ハマス、人質24人を解放 イスラエルはパレスチナ人39人を釈放
イスラム組織ハマスは24日、人質にしていたイスラエル人13人とタイ人10人、フィリピン人1人を解放していた。それから間もなくイスラエルは交換条件として、国内の刑務所に収監していたパレスチナ人39人を釈放した。
カタール政府が仲介した戦闘停止合意にもとづき、24日から4日間の内にハマスは計50人のイスラエル人人質を、イスラエル政府は収監しているパレスチナ人受刑者計150人を、それぞれ解放することになっている。
この取り決めとは別の合意を通じて、ハマスはさらに人質にしていたタイ人10人とフィリピン人1人を解放した。
24日にまず解放されたイスラエルの人質は、赤十字に付き添われてガザ地区から健康状態のためエジプトの病院へと移動した。2歳から9歳の子供4人と、85歳女性や78歳女性など高齢者が含まれる。
イスラエルが釈放したパレスチナ人は、ベイトゥニア検問所を通じてヨルダン川西岸地区のパレスチナ自治区に入った。女性24人と10代少年15人についてイスラエル政府は、投石から殺人未遂までさまざまな罪状で訴追。有罪を言い渡された人も、公判開始を待っている人もいた。検問所の周りでは大勢が集まり、39人の帰還を歓迎した。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、「人質の最初の帰還を完成した。子供とその母親、そのほかの女性たちだ。一人ずつが全世界だ」と述べた上で、「家族の人たち、イスラエル市民の皆さんに強調する。人質全員の帰還を必ずや実現する」と話した。
24日朝に戦闘の一時停止が始まったのを受けて、少なくとも60台のトラックが人道援助物資を積んでガザ地区に入った。イスラエルによると、7台は燃料を運びこんだ。今回の一時停戦合意では、毎日13万リットルの燃料搬入が認められている。
今回の停戦合意でガザ地区の全域が援助物資を入手できることになっているものの、北部から南部へと避難したパレスチナ人に対してイスラエルは、北部は今や戦闘地域なので、帰宅しないよう呼び掛けている。ただし北部には今も多くの民間人が留まっているとされる。
「最後の人質が戻るまで祝わない」
ヨニ・アシェルさんは、34歳の妻と4歳と2歳の娘2人が人質にとられていた。その3人の解放が実現したことを受け、アシェルさんはBBCに、「今回のトラウマとひどい喪失から、自分の家族を復活させるつもりだ」と述べた。
さらに、「誘拐された全員が戻るまで、私は祝うつもりはない。(中略)拉致された人たちの家族は今日から私の家族だ。最後の人質が戻るため、私は全力を尽くす」と話した。
イタイ・ラヴィさんは親類3人が解放されたものの、78歳のいとこアヴラハムさんはまだガザにとらわれている。
「これで一歩、幸せに近づいた。解放された3人は、今イスラエルの病院に向かっている。家族にとって、とても気持ちがたかぶる事態だが、完全には喜べない」と、ラヴィさんはBBCに話した。「いまだにとても恐ろしい現実の中に、私たちはいる」と、ラヴィさんは付け加えた。
ラヴィさんのおば(78)といとこ(54)、そしていとこの息子(9)が今回、解放された。
9歳のオハドさんは、ガザでとらわれている間に9歳になった。
「彼が新しい現実に戻ったら、友人と家族をみんな集めて、彼の誕生日を祝います。彼の状態を見てから……50日間もテロ組織に捕らえられていた9歳の子供が、どういう状態で帰ってくるのかわからなくて。うまくいくといいのですが」と、ラヴィさんは話した。

画像提供, Family handout
解放されたタイ人やフィリピン人の家族も、安堵(あんど)のためいきをついている。
28歳のウィチャイ・カラパトさんの恋人キティヤ・トゥエンサエンさんによると、当初はカラパトさんが10月7日の襲撃で殺されたとタイ当局に聞かされたが、タイ政府が発表した死亡者名簿にカラパトさんの名前はなく、5日前になって人質名簿に名前があると知らされたのだという。
解放されたフィリピン出身のジェリエノル(ジミー)・パチェコさん(33)は、キブツ・ニル・オズから10月7日に拉致された。パチェコさんは同キブツに住み、襲撃で殺害されたアミタイ・ベン・ズヴィさんの介護をしていた。

画像提供, Reuters
イスラエルの刑務所から釈放されたマラフ・バケールさんは、集まった報道陣に対して、「大勢が死亡した後に実現した合意によって釈放されて、私たちはうれしくないし、気まずい」と話した。
バケールさんは16歳だった2015年、境界警備の警官を刃物で襲った罪で禁錮8年半の実刑を言い渡され、服役していた。
バケールさんは独房に入れられ、「外で何が起きているのか、ガザの状況がどうなっているのか、まったく知らなかった」と言い、「合意の知らせは意外だった」と話した。
今回釈放されたパレスチナ人は、イスラエルが用意した女性と未成年者計300人の名簿の中から選ばれた。その300人のうち、有罪判決を受けているのは25%以下で、大多数は公判待ちの勾留が続く状態だった。名簿のほとんどは10代少年で、4割が18歳以下。ほかに10代少女が1人と、女性32人が名簿に含まれている。
ハマスは10月7日にイスラエル南部を襲撃し、約1200人を殺害したほか、200人以上を人質にした。
ハマスが運営する保健省によると、その後のイスラエル軍による攻撃で、ガザ地区では子供5000人を含む1万4000人以上が殺害されたという。
複数の人権団体によると、起訴事実のないままイスラエルに勾留されているパレスチナ人の数は、10月7日以降、急増した。治安上の理由からイスラエルに拘束されているパレスチナ人は6000人以上と推測され、その多くが公判開始を待っている状態という。














