ウクライナ大統領、「ロシアによるミサイル攻撃」と 当局が死者確認

Ukrainian defence intelligence HQ

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画像説明, ウクライナ・キーウにある国防省情報局本部から黒煙が上がっているように見える

ロシア軍は24日、ウクライナ各地に軍事攻撃を開始した。軍事施設だけでなく、東部ハルキウ州チュグエフでは集合住宅も空爆の標的となり、破壊された。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は同日、同国がミサイル攻撃を受けたと話した。同国のインフラと軍施設に対して、ロシアがミサイル攻撃を仕掛けたとの見方を示した。大統領は同日午後、記者会見でロシアとの断交を発表した。

ウクライナの警察は、ロシアの爆撃による死者を7人確認したとした。当局は、南部の港湾都市オデッサ郊外の軍部隊への攻撃で6人が死亡し、7人が負傷したと明らかにした。

動画説明, ウクライナ各地で爆発音が響いた

行方不明者も19人出ているという。東部マリウポリでも1人が死亡したと当局は述べた。

ウクライナ軍によると、同国東部でロシア軍が「集中的な砲撃」を開始。首都キーウ(キエフ)近郊のボルィースピリ国際空港やその他の空港が、ロシアのミサイル攻撃を受けたという。

キーウ近くのホストメル空港での戦闘で、ウクライナ軍によって撃墜されたロシア軍ヘリコプターの動画が浮上しており、BBCはその内容が事実だと確認した。

ロイター通信によると、ウクライナのヴァレリー・ザルジヌイ総司令官は、ウクライナ軍がキーウ周辺の空港の支配権をめぐりロシア軍と戦っていると認めた。

ウクライナ空軍は、ロシア軍機5機とヘリコプター1機を撃墜したとしている。これに対してロシア国防相は、撃墜された機体はないとしている。

国営メディアによると、ゼレンスキー大統領は、武器を求める市民全員に武器を提供する方針。

ゼレンスキー氏は国家安全保障防衛会議の開催と、戒厳令の発令を求めた。このあと緊急会議が開かれ、発令が決定される見通し。

Large fire next to Ukrainian defence intelligence HQ

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画像説明, ウクライナ国防省情報局本部の隣の建物から火の手が上がったとみられる

キーウ中心部を捉えた画像では、ウクライナ国防省情報局本部から黒煙が上がっているように見える。本部の建物は無事だが、隣の建物で大規模な火災が起きているとされる。

ウクライナによると、24日朝に軍司令部の一部がロシアのミサイル攻撃を受けた。

また、キーウ郊外ブロバルイでは、一連のミサイル攻撃で少なくとも6人が死亡したという。

explosions

一部では、オデッサにロシアの空挺部隊が降り立ったと報じられたが、ウクライナ軍はこれを否定した。

ウクライナ当局者の話として複数のメディアが報じたところでは、北側の国境を接するベラルーシにいた部隊もロシア軍による攻撃に加わっている。

Police and security personnel inspect the remains of a shell in a street in Kyiv on February 24, 2022.

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画像説明, ロシアの攻撃開始から数時間後、首都キーウに落下した砲弾の破片(24日)

ウクライナの国境警備当局は、2014年にロシアが併合した南部クリミアから、同国軍の車列がウクライナに入ったとする写真を発表した。車列の進入前には、砲弾が発射されたという。ウクライナは南部と東部からロシアに、北部からはベラルーシに駐留している部隊に攻め込まれていることになる。

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「高精度兵器」で攻撃

BBCなどの報道機関は、ウクライナ東部やキーウなどで爆発音が聞かれたと報じている。

一方、ロシア通信(RIA)によると、同国国防省は24日、ウクライナの都市への攻撃は実施していないと主張。同国の軍事インフラ、防空システム、空軍を、「高精度の兵器」で狙っているとした。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は同日午前5時55分ごろ(日本時間同日正午前)、テレビ演説で、ウクライナ東部ドンバス地域で「特別軍事作戦」を実施すると発表した。報道によると、ウクライナに向けて最初の砲撃が実施された直後だったという。

ウクライナ東部ドネツク地域で取材しているBBCのサラ・レインズフォード東欧特派員は、日本時間の同日正午前、「(同地域の)クラマトルスクでたった今、大きな爆発音がした」とツイートした

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キーウで取材しているポール・アダムズ記者も、午前5時過ぎに遠方からくぐもったような爆発音が4、5回聞こえたと伝えた。まもなくして再び爆発音がし、最初より近く感じたが、キーウ中心部ではないとした。

市民らは

キーウでは緊急事態を知らせるサイレンが鳴り響いた。現地の映像からは、非難する市民らの車で高速道路が渋滞している様子がうかがえる。

ソーシャルメディアの投稿は、パニック状態が強まっていることを示している。防空シェルターや地下室に駆け込んでいると述べる人もいる。テレビ映像には、路上で集まって祈っている人たちの姿が映っている。

多くの市民が急いで地下鉄駅に避難している。市外に向かうバスに乗る人たちもいる。

subway station

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画像説明, 首都キーウの地下鉄駅に避難した市民(24日)
身の回りのものやペットと共に避難する市民

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画像説明, 身の回りのものやペットと共に避難する市民
キーウの地下鉄駅に避難した人たち

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画像説明, キーウの地下鉄駅に避難した人たち
キーウ市内では交通渋滞が起きている

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画像説明, キーウ市内では交通渋滞が起きている

BBCのニック・ビーク記者は24日朝のキーウの状況について、静かだが、兵士の姿が通常より目立っていると伝えた。

同記者によると、ある旅行者は空襲のサイレンが鳴り、政府の警告が出た後、ホステルから退出させられたという。スーツケースを手に路上で途方に暮れている様子の旅行者は、他にも見られるという。

同記者はまた、携帯電話の接続が途絶えたと訴える人もいるとした。スーパーに買い物客らが列をつくっているとの報道も出ているという。

英紙ガーディアンのルーク・ハーディング記者は、キーウ市内で屋外に出ている人はほとんどいないとツイート。銀行のATMには列ができているとした。

BBCのレインズフォード特派員によると、ウクライナ東部の都市クラマトルスクの住民らは、「ショックを受け、これから起こり得ることを想像して、おびえている」という。

「昨夜は人々が路上でウクライナ国旗を振り、ここは自分たちの土地だ、どこにも行かないと言っていた。(中略)攻撃があると思い、待ち構えていたが、本当に起こるとは誰も信じることができていない」と同特派員は伝えた。

バイデン氏らが強く非難

アメリカのジョー・バイデン大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領と協議したと述べた。「国際的な非難を結集させる」ための取り組みを、ゼレンスキー氏に説明したという。

バイデン氏は声明で、ロシアの攻撃を「挑発を受けたものではなく、正当化されない」として指弾した。

バイデン氏はまた、24日に先進7カ国(G7)首脳らと協議すると説明。アメリカと同盟国は「ロシアに対して厳しい制裁を発動する」とした。

さらに、「私たちはウクライナとウクライナ国民に支援と援助を送り続ける」と表明した。

A convoy of Russian military vehicles is seen as the vehicles move towards border in Donbas region of eastern Ukraine on February 23, 2022 in Russian border city Rostov.

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画像説明, ロシアのウクライナ国境付近では23日、ロシア軍の車列が確認されていた

NATOの反応

北大西洋条約機構(NATO)のイエンス・ストルテンベルグ事務総長はベルギー・ブリュッセルでの記者会見で、ロシアによるウクライナに対する「不当でいわれのない」攻撃は無数の罪のない人々の命を危険にさらしていると述べた。

また、ロシアがウクライナの軍事インフラや主要都市を標的とした空爆やミサイル攻撃を多方向から行い、地上部隊や特殊部隊を展開していると指摘。「これは意図的で冷血な、長年計画されてきた侵攻だ」とした。

ストルテンベルグ氏は、この無謀な行為と失われた人命に対する全ての責任をロシア指導部が負うことになると述べた。

ロシアに対しては、軍事行動を直ちに停止してウクライナから軍を撤退させ、外交による解決を選択するよう呼び掛けた。

ストルテンベルグ氏は声明で、ロシアは武力を使って歴史を書き換え、ウクライナの自由で独立した道を否定しようとしているとした。

また、「1カ国への攻撃は、全ての国に対する攻撃とみなされる」とし、全ての同盟国を保護し、守ることがNATOの中核となる任務だと、同氏は述べた。

NATOの最高意思決定機関である北大西洋理事会は24日、加盟国保護を目的とした防衛計画を発動することで合意した。これにより、NATOは必要な場所に対応部隊を配備できるようになる。

バイデン米大統領はすでに、ウクライナに米部隊は派遣しないと明言している。

「失敗させなくてはならない」と英首相

ロシアのウクライナ侵攻は「理不尽で無謀な加害行為」と批判するジョンソン英首相

画像提供, UK TV Pool/PA Wire

画像説明, ロシアのウクライナ侵攻は「理不尽で無謀な加害行為」と批判するジョンソン英首相

英政府は24日午後、ボリス・ジョンソン首相の録画演説を発表。首相はその中で、ロシアは挑発されていないにもかかわらず「陸海空から大規模な侵攻」を開始したと非難し、「これはウクライナへの攻撃だけでなく、東欧と世界における民主主義と自由に対する攻撃だ」と述べた。

その上で首相は、「我々の使命は明白です。外交的に、政治的に、経済的に、そしてやがて軍事的に、ウラジーミル・プーチンによるこのおぞましく野蛮な、冒険的行動が、失敗の内に終わるようにしなくてはなりません」と強調し、イギリスと同盟諸国は「巨大な」包括的制裁を発動し、ロシア経済を「よろよろ」させると述べた。

ジョンソン氏は、イギリスにとってウクライナは「決して『ほとんど知らない、どこか遠くの国』ではない」と指摘。かつて第2次世界大戦前の1938年に、ナチス・ドイツがチェコスロバキアのズデーテン地方を併合した際、介入を避けて宥和(ゆうわ)政策を選んだ理由を「どこか遠くの、私たちが何も知らない人たちの争い」だと説明した、当時のネヴィル・チェンバレン首相による有名な表現を、「悪名高い」表現だとして引用した。

さらに、自分たちにとってウクライナの人たちは隣人であり同僚だとして、支援を約束したほか、「命を失うロシア兵のご両親たち、こんなことが皆さんの名において行われているなど、信じられません」と語りかけた。