イスラエル軍、ガザ北部住民に24時間以内の退避を警告 双方の死者2800人超に

パレスチナ自治区のイスラム組織ハマスとイスラエルの軍事衝突で、イスラエル側の死者数は12日までに1300人に上った。パレスチナ・ガザ地区ではイスラエルの空爆で1500人以上が死亡し、33万8000人が家を追われている。こうしたなか国連は、ガザ地区北部の住民は南部に避難すべきだとする通告をイスラエル軍から受けたと発表した。
国連の報道官によると、イスラエル軍から12日深夜に国連に対し、ガザ地区のワディ・ガザ(ガザ渓谷)以北の全住民は24時間以内にガザ地区南部に退避すべきだと通告があったという。イスラエルは地上攻撃の準備を進めており、ガザ地区との境界付近に兵士や重砲、戦車を集めている。
退避の対象となるのは、ガザ地区の人口のほぼ半数の約110万人。人口密度が高いガザ市も含まれるという。
国連は声明で、「このような人の移動は、壊滅的な人道的影響なしには不可能だ」とした。
ガザ包囲で「悲惨な状況」とWFP
パレスチナの保健省は12日、イスラエルが7日に開始したハマスへの報復空爆で、ガザ地区での死者が計1537人に達したと発表した。死者には子ども500人と女性276人が含まれる。
また、これまでに6612人が負傷したという。
イスラエルのヨアヴ・ガラント国防相は9日、ハマスの攻撃への報復として、ガザ地区を包囲すると発表。ガザ地区への電気や水、食料支援を止めた。
世界食糧計画(WFP)は、イスラエルがこれらの供給を停止しているガザ地区は「悲惨な状況」だと警告した。

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イスラエルで兵士に緊張
ハマス戦闘員が7日に襲撃したイスラエル南部の音楽フェスティバルの会場は、現在封鎖され、軍事区域と化している。
現地で取材するBBCのルーシー・ウィリアムソン記者は、兵士さえもビクビクしていると報告している。
また、12日の取材中、突如銃声が鳴り響き、イスラエル兵がガザ地区との境界に向かって走り出したという。
パニックや混乱は数分間続いた。兵士は1カ所ずつ安全を確保していった。
イスラエル軍は後に、現場近くでナイフを所持した人物を1人逮捕したと発表した。

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ガザ地区に爆弾約6000発を投下
イスラエル国防軍(IDF)の報道官、ダニエル・ハガリ少将によると、イスラエルは7日以降、ガザ地区に爆弾約6000発を投下した。
ハガリ少将はソーシャルメディアで空爆について報告。
空爆で建物が破壊され、粉塵(ふんじん)が舞う様子の動画も投稿した。
BBCヴェリファイ(検証チーム)はガザの破壊状況を評価するため、動画や画像の検証を続けている。
慈善団体職員が9日にソーシャルメディアに投稿した画像には、ガザ市近郊の国際眼科病院の被害が写っている。
BBCヴェリファイはグーグル上の古い画像と病院を照合し、病院の場所を確認した。
ただ、どのような経緯でこうした被害を受けたのか、空爆が直撃したのか、それとも近くで起きた爆発の影響を受けたのかはわからない。

ガザ地区、医療従事者11人が死亡
世界保健機関(WHO)は、7日から続くイスラエルとハマスの軍事衝突で、ガザ地区での医療提供に影響を及ぼすことを狙った攻撃を34件記録していると発表した。
ガザの医療従事者が11人死亡し、16人が負傷したという。
WHOは声明で、インフラが被害を受け、現場での緊急医療チームへのアクセスが妨げられていると説明した。19の医療施設と、救急車20台が被害を受けたという。
病院の床は「血だらけ」
ガザ地区のアル・シファ病院のモハマド・マタル医師はBBCニュースに対し、「物資不足が、私たちがいま抱えている最悪の問題だ」と語った。
病院には負傷者用のベッドが残っておらず、負傷した人々が床で寝ているという。
「ほぼすべての負傷者が床に横たわっていて、床は血や器具でいっぱいだ」
ガザ地区で9年間、医師として働いてきたというマタル氏は、「イスラエルとパレスチナの戦闘がエスカレートするのを何度も見てきた」が、今回はこれまでとは「かなり、はるかに違う」と述べた。
「私が対応した死傷者の大半が民間人で、その多くは子供や女性だ。ここで何が起こっているのか、誰も理解していない」
「手術室にいる私の同僚は、患者の選別を強いられている。助かる可能性が高いのは誰なのかと」
妊婦5万人、清潔な水にアクセスできず
国連人口基金(UNFPA)によると、ガザ地区では妊婦5万人が不可欠な保健サービスを受けられず、清潔な水も手に入れられない状況だという。
このうち5500人は、来月出産を控えている。
UNFPAは現地にいる女性と女児の安全と健康、そしてトラウマと心理的苦痛を深く懸念している。
ガザ地区で活動するUNFPAのスタッフは、いまの目標はみんながただ息をし、生き続けることだと語った。
UNFPAは、イスラエル軍による包囲が解かれた場合に物資を届けられるよう、事前準備を進めているという。
この戦闘をめぐっては、全ての紛争当事者に国際法上の義務を順守するよう求める声が上がっている。UNFPAもこれに同調している。
アッバス議長、「侵略の即時停止」求める
パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長は12日、ヨルダンの首都アンマンでヨルダン国王アブドラ2世と会談。イスラエルとハマスの軍事衝突後、初めて公の場で発言した。
アッバス議長は「パレスチナ人に対する広範囲の侵略を即時停止」するよう求めた。
パレスチナ自治政府の声明によると、アッバス氏は「民間人の殺害や虐待に関連する双方の行為」は受け入れられないものだと述べた。
アッバス氏とヨルダン国王は、「パレスチナ人に対するイスラエルの侵略行為を止め」、ガザ地区に「援助と救援を届ける方法」を話し合ったという。
また、アッバス氏はパレスチナ人が「暴力行為を放棄し、国際的な正当性を順守する」ことを強調。イスラエル軍とパレスチナの武装勢力の双方が民間人を標的にし、「道徳、宗教、国際法に違反している」と述べた。
アッバス氏はハマスと敵対関係にある。ハマスは2007年にガザを支配下に置き、当時のパレスチナ自治政府とアッバス氏率いるファタハに忠実だった勢力を暴力的な対立の末に追い出した。

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エルサレムで銃撃
こうした中、エルサレムの旧市街近くで銃撃があった。イスラエルメディアは、イスラエルの警官2人が負傷し、銃撃犯1人が撃たれたと報じた。
イスラエル警察によると、シャレム警察署の入り口で「サブマシンガンを所持したテロリスト」1人が複数の警官に向けて発砲したという。
犯人は現場から逃走を図ったが、追跡した警官が「銃撃によって無力化」した。
警察は、負傷した警官2人のうち1人は重傷だと明らかにし、共犯者を排除するために周辺を捜索中だと付け加えた。

エルサレムで取材するBBCのジョエル・ガンター記者は、イスラエルとパレスチナが領有権を争う東エルサレムにあるダマスカス門付近は非常に緊迫した雰囲気だと報告。通過しようとする車両に兵士がライフルを向け、運転手に停止するよう叫んでいたという。
上空ではヘリコプター1機がホバリングし、現場周辺は封鎖された。市民はダマスカス門から離れるよう命じられた。兵士は通りがかった市民2人の所持品を調べ、解放していたと、ガンター記者は伝えた。
仏市民を連れ戻すため「あらゆる手だてを尽くしている」
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は12日、ハマスがイスラエル南部を攻撃して以降、行方不明となっている自国民17人を連れ戻すため、あらゆる手だてを尽くしていると述べた。
ハマスの攻撃ではフランス人13人が死亡している。
マクロン氏は、ハマスのイスラエルに対する「やみくもで殺人的な憎悪」を非難。イスラエルには自衛する権利があるとした。

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仏国営テレビでの演説で、マクロン氏はハマスについて、イスラエル人の死を望むテロ組織だと述べた。
さらに、同地域の安全保障はイスラエルとパレスチナ自治区の安全が約束されるものでなければならないと付け加えた。
フランスの対テロ検察は12日、ハマスによる攻撃についてテロ調査を開始したと発表した。
検察は声明で、「テロ組織」による殺人、殺人未遂、未成年者を含む誘拐を調査するとしている。
一方、米ホワイトハウスのジョン・カービー戦略広報担当調整官は、アメリカ人27人が死亡したと認めた。また、14人が行方不明になっていると述べた。
(英語記事 Live Reporting/Live Reporting)












