アメリカ上院、約50兆円規模の気候変動対策ふくむ法案可決

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米連邦議会上院(定数100)は7日、過去最大規模の気候変動対策を盛り込んだインフレ対策法案を可決した。与党・民主党が多数を占める下院でも可決される見通しで、ジョー・バイデン大統領にとって重要な国内政策が実現することになる。
与野党が1年半にわたり激しい駆け引きを重ねてきた「インフレ削減法案」が可決されると、民主党の上院議員たちは喜びの涙を流したり、こぶしを突き上げたりした。
上院議員の票が賛成50、反対50で同数だったため、必要な過半数を得るため、上院議長でもあるカマラ・ハリス副大統領が賛成票を投じた。
2022年インフレ削減法案には、3690億ドル(約50兆円)規模の気候変動対策が含まれる。アメリカの歴史で過去最大の温暖化対策の実施によって、2030年までに排出量40%削減を目指す。
全体で7000億ドル(約95兆円)規模のこの法案は、下院で早ければ今週中にも可決される見通し。
気候変動対策のほか、法案には法人税増税や医療費引き下げが含まれている。議会予算事務局は、法案に含まれる複数の施策によって収支は見合うと説明している。
民主党は自分たちの上院議員50人全員が、この法案に賛成できるよう何カ月も交渉を重ねた。その結果、多くの民主党議員が昨年の時点で求めていた、広範な施策が含まれるものから、内容と支出をしぼったものになっている。
法案には、環境負荷の少ない「クリーンエネルギー」開発に取り組む企業への税控除措置などが盛り込まれている。エネルギー再生技術の促進のため、270億ドル規模の「クリーンエネルギー技術促進」措置が新設される。
一般家庭に対しては、電気自動車の新車購入に最大7500ドル(約101万円)の税控除が適用される(中古車の場合は最大4000ドル)。
また、化石燃料による公害被害が特に大きい地域には、600億ドル(約8兆2000億円)の助成金が支払われる。
公約実現につながると大統領
法案の上院通過を受けてバイデン大統領は声明で、「上院の民主党は本日、特殊利益集団よりもアメリカの一般家庭の側に立ち、処方薬の価格や医療保険を引き下げ、毎日の光熱費を引き下げ、国の赤字を減らしながら、最も裕福な企業にはついに応分の負担を払わせるよう、投票した。私は、勤労世帯のために政府が機能するようにすると公約して、大統領選に出馬した。そしてこの法案は、まさにその約束を実現するものだ」と歓迎した。
バイデン氏は、「この法案は財政赤字を減らしつつ、一般家庭の出費を減らすことで、インフレに取り組む」ものだと説明し、「下院はできるだけ早くこれを可決するべきだ。私は、署名して法律として成立させるのを楽しみにしている」と述べた。
民主党は下院(定数435)では220議席を得ている(共和党は210議席)ため、法案は下院を速やかに通過するとみられている。
11月に中間選挙が控えている中で、国民の家計に直結するこの大型法案が成立すれば、国内経済対策が長く滞っていたホワイトハウスにとっては大きな成果となる。
「議会をあきらめていた国民のための法案」
法案可決にこぶしを突き上げた民主党幹部のチャック・シューマー上院院内総務は、「1年以上にわたる大変な努力を経て、上院は歴史を作っている」と歓迎。「連邦議会に大きなことはできないとあきらめていたアメリカの人たち、この法案は皆さんのためのものです」と述べた。
ハワイ州選出のブライアン・シャッツ議員(民主党)は、涙を流しながら本会議場を退出したという。米紙ニューヨーク・タイムズによると、「ついに自分の子供の目を見つめて、(議会は)気候について本当に対策を実施するんだと言えるようになった」と述べた。
他方、野党・共和党の中には、医療費として640億ドルを盛り込んだこの法案の進展を、阻止するつもりだという議員もいた。
フロリダ州選出のマーコ・ルビオ議員(共和党)は、この法案が勤労家庭にとって物価引き下げにつながらないと批判。犯罪者を刑務所にとどめておくこともできないとも述べ、「そうしたことこそ、この国の働く人たちは重視している」のだと、民主党を批判した。









