ウクライナは挑発に応じない、しかし自衛の用意がある=ゼレンスキー大統領

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ウクライナ東部で国軍と親ロシア派武装勢力との衝突が相次ぎ、情勢が緊迫する中、同国のウォロディミル・ゼレンスキー大統領は19日、自分たちは挑発には応じないが、ロシアが侵攻するなら自衛する用意はあると述べた。ドイツ・ミュンヘンで開かれている安全保障会議で発言した。
ゼレンスキー大統領は、ウクライナ国民は「パニックしていない、自分たちの生活をそのまま続けたいだけだ」と述べた。その上で、西側諸国がロシアに対して「宥和(ゆうわ)政策」を進めていると批判し、ウクライナの安全について新しい保証を求めた。ゼレンスキー氏のミュンヘン訪問について、米政府は危険だと警告していた。
ウクライナ情勢についてジョー・バイデン米大統領は18日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナ侵攻を決断したと「確信している」と述べた。攻撃は数日中にも始まり、首都キーウ(キエフ)が標的になるとの見方を示した。ロシア政府はこれを否定している。
欧米諸国は、親ロシア派が実効支配するウクライナ東部のドンバス地域で、ロシアがいわゆる「偽旗作戦」(敵対勢力から武力攻撃を受けたかのように見せる偽装工作)を仕掛け、ウクライナ侵攻の口実にするだろうと批判している。
親ロシア派が住民に避難呼びかけ
こうした中、19日にはウクライナ東部で、ウクライナ軍と親ロシア派勢力の衝突が「劇的に増えた」と報告された。現地情勢を注視する専門家たちは、親ロシア派が一方的に独立を宣言したドネツクとルハンスクの両地域で19日だけで1400件以上の爆発があったとしている。

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ウクライナのデニス・モナスティルシキー内相は、前線視察の最中に砲撃に遭い、急ぎ防空壕に避難した。
ウクライナ東部で親ロシア派が一方的に独立を宣言した「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」では幹部らが、戦闘に参加できる年齢の男性全員に対して動員を命令。他の住民はロシアへ避難するよう促した。親ロシア派勢力は証拠提示のないまま、ウクライナが自分たちを攻撃するつもりだと主張した。
しかし、多くの住民は退避命令に従わず、自宅にとどまった。
ロシア・メディアは「攻撃」を報道
19日にはロシアのメディアが、親ロシア派の実効支配地域で起きたと主張する複数の攻撃や攻撃未遂について、相次ぎ報道した。
ロシア・メディアはさらに、ウクライナ国境から1キロほどロシア領内に入ったロストフ地域で砲弾の爆発があったと報道。ウクライナはこれを否定しているが、ロシアは事件捜査に着手するとしている。
こうした状況で、ドイツとフランス両政府は自国民にウクライナから退避するよう勧告した。これまでに西側の多くの政府が同様の勧告を出している。ドイツのルフトハンザ航空は21日から1週間、ウクライナへのフライトを中止すると明らかにした。


ロシアは極超音速ミサイル発射演習
この間、ロシアは19日、極超音速ミサイルや弾道ミサイルなどを発射する演習を各地で実施した。ロシア大統領府は19日、プーチン大統領が直接指揮をとり、ミサイルの発射演習を行ったと発表した。ロシアは隣国ベラルーシで大規模軍事演習を続けている。
米政府は、ウクライナ東部を含め、「ウクライナ内とその近く」に、兵16万9000人~19万人規模のロシア軍部隊が集結していると推計している。
米国防総省のロイド・オースティン国防長官は、それまで束ねられていたものがほどけるようにロシア軍部隊が「展開」し、ウクライナ国境へ「近づいている」と話した。
ミュンヘンの安全保障会議に出席しているカマラ・ハリス米副大統領は、ロシア政府がウクライナ侵攻の口実をでっちあげようとしていると批判し、ロシアがウクライナを侵攻するなら「迅速かつ厳格」な対応をとると強調した。
同様に、ミュンヘンの会議に出席したボリス・ジョンソン英首相は、ロシアがウクライナに侵攻した場合、「我々はロシア国家にとって重要なロシア人とロシア企業に制裁を課す」と述べた。ジョンソン氏はさらに、英政府は特定のロシア企業について「マトリョーシカ人形のように開き」、ロンドンの金融街で資金集めができないようにすると話した。
ウクライナは、ロシアと歴史的につながりがあり、旧ソヴィエト連邦の一部だった。北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)には加盟していないが、どちらとも緊密なつながりがある。
一方、ロシアのプーチン大統領は、NATOのこれ以上の東方拡大を止めるという法的拘束力のある約束を西側に要求している。ウクライナはNATO加盟の実現を憲法に明記しているが、プーチン氏はNATOに、ウクライナの加盟を認めないと約束することも求めている。










