テニスのS・ウィリアムズ選手、引退を示唆 全米オープン後に

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テニスのセリーナ・ウィリアムズ選手(40、アメリカ)が、近く引退する意向を表明した。9日公開の米誌の記事で、全米オープンを最後に、テニスから「離れて進化」していくと述べた。
ウィリアムズ選手は、グランドスラム(4大大会)の女子シングルスを23回制覇。スポーツ界を代表するスターの1人となっている。
米誌ヴォーグの記事では、「私にとって重要な他のこと」に向かって進んでいるとした。また、「引退」という言葉は好きではないと付け加えた。
この記事に関連したインスタグラムの投稿では、「カウントダウンが始まった」、「これからの数週間を楽しむつもりだ」などと書いた。
ウィリアムズ選手は、けがで長期にわたってツアーを離脱。引退するとの憶測が流れていた。しかし6月、ウィンブルドンでシングルスに復帰した。
現在、カナダ・トロントで開かれているナショナル・バンク・オープンに出場している。9日にはヌリア・パリサス・ディアス選手(スペイン)と対戦。シングルスでは1年2カ月ぶりとなる勝利を収め、2回戦に進んだ。
ウィリアムズ選手は、今月下旬に開幕する4大大会の1つ、全米オープンには出場するとしている。この大会ではシングルスで6回優勝している。
ヴォーグの記事では、「残念ながら、今年のウィンブルドンでは優勝の準備ができていなかった。ニューヨークで優勝する準備ができているかはわからない。でも挑戦する」とした。
ウィリアムズ選手がもつ4大大会女子シングルス優勝回数23回の記録は、大会がオープン化されて以降で最多。それ以前を含めると、マーガレット・コートさんの24回に次ぐ歴代2位となる。
「大きな痛みを感じている」
ウィリアムズ選手は、ヴォーグの長文記事の中で、「テニスから離れて先に進まなくてはならないと、自分に対しても、誰に対しても、認めたくない」と語り、次のように続けている。
「夫のアレクシスと私は、この話をほとんどしていない。タブーのような話題になっている」
「お母さんやお父さんとも、この話はできない。口に出して言うまで現実味がない。この話題になると喉に不快なしこりができ、泣き出してしまう」
「引退というものを心待ちにしている人は多いし、私もそう感じられたらどんなにいいかと思っている」
もうテニスをしないかもしれないという事実の中に「幸せはない」とも述べている。
「普通は言わないことだろうが、私は大きな痛みを感じている。これ以上の辛さは想像できない」
「私はそれがとても嫌いだ。この岐路に立たされるのがとても嫌だ。簡単だったらいいのにと自分に繰り返し言い聞かせるが、簡単ではない」
「張り裂けそうだ。終わってほしくないが、同時に、次の準備もできている」
輝かしい業績
ウィリアムズ選手は、ウィンブルドンと全豪オープンで7回ずつ、全米オープンで6回、全仏オープンで3回、シングルスの優勝を果たしている。
4大大会で最初にタイトルを取ったのは1999年の全米オープンで、17歳だった。直近の優勝は2017年の全豪オープンで、妊娠8週目だった。
4大大会ではさらに、姉のヴィーナス・ウィリアムズ選手と組んだダブルスで14回、混合ダブルスでも2回優勝している。オリンピックでは、単複合わせて4個の金メダルを獲得している。
ウィリアムズ選手は、娘オリンピアさんを出産した際に死にかけた。それでも復帰を果たし、これまで4大大会の決勝に4回進んでいる。ただ、決勝ではすべて敗れており、コートさんの記録にはあと一歩及んでいない。
2018年の全米オープン決勝では、大坂なおみ選手と対戦し敗退。審判を泥棒だと非難し、物議を醸した。
ウィリアムズ選手はヴォーグの記事で、「アスリートとして再び妊娠することは絶対に望まない」、「テニスに専念するか、離れるかのどちらかだ」としている。
怒りや悔しさを原動力に
ウィリアムズ選手は、スポーツ界を代表するスターの1人として、スタジアムを満員にし、熱烈なファンを魅了してきた。
ヴィーナス選手と共にテニス界を変え、未来の選手にインスピレーションを与え、男女平等を推進してきたと広く考えられている。
ウィリアムズ選手はヴォーグの記事で、「セリーナであることの本質」について、「自分にベストを求め、人々が間違っていると証明すること」だと説明している。
「何かをきっかけに怒りを感じたり、誰かに仲間外れにされたりしたために勝利した試合がたくさんあった。それが私の原動力だった」
「姉のヴィーナスはかつて、誰かにそれはあなたには無理だと言われたら、それはその人ができないからだと言っていた。でも、私はやった。だからあなたもできる」
ビジネス界で活動
米誌フォーブスで史上最も稼いだ女性アスリートとされたウィリアムズ選手は、近年、ビジネスに進出。投資会社を立ち上げるなどしている。
また、米女子サッカーリーグの、ロサンゼルス拠点の新チームに資金提供をしている。
ウィリアムズ選手は自らの功績について、ヴォーグの記事でこう語っている。
「自分のレガシーについて考えるのは、あまり好きではない。よく聞かれるが、なんと答えていいかわからない」
「でも、私に与えられた機会のおかげで、女性アスリートがコート上で、自分らしくいられると感じるようになったと思いたい」
「攻撃的にプレーし、拳を突き上げていい。強くなり、同時に美しくもなれる。好きなものを着て、好きなことを言い、相手をやってつけ、それを誇らしく思っていい」
「カリフォルニア州コンプトンで始まった、テニスをしたいだけの小さな黒人の女の子の物語が、これで終わる。そう思うと、この雑誌が発売されたとき、自分でどんなふうに読めるのか想像できない」










