ゼレンスキー氏が再訪英、スーナク首相と会談 空の防衛や長期的な安全保障の枠組み協議

Rishi Sunak embraces Volodmir Zelensky
画像説明, ロンドン郊外の首相公式別荘チェッカーズに到着したゼレンスキー大統領(左)とスーナク英首相(15日)

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が15日、リシ・スーナク首相と会談するため、イギリスを訪れた。ロシアの侵略に対抗するための長期的な安全保障の枠組み構築や、ウクライナの空を守るための連合構築などを話し合ったという。

ゼレンスキー氏は、英空軍ヘリに乗ってロンドンから約55キロ北西に位置する首相公式別荘チェッカーズに到着。ロシアによる侵攻が始まって以来、イギリスがウクライナに提供した支援に感謝した。

「皆さんはすでにたくさん、私たちを支援してくれました。皆さんも、皆さんの政府も、国王陛下も、そしてもちろんこの国の人たち、この国の社会も」とゼレンスキー大統領は述べ、「私たちは心から感謝しています。ウクライナ人が、ウクライナの兵士が、感謝しています」と強調した。

スーナク首相は、「おかえりなさい」の言葉と共にゼレンスキー氏との写真をツイッターに投稿した

画像提供, @Rishi Sunak

画像説明, スーナク首相は、「おかえりなさい」の言葉と共にゼレンスキー氏との写真をツイッターに投稿した
Presentational white space

チェッカーズ邸内で約2時間の会談後、両首脳は庭先で報道陣を前にした。

スーナク首相は、イギリス政府はロシアとの戦いにおいてウクライナを「しっかり」と支え続けると言明。ロシアによる将来の侵略に対してウクライナを支える長期的な必要性を視野に、安全保障の枠組みを、ゼレンスキー氏と話し合ったと説明した。

新式戦闘機の提供を西側諸国に求めていることについて記者団から聞かれると、ゼレンスキー氏はこれはウクライナにとって「非常に重要」な案件だと答えた。「我々に制空権がないので」と述べ、ウクライナの空を守る協力国の連合をぜひとも構築したいのだと説明した。

近いうちに「とても重要な決定」が明らかになるだろうが、「まだ少し作業が必要だ」とも大統領は述べた。

戦闘機に関するこの大統領の発言を受けてスーナク首相は、ウクライナ支援の連合でイギリスは主要な役割を果たすことになるとした上で、戦闘機による支援枠組みを作るのは「簡単なことではない」と述べた。戦闘機の調達だけでなく、パイロットの訓練をはじめ様々な詳細を詰める必要があるものの、イギリスは「大きい役割を果たすことができる」と、首相は話した。

さらにイギリスは「比較的早く」、ウクライナ操縦士の訓練を開始するともスーナク首相は述べた。

イギリスがウクライナに長距離ミサイルや長距離攻撃ドローンを提供していることについて、ロシア政府が「きわめて否定的な見方」をしているとコメントしたことについて質問されると、スーナク氏は「クレムリン(ロシア大統領府)にそう言われるのは、興味深い」と答えた。

「一番最初から言っているように、イギリスはウクライナとその人々をしっかり支え続ける」と首相は強調。イギリスはウクライナから「離れて行ったりしない」とクレムリンが承知するのは大事なことで、「我々は腰を据えて長期的にかかわっていくつもりだ」と述べた。

イギリス首相公式別荘チェッカーズの邸内で話す両首脳(15日、ロンドン近郊)

画像提供, EPA

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チェッカーズの庭に出た両首脳

画像提供, PA Media

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会談を終えたゼレンスキー大統領を乗せて離陸した英空軍ヘリコプター
画像説明, 会談を終えたゼレンスキー大統領を乗せて離陸した英空軍ヘリコプター
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チェッカーズ到着に先立ちゼレンスキー氏は、「中身のある交渉」のため、「友人」のスーナク氏に会う予定だとツイートしていた

その後スーナク首相は15日朝、ツイッターで「おかえりなさい」と書き、到着したゼレンスキー氏を抱きしめる写真を投稿した。

イギリスは11日、ロシアのウクライナ侵攻に対抗するため、同国に長距離ミサイルを提供すると発表したしている。

BBCのジョナサン・ブレイク記者によると、英首相官邸はウクライナに戦闘機を提供する「予定はない」と話している。首相報道官は、「ウクライナはF-16で自軍のパイロットを訓練すると決めた。イギリス空軍はF-16を使用していない」と説明した。

そのためイギリス政府は「その特定の技術」についてウクライナに提供しないものの、「(ウクライナに)Fー16戦闘機を提供しようとする他の諸国と協力」していく方針だという。

4番目の欧州訪問国

ゼレンスキー氏はこのところ、自国への支援強化を目的に、西側の首脳らとの会談を重ねている。この日の訪英は、フランス、ドイツ、イタリアでの首脳会談を経て、4番目の欧州諸国訪問となる。

同氏はツイッターで、「私たちの能力を地上と空中で拡大するうえでイギリスはリーダーだ。この協力は今日も続くだろう」とした。

スーナク氏は、「私たちウクライナを失望させてはならない」とし、ウクライナの戦いにおいて今は「極めて重大な瞬間」だと付け加えた。

また、「プーチンの侵略戦争の最前線はウクライナかもしれないが、その断層は世界中に広がっている。ウクライナが成功し、プーチンの蛮行が報われないようにするのは、私たち全員の利益となる」とした。

英首相官邸によると、イギリスはこの日のうちに、ウクライナの防衛を支援するための「数百」の防空ミサイルとドローン(無人機)の供与を決定するという。

ゼレンスキー氏は、14日にベルリンでオラフ・ショルツ独首相と会談し、ドイツから27億ユーロ(約4000億円)相当の新たな防衛支援を取り付けた

ゼレンスキー氏は、ドイツの戦車「レオパルト」と防空システムを、ロシアの「本格侵略が始まって以来最大のもの」だと説明した。

その後、パリを訪れ、エマニュエル・マクロン大統領と会談。フランスは、さらに数十台の軽戦車と装甲車の供与を約束した。

ゼレンスキー氏は2月、開戦以来初めてロンドンを訪れた。国王チャールズ3世に会い、議会で演説した。

今回の訪英は、今週末に広島で先進7カ国(G7)首脳会議が開催されるのを目前に行われた。同会議にはスーナク氏も出席する。