アメリカ、6月1日にも資金枯渇と財務長官が警告 債務上限引き上げ求める

Janet Yellen

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画像説明, ジャネット・イエレン米財務長官

アメリカのジャネット・イエレン財務長官は1日、連邦政府の債務上限を議会が引き上げるか一時凍結しない限り、6月1日までに財政資金が枯渇すると警告した。

債務が上限に達した場合、米政府は新たな借り入れができなくなる。

イエレン長官は連邦下院で、現在31兆4000億ドル(約4315兆円)となっている債務上限の解決に向け「早急に」行動すべきだと訴えた。

ジョー・バイデン大統領は、この件について9日に議会トップらを招集し協議する予定。

イエレン長官は下院議員宛ての書簡で、「債務上限の一時凍結や引き上げをぎりぎりまで待てば、企業や消費者の信頼感に深刻な害を与え、納税者の短期借り入れコストが上昇し、アメリカの信用格付けに悪影響が及ぶと、我々は過去の債務上限の行き詰まりから学んできた」と指摘した。

その上で、資金が枯渇する正確な時期を知ることはできないとした。

議会予算局(CBO)もこの日、「財務省が6月初旬」に資金不足に陥るリスクが大いに高まった」と警告した。

CBOは、「今後数週間の歳入の収入と支出について、そのタイミングと金額を予測することは困難なため、枯渇が予想される日は不確定だ」としている。

連邦債務の上限は1960年以降、78回にわたって引き上げや凍結、改定がされている。

デフォルトの危険性

アメリカが史上初のデフォルト(債務不履行)に陥った場合、世界の金融市場が混乱し、ビジネスパートナーとしてのアメリカの信用も崩れる可能性がある。

またアメリカ政府は、公務員や軍人の給与、社会保障給付、防衛関連の契約業者への支払いといった責務を果たすための資金を借りられなくなる。

さらに、天気予報にも影響が出る可能性がある。天気予報には、連邦政府が資金を提供している国立気象サービスのデータが利用されているためだ。

米財務省は、6月までの四半期中に借り入れを増やす計画。これにより、借り入れは年初の予測よりも4490億ドル多い7260億ドルになる見込みだ。当局は、所得税収が予想より低かったことや、政府支出が増えたこと、四半期初めのキャッシュバランスが予想より低かったことなどが要因だとしている。

議会の反応

下院の共和党議員は、債務上限の引き上げに賛成する代わりに、大幅な歳出削減に加え、学生ローン救済プログラムやグリーンエネルギー税控除といったバイデン氏の一部政策を撤回するよう民主党側に求めている。上院の民主党議員やバイデン氏はこれに反発している。バイデン氏は先週、この問題は「交渉できるものではない」と述べている。

一方でバイデン氏は、全米商工会議所などを含む企業団体から、共和党の案を検討するよう圧力をかけられている。

民主党のチャック・シューマー上院院内総務とハキーム・ジェフリース下院院内総務は1日に発表した共同声明で、「6月1日まで待って、デフォルトを回避するためのクリーンな法案を可決し、我々の経済と何百万もの家庭の破滅的な結果を防ぐという贅沢(ぜいたく)は、今のアメリカはできない」と述べた。

「共和党は、右翼の過激派に国家を人質にとらせてはいけない。議会は何世代もの間、年間予算のプロセスの一環として歳出入の決断を下してきたし、今もその最中だ。(中略)議会こそ、アメリカの財務状況を話し合うのにふさわしい場所だ。過激な『アメリカを再び偉大にしよう(MAGA)』派の共和党員が、アメリカで過激な施策を行おうとして人質を取っているような状況で協議してはいけない」

一方、共和党のケヴィン・マカーシー下院議長は、バイデン大統領が「職務を拒否」し、「アメリカが史上初のデフォルトに陥いると脅している」と非難した。

マカーシー氏は声明で、「時間は迫っている」と指摘。「バイデン政権が何カ月も動かなかった結果、議会が動いた。こうしている間にも、上院にはデフォルトのリスクを抑えるための法案がある。上院と大統領はすぐに仕事をするべきだ」と語った。

イエレン長官は今年1月にも下院宛ての書簡で、財務省が政府のデフォルトを防ぐための「特別措置」を始めたと述べていた。