イギリス外相が訪中、香港問題などで緊張続く中 対中戦略に「一貫性ない」と批判も

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イギリスのジェイムズ・クレヴァリー外相が30日、中国を訪れ、韓正国家副主席と会談した。英政府高官の訪中は2018年以来、5年ぶり。英中関係は近年、香港の人権弾圧などをめぐり緊張状態にあり、一部の英下院議員は政府の対中戦略に一貫性がないと批判している。
クレヴァリー外相は韓副主席との会談で、対面での交流が両国の誤解を避けるのに有効だと述べた。
しかし、英下院外交委員会の議員たちは外相の訪中前に、政府の対中戦略はちぐはぐだと批判した。
与党・保守党のイアン・ダンカン・スミス元党首は、政府の対応を第2次世界大戦直前のナチス・ドイツに対するイギリスの宥和(ゆうわ)政策になぞらえた。
王毅外相との会談も予定しているクレヴァリー氏は、新疆ウイグル自治区やチベットなどでの人権問題や、香港の扱い、英議員に対する制裁措置をめぐる懸念を表明すると約束している。
ウクライナ侵攻とサイバーセキュリティも議題となる予定。
「中国抜きには解決できない」
クレヴァリー氏は訪問に先立ち、「気候変動からパンデミック予防、経済的な不安定、核拡散に至るまで、いかなる重大な世界的問題も、中国抜きに解決できない」と述べた。
「中国の規模、歴史、そして世界的重要性を無視することはできないが、国際舞台における責任を伴うものだ」
「その責任とは、中国が国際的取り組みと義務を果たすことだ」
中国外務省の汪文斌報道官は、「共通の関心事である国際問題や地域問題」が話し合われるだろうとした。
そして、「我々は、イギリス側が我々と共に、相互尊重の精神を守り、交流を深め、相互理解を増進し、中英関係の安定した発展を促進することを願っている」と付け加えた。
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対中戦略に「一貫性がない」との批判
クレヴァリー氏の訪中は、英下院外交委員会が、インド太平洋地域における自国の政策に関する最新の報告書で、政府の対中アプローチを批判する中で決まった。
同報告書は、中国共産党の活動は「イギリスとその利益に対する脅威」だとしている。
また、政府の対中アプローチに一貫性がないことに懸念を示し、官民の指針となる対中戦略について、機密ではない部分を公表するよう求めている。
さらに、すべての関係閣僚は、より機密性の高い戦略についてブリーフィングを行うべきだとも主張している。
与野党の議員からなる同委員会は、中国が政府に批判的な人物を脅すための「持続的な試み」として、イギリス国内にいる香港の反体制派を襲ったことを非難。イギリスは中国政府にそうした政策は容認できないと伝えるべきだと訴えている。
アリシア・カーンズ委員長(保守党)は、同委員会は「イギリスの中国との付き合い方において、慎重に経済協力とのバランスを取る必要性」があると主張しているとした。
「機密扱いの、入手しにくい対中戦略の内容はホワイトホール(官庁街)の奥深くに埋もれている。上級閣僚からも隠されている」
「戦略全体を理解することなく、どうやって政策を実行し、法律を制定することができるだろうか」
カーンズ氏は29日、クレヴァリー氏は中国を訪問すべきかとのBBCの問いに、「中国と関係を断つのではなく、同じ部屋にいて、全く異なる意見をぶつけ合う方が重要だ」と答えた。

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一方、中国の制裁対象となっている英国会議員5人のうちの1人であるダンカン・スミス氏は、今回の訪問は「(中国に)へつらうプロジェクト」の最新段階だと述べた。
同氏はPA通信に対し、イギリスの立場は「宥和政策の臭いがぷんぷんする」と語った。
「私たちはもっとビジネスをしたいから、中国の機嫌をあまり損ねないようにしたい、というように見える」
「結局、中国に、私たちは弱すぎると思われて終わってしまう」
最大野党・労働党のデイヴィッド・ラミー影の外相は、保守党政権が10年以上にわたり、中国について「分裂や矛盾、自己満足」を繰り返してきたと非難。
英国会議員に対する中国の制裁を終わらせるなど、政府は「目に見える外交的勝利」を確保する必要があると述べた。
英中関係の「黄金時代」は終わった
英中関係は近年、香港の人権弾圧などをめぐり緊張状態にある。
昨年、リシ・スーナク英首相は英中関係の「黄金時代」は終わったと述べた。一方で、中国の重要性を単純に無視することはできないとも強調した。
スーナク氏の前任者であるリズ・トラス前首相は、外交政策の見直しの一環として、中国をイギリスにとっての「脅威」に再び位置づけるつもりだと報じられていた。
一部の保守党議員は、それくらい踏み込むべきだとしているが、スーナク氏はこうした声に抵抗している。








