プーチン氏病気説を裏付ける情報なし=米CIA長官
ゴードン・コレーラ、ジョージ・ライト、BBCニュース

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米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官は20日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の健康状態について、不安定もしくは病気だと示す情報は得ていないと述べた。
今年70歳になるプーチン氏については、未確認情報にもとづく憶測の健康不安説や、がんなどの重病説が頻度を増して飛び交っている。
しかしCIAのバーンズ長官は、そのような憶測を裏付ける情報はないとして、「むしろ健康すぎる」ようだと冗談を口にした。
米コロラド州で開かれたアスペン安全保障フォーラムに出席した長官は、「プーチン大統領の健康についてたくさんのうわさがあるが、我々の見る限り、彼はむしろあまりに健康すぎる」と述べた。
笑う聴衆に対して長官は、それはCIAとしての正式な分析結果ではないと付け加えた。
アメリカの駐ロシア大使も経験したバーンズ氏は、自分はプーチン氏をもう20年以上観察し、やりとりしてきたとした上で、プーチン氏は「支配し、威圧し、仕返しをすることを、非常に重視している」と指摘。過去10年の間で側近の数が減少するとともに、従来のそうした特徴は強化されてきたとも述べた。
「ロシアの指導者としての自分は、ロシアを偉大な大国として復活させる使命を担っているのだと、それが自分の運命なのだと(プーチン氏は)信じ込んでいる。そのために鍵となるのは、ロシアの周辺に勢力圏を再構築することだと彼は考えていて、ウクライナを支配することなしにそれは不可能だ」と、バーンズ長官は説明した。

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バーンズ長官は昨年11月にモスクワを訪れ、米政府が集めた情報をもとに、もしもロシアがウクライナに侵攻すれば、重大な結果が待ち受けているとロシア政府に警告した。しかし結果的に、「(モスクワに)着いた時よりも出発した時の方が、不安材料は増えていた」と、長官はフォーラムで述べた。
プーチン大統領の計画は「深刻に誤った前提と幻想をもとにしたものだった」とバーンズ氏は言い、「特にウクライナと、ウクライナの人たちの抵抗の意志について、まったくの幻想を抱いていた」と述べた。
「プーチンは本当に、自分の言い分が正しいと信じ込んでいる。ウクライナは本当の国ではないと、内々に語るのを私は聞いていた」
「しかし、本当の国は反撃するものだ。そしてウクライナの人たちは、まさにそうしている」
アメリカ政府の推測では、ウクライナで死傷したロシア側の人数はこれまでで死者約1万5000人、負傷者約4万5000人に上ると、バーンズ氏は述べた。また、ウクライナ側の死傷者はこれよりもう少ないだろうという見方も示した。
ロシア軍が現在、ウクライナ東部ドンバス地方に勢力を集中させているのは、侵攻当初に厳しい教訓を学んだからだろうとも述べた。
米ロの対立
ロシアは2月24日、ウクライナ東部ドンバス地方のロシア語話者がジェノサイド(集団虐殺)に直面しており、解放される必要があると主張して、ウクライナ侵攻を開始した。
それから5カ月近くが過ぎ、ロシア軍はウクライナ東部と南部の一部地域を占領した。ただ、首都キーウの占領という当初の目的は失敗に終わり、以降は東部ドンバス地方の解放を主要目標として掲げている。
アメリカ政府は、ロシアが占領地域を併合する準備を進めていると批判している。
他方、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相は20日、ロシア軍の焦点はもはやウクライナ東部「だけ」ではないと述べ、軍事目標を南部にも拡大していく方針を明らかにした。西側諸国がウクライナに長距離兵器を供給したことで、ロシア政府の戦略が変わったとの見方を示し、ロシアは自国の安全を確保するために、ウクライナ軍を前線からますます遠ざける必要があると述べた。
しかし、アメリカのロイド・オースティン国防長官は同日、国際社会の行動を駆り立てたのは「ロシアの残酷でいわれのない侵略行為」だと反論。長官は、ロシア側がアメリカによる提供に強く反発しているHIMARSについては、さらに4基を追加供与すると述べた。アメリカが供与するHIMARSは合わせて16基となる。








