ウクライナ、全土に非常事態宣言 ロシアの攻撃あれば「自衛する」と大統領

A woman cleans her damaged house after artillery fire from Donetsk region under the control of pro-Russian separatists in Donbas on February 23, 2022 in Mar'inka, Ukraine.

画像提供, Anadolu Agency via Getty Images

画像説明, 親ロシア派武装勢力が実効支配するドネツクで砲撃被害を受けた住宅(23日)

ウクライナは23日、全土での非常事態宣言を発令した。期間は24日から30日間。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアが今すぐにでも「欧州で大規模な戦争」を始める可能性があると警告した。

ロシアはウクライナ東部の親ロシア派武装勢力が実効支配する2地域への派兵を命令しており、侵攻の懸念が一層高まっている。

ウクライナのゼレンスキー大統領は23日夜の演説で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との会談を模索したが失敗に終わったと述べた。

「私はロシア連邦大統領との電話協議を試みたが、結果は沈黙だった」

演説の中で、ゼレンスキー氏はウクライナ語からロシア語に切り替え、ロシアの人々はウクライナについてうそを教えられているとし、ロシア人に攻撃を拒絶するよう感情的に訴えた。

「(戦争を)止められるのは誰か? それは人だ。それをできる人があなた方の中にいる。私はそう確信している」

また、ウクライナはロシアの攻撃に備えているとし、「もし彼ら(ロシア)が攻撃してきたら、もし彼らが我々の国、我々の自由、我々の命、我々の子供たちの命を奪おうとすれば、我々は自分たちを守る」と述べた。

「ロシアが(我々を)攻撃したときに目にするのは、我々の背中ではなく我々の顔だ」

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演説に先立ち、ロシアのプーチン大統領はウクライナ東部ドネツクとルガンスクへの派兵を命令。ロシア部隊がウクライナ国境に接近していると報じられた。

ロシアは、親ロシア派勢力が実効支配するこの2地域から軍事的支援の要請があったとしている。アナリストたちは、この要請が本格的な侵攻の口実となる可能性があると示唆している。

ゼレンスキー氏は、ロシアはウクライナ国境に20万人近い部隊と数千台の戦闘車両を配置しているとした。

アメリカの推計によると、ウクライナ国境には15万人以上のロシア部隊が集結。ロシアによるウクライナ攻撃への懸念はここ数カ月前から高まっている。

ロシア部隊が国境を越えてウクライナへ入ったかどうかは不明だが、米衛星運用会社が公開した衛星画像では、ロシア西部に新たな部隊などが配備され、ベラルーシのウクライナ国境近くにある飛行場に100台以上の車両があることが示されている。

非常事態宣言

戦争に突入する恐れが高まる中、ウクライナ議会は23日、全土での非常事態の発令を賛成多数で承認した。

非常事態は24日から30日間続く。当局は夜間外出禁止令など治安強化策を導入できるようになる。

また、個人文書のチェックや、予備役の出国阻止、大規模な集会の禁止、無線通信システムの制限なども含まれる。首都キーウ(キエフ)の市長は、市内へ続く道路に検問所を設置し、政府施設へのアクセスを制限すると説明した。

ウクライナは先に、「ロシアの侵略行為がエスカレート」し、領事館の支援が制限される恐れがあるとして、ロシアに住む数百万人の国民に帰国するよう命じている。ロシア国内には約200万人のウクライナ人が永住しているとされ、さらに100万~200万人が出稼ぎ労働者として滞在しているとみられる。

ウクライナ軍は18~60歳までのすべての予備兵を最長1年の期限で招集している。

ゼレンスキー大統領は、ロシアとの危機的状況を受け、ロシアとの外交関係を完全に断つことを検討するとしている。

こうした中、ウクライナ政府機関は23日に大規模なサイバー攻撃を受け、政府のウェブサイトや銀行に影響が出た。

政府関係者がインタファクス・ウクライナ通信に語ったところによると、外務省など複数の政府機関のサービスが、サーバに意図的に過剰な負荷をかける分散型サービス妨害(DDoS)攻撃を受けてオフラインになった。

西側諸国の反応

西側諸国は、ロシアがウクライナ東部の停戦を目的としたミンスク和平合意を破り、ウクライナ東部の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国を独立国家と承認したことを受け、次々とロシアへの制裁を発表している。

ロシア軍は両地域で「平和維持」活動につくとしているが、アントニオ・グテーレス国連事務総長はその主張を一蹴した。西側諸国も「ナンセンス」だとしている。

国連安全保障理事会は日本時間24日昼前から緊急会合を開催する。

アメリカは、ロシア政府の直近の動きは侵攻の始まりを示すものだとみている。

フランスの外相と米国務長官は、予定していたロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相との会談をキャンセルした。

ロシアは2014年以降、8年にわたりウクライナ東部で反政府勢力による血なまぐさい戦闘を支援してきた。この戦闘では多くの民間人を含む約1万4000人が死亡している。

「ドネツク人民共和国」の指導者を名乗るデニス・プシリン氏は先週、ウクライナ側が差し迫った攻撃を計画していると非難し、市民の退避を命じた。ウクライナは攻撃は計画していないと否定した。