反転攻勢の勢いが弱まっており、ドニプロ川東岸に築いた拠点の維持に苦労しているとされる。