米バッファローのスーパーで銃乱射、10人死亡 黒人狙った可能性

画像提供, Reuters
米ニューヨーク州バッファローのスーパーで14日、男性が銃を乱射し、警察によると10人が死亡した。当局は、容疑者が黒人の多く住む地域を意図的に狙ったとみられると発表。人種差別に基づく暴力的過激思想を背景とした事件として捜査している。
警察などによると、現地時間午後2時半ごろ、軍服に身を包んだペイトン・ジェンドロン容疑者(18)がバッファローのスーパー、トップス・フレンドリー・マーケットの駐車場に車で乗り付け、銃を乱射した。その様子を、容疑者はライブストリーミングで動画配信した。
警備員が数発撃ち返し、1発が容疑者に命中したが、防弾ベストを着ていたため大きな負傷はなかった。容疑者はその後、警備員を殺害し、他の人に発砲しながら店内を歩き回ったという。
13人が撃たれ、うち11人は黒人だった。亡くなった10人には、息子の誕生日にカップケーキを買っていた男性や、介護施設にいる夫を訪ねた後に買い物をしていた女性が含まれていたと報じられている。
容疑者は乱射後に逮捕された。殺人容疑については否認しているという。

高校での銃撃を予告
警察によると、容疑者は320キロ以上車で移動し、事件を起こしたとみられる。前日にはこの地域を「偵察」していたという。
バッファローのバイロン・ブラウン市長は容疑者について、「できるだけ多くの黒人の命」を奪うつもりで現場に来たと述べた。
警察関係者がAP通信に語ったところでは、容疑者は昨年6月、自らが通う高校での銃撃を予告していた。その後、精神鑑定を受けたという。
ニューヨーク州のレティシア・ジェイムズ司法長官は、オンライン上にある過激主義的な資料を集中的に調べると話した。
オンラインに過激文書
これまでに、容疑者が書いたとみられる180ページの文書が浮上している。その中で容疑者は、自らをファシストで白人至上主義者だと記している。
ジェイムズ司法長官は、今回の事件について、「日々憎しみを糧にしている、病んで頭のおかしい人物によるもの」とし、「明白かつ単純な国内テロ」だと述べた。
ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は、「関係者は何を、いつ知っていたのか知りたい」とABCニュースに話した。
ジョー・バイデン大統領は、捜査当局が事実関係を確認中だとした上で、司法省が憎悪犯罪(ヘイトクライム)として捜査していると指摘し、人種差別的な過激思想を強く非難した。
「私たちは皆で協力し、アメリカの魂についた汚点となっている憎悪に取り組まなくてはならない」と、バイデン氏は強調した。
住民に衝撃
地元住民は銃撃事件に衝撃を受けている。ロイター通信によると、15日の追悼集会に参加した1人は、「ただ胸が痛い。なぜそんなことをするのか」と話した。
事件を目撃した人は、「悪夢のようだ。(中略)テレビでは見たり聞いたりする。(中略)でも、自分がそこに居合わせるとは思ってもみなかった」と言った。
当局にすでに目をつけられていた人物が、なぜ乱射事件を起こせたのかといった疑問も持ち上がっている。
今回の事件は、アメリカで今年これまでに起きた銃乱射事件の中で最悪のものとみられる。同国では年間約4万人が、銃器が絡んだ出来事(自殺を含む)で死亡している。
<解説> あまりに見慣れたパターン――マイク・ウェンドリング、BBCトレンディング

画像提供, Erie Co DA
ニュージーランドのクライストチャーチ、アメリカのエルパソ、ピッツバーグ、そしてバッファロー。すれらすべての場所で、人種差別にかき立てられた加害者がネット上で過激化し、そのイデオロギーによって人々の命を奪うという極端な行動を取った。
バッファローの銃撃犯は、以前の銃撃犯と同様、自分の暴挙をライブ配信し、いわゆる「マニフェスト」をネット上に残した。そこには、過激な信念が詳述されており、都合よく選ばれた統計、陰謀論、インターネットのミームがあふれている。
また、人種差別的・反ユダヤ的な罵詈雑言(ばりぞうごん)が多数あり、書いた当人は自分がファシストで白人至上主義者だと率直に認めている。
この文書には、明らかな偽情報や、記者をだまして誤った報道をさせようとする内容も含まれている。それでも著者を信じるとしたら、彼は新型コロナウイルスのパンデミックの早い時期に、過激派のウェブサイトや掲示板で過激化したとみられる。
2019年のクライストチャーチのモスク銃撃事件の後と同様、大手ソーシャルメディア各社は、今回の乱射事件の映像を削除するのに苦労するだろう。
銃規制をめぐるアメリカの議論も、ごく短い間かもしれないが、間違いなく再燃するだろう。
ただ、根本的な問題は依然、解決が難しそうだ。若い暴力的な過激主義者の世界的ネットワークがあり、その一部は、罪のない人たちを襲って命を奪おうと意欲を抱いている。









