米FRBが利上げ、銀行破綻による不安の中

Federal Reserve chairman Jerome Powell

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画像説明, アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長

アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)は22日、0.25パーセントポイントの利上げを発表した。これにより、アメリカの政策金利の誘導目標は、2007年以降で最高水準の4.75~5%となった。

銀行の破綻が相次ぐ中で金融不安が高まるとの懸念があったが、FRBは銀行システムは「健全で弾力性がある」と説明。一方で、向こう数カ月は銀行破綻の影響が経済成長にダメージを与えるだろうと警告した。

FRBは物価を安定させるため、借り入れコストを上げている。

しかし、昨年から続く急激な利上げにより、銀行システムに負担がかかっている。

アメリカでは今月初め、シリコンヴァレー・バンク(SVB)とシグネチャー・バンクが相次いで破綻。高金利による問題も、その一端だった。

各国当局は、一連の破綻が広範な金融の安定を脅かすとは考えておらず、インフレを抑制するための努力から目をそらす必要はないとしている。

欧州中央銀行(ECB)は先週、政策金利を0.5パーセントポイント上げると発表した。

英イングランド銀行(中銀)も23日に政策金利について決定を下す予定。イギリスでは2月のインフレ率が10.4%と、市場予想を大きく上回って上昇した。

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Presentational white space

FRBのジェローム・パウエル議長は、FRBは引き続きインフレとの闘いに集中すると説明。SVBについては、強力な金融システムにおける「異常値」だと表現した。

しかし、最近の混乱が成長の足かせとなる可能性は高く、全体の影響も不透明だと認めた。

FRBの経済見通しによると、アメリカの今年の経済成長率はわずか0.4%、来年は1.2%。通常よりも大きく下がっているほか、昨年12月の前回見通しからも下方修正された。

また、向こう数カ月は「継続的な」利上げが必要であるとしていたこれまでの意見もトーンダウンしており、今回は「いくつかの追加的な引き締め策が適切になるかもしれない」とした。

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政策金利が高くなると、住宅購入や事業拡大に向けた融資、その他の債務でのコストが高くなる。

こうした活動を高値にすることで、FRBは需要を抑制し、物価を下げようとしている。

利上げの効果はアメリカの住宅市場で出始めており、昨年は住宅購入が大きく減り、今年2月には住宅価格の中央値が10年以上ぶりに、前年より低くなった。

しかし全体としては、経済は市場予想を上回って持ちこたえており、物価は健全とされる2%以上で上昇し続けている。

アメリカの2月のインフレ率は6%。食品や航空運賃などはさらに上昇率が高かった。

今後も利上げは続くのか

パウエル議長は銀行破綻が起きる以前、インフレをめぐる現状の収束には、予想以上に金利を引き上げる必要があるかもしれないと警告していた。

FRBは今年インフレ率が低下すると予想しているが、数カ月前の予想よりも下げ幅は低い。

それでも、FRBは2023年末の政策金利について、昨年12月の予想と変わらず5.1%になるとみている。つまり、近く利上げをやめる可能性が示されている。

パウエル議長は、このところの混乱は「利上げと同様のものだ」と説明した。

また、金融システムの混乱が銀行の貸し出し制限を促し、経済減速に拍車をかけるなら、FRBは主要金利の引き上げにあまり積極的でなくなるかもしれないと述べた。

しかしその上で、インフレとの闘いを躊躇(ちゅうちょ)するつもりはないと繰り返した。

「我々はインフレ率を2%まで下げなくてはならない(中略)それには実質的なコストが伴うものの、失敗した場合のコストの方がはるかに高い」