台湾、兵役を4カ月から1年に延長 中国との緊張悪化

兵役延長を発表した台湾の蔡英文総統(27日、台北)

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台湾の蔡英文総統は27日、18歳以上の男子に義務づけている兵役の期間を現在の4カ月から1年に延長すると発表した。台湾を自国領の一部とみなす中国と台湾の緊張関係が悪化している中での決定となった。

蔡総統は国家安全会議で兵役延長を決定した後、記者会見し、中国からの攻撃に備えた防衛力強化の新計画を発表した。

「平和は空から降ってこない」、「台湾は、権威主義の拡張に対する最前線にある」と、総統は述べた。

総統は、兵役中の訓練強化についても言及し、アメリカをはじめとする最先端の軍隊から要素を取り入れると話した。蔡氏は、台湾の現在の防衛体制は、世界最大級で進んだ軍事技術を持つ中国からの侵攻に耐えられるものではないと認めた。

台湾では1990年代初めまでは、18歳以上の男子全員が最長3年間の兵役を義務付けられていたが、それ以降は1年10カ月に期間が短縮された後、さらに現在の4カ月まで削減されていた。新しい兵役期間は2024年1月に施行される。同じ2024年1月には台湾の総統選も実施される。

「これはとても厳しい決断だが、総統として、軍のトップとして、国益を守り、私たちの民主的な生き方を守ることが、私の不可避の責務だ」と、蔡氏は強調した。

「誰も戦争を望んでいない。台湾と台湾の人たちも同じで、国際社会も同じだ」とした上で、蔡氏は、「8月の軍事演習以降、中国の軍事的な強硬姿勢はますます明確になっている」と指摘した。

台湾国防部(国防省)は26日、台湾周辺の海や空で、中国による最大規模の侵入があったと発表した。発表によると、中国空軍の戦闘機やドローンなど71機が台湾の「防空識別圏」に入った。うち43機は、中国と台湾を隔てる非公式の休戦ラインとなっている「中間線」を越えたという。

台湾と中国の緊張はここ数カ月、徐々に高まっている。

8月には、アメリカのナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪問し、中国は強く反発した。過去25年間で最も高位の米政治家の訪問だった。

中国は対応措置として、台湾近海で当時としては最大規模の軍事演習を実施。台湾との貿易を一部停止した。

台湾の呉釗燮・外交部長(外相)は、当時の中国の行動を非常に挑発的だと非難した。中国は、台湾を支配するための武力行使を否定していない。

A Taiwanese soldier wearing camouflage uniform waves a flag from atop a armoured vehicle equiped with US-made TOW anti-tank missiles as it drives through Taipei's presidential office square during a rehearsal of the scheduled National Day military parade 08 October 2007

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画像説明, 台湾は中国に対抗するため軍事予算を増強している。写真は2007年10月の国慶日を記念する軍事パレードのもの

さらに10月16には習近平・国家主席が政策の基本方針などを決める5年に1度の共産党大会の冒頭で、台湾統一のためには武力行使も辞さない姿勢を示した。この翌日にはアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官が、中国が以前の予想より「はるかに速いスケジュールで」台湾の統一を目指していると述べた。

11月の主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に先立ち、インドネシア・バリ島でジョー・バイデン米大統領と習主席が会談した際にも、中国と台湾の関係が主要議題のひとつだったとみられている。この会談後にバイデン氏は、中国が台湾に侵攻するとは考えていないと話した。