バイデン米大統領、超党派の銃規制法案に署名 約30年ぶりの規制強化

画像提供, EPA
ジョー・バイデン米大統領は25日、連邦議会が可決した銃規制強化の法案に署名し、成立させた。過去30年近くで最も重要な銃規制の連邦法となる。小学校乱射など銃撃事件が相次いだのを受け、上院で超党派の法案がまとまり、成立に至った。
21歳未満の銃購入時の身元調査拡大などを盛り込んだ法案には、上院では民主党議員に加えて、銃に関する権利を主張することが多い野党・共和党からも、ミッチ・マコネル院内総務をはじめ15人が賛成した。下院でも、共和党の議員14人が賛成し、可決した。共和党からは、リズ・チェイニー下院議員やアダム・キンジンガー下院議員らが賛成した。
「この法案には、私が望むことが全て入っているわけではないが、私が長く呼びかけていた対策は含まれている。その対策が人命を救う」と、バイデン氏は述べた。
ホワイトハウスで法案に署名したバイデン氏は、相次ぐ銃撃事件の被害者遺族はアメリカ政府に対策を期待しているとして、「今日はその対策をとった」と話した。
合衆国憲法が保障する武器保有権の擁護に熱心な議員の多い共和党からも賛同者が出た背景には、5月にニューヨーク州バッファローのスーパーや、テキサス州ユヴァルディの小学校で相次いだ乱射事件がある。特に小学校の乱射事件では、多くの児童が犠牲になった。
新法案は、21歳未満の銃購入希望者に対する身元確認を強化するほか、精神医療や学校警備の強化策に連邦予算150億ドル(約2兆円)をあてる。
このほか、裁判官が危険とみなした人から銃を押収する緊急措置を導入している州を支援する、資金提供なども盛り込まれている。
加えて、結婚していないパートナーへの虐待による有罪歴のある人への銃販売を禁止する。これにより、「ボーイフレンド抜け穴」と呼ばれる法の抜け穴をふさぐ。
この銃規制法案はさらに、民主党と共和党の両方からこれだけの支持を得たのが数十年ぶりということでも、重視されている。アメリカでは歴史的に、銃規制強化の動きは共和党が阻止しがちだった。
重要な法案ではあるものの、バイデン氏をはじめとする多くの民主党議員や活動家が求めてきた大幅な規制強化には程遠い。
バイデン氏はこれまで、殺傷力の高いアサルトライフルの禁止や、少なくとも購入可能年齢の引き上げなど、法案よりもはるかに大規模な改革を求めてきた。アサルトライフルは、テキサス州ユヴァルディやニューヨーク州バッファローの銃乱射事件でも使われた。ユヴァルディの実行犯は18歳になった数日後に、半自動小銃を2丁購入したとされている。

画像提供, Reuters

アメリカ国には現在、3兆9300万丁の銃があると推定されている。
アメリカは世界の裕福な国で最も銃による死亡率が高い。非営利調査団体「銃暴力アーカイブ」によると、今年だけで2万900人以上がアメリカ国内で銃を使った暴力事件で死亡している。
他方、憲法修正第2条が保障する武器の保有権を、多くの国民が大事にしている。
連邦議会が銃規制の重要法案を前回可決したのは1994年。半自動小銃の販売を禁止する「アサルト・ウェポン規制法(AWB)」が成立したものの、10年間の時限立法だったため、10年後に失効した。
2012年にコネチカット州のサンディー・フック小学校で起きた銃撃事件では、20歳の実行犯によって生徒・職員が計26人殺害された。そのうち20人は5歳や6歳の児童だった。この事件後に、規制強化の動きが連邦議会でもみられたが、十分な支持を得られなかった。
上院が23日、法案を可決した数時間前には、米連邦最高裁が、銃を持ち歩く権利を制限するニューヨーク州法を違憲とする判断を出していた。銃に関する権利をめぐってアメリカ国内で激しい論争が巻き起こり、議会も超党派で対策強化へと動く中で、連邦最高裁は権利を拡大する判決を出した。
複数の世論調査によると、大多数のアメリカ人は銃規制の取り組みを支持しているものの、多くの共和党議員は、銃所持を支持する住民の多い選挙区から選出されている。










