米銃器メーカー、学校乱射事件の訴訟で和解 84億円支払いへ

A 2018 image of Francine Wheeler holding a photograph of her son Ben

画像提供, Getty Images

画像説明, 息子の写真を抱えた女性

アメリカの学校で多数の児童らが死亡した銃乱射事件をめぐる訴訟で、使用されたライフルを製造した企業が15日、7300万ドル(約84億円)を支払うことで、犠牲者の遺族らと和解した。

2012年にコネティカット州のサンディ・フック小学校で起きた銃乱射事件では、児童ら26人が死亡した。そのうち9人の遺族が、米老舗銃器メーカーのレミントン・アームズを相手に訴訟を起こしていた。

銃乱射事件に絡み、銃器メーカーが法的責任を問われたのは初めてだった。

遺族側は、レミントンが製品のマーケティングにおいて、銃と男性らしさの関連を強調したり、ビデオゲームの中に銃を登場させたりするなど、「攻撃的」だったと主張していた。

今回の和解により、各遺族は和解金を受け取る。その他の和解内容は明らかにされなかった。

遺族側のジョシュ・コスコフ弁護士は、遺族らの受け止め方について、「次のサンディ・フック事件の防止」を主に訴えていたため和解を喜んでいると話した。

当時6歳の息子ノアさんを亡くしたレニー・ポンズナーさんとヴェロニク・デ・ラ・ロサさんは声明を発表。「失われたものは帰ってこない」、「だが今回の解決は、これまで責任を問われることがなかった産業界に責任を取らせることになった」とした。

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保険会社4社が支払い

和解金の7300万ドルは、レミントンの保険会社4社が支払いに応じる最大額。

レミントンは昨年7月、遺族側に3300万ドルを支払うとしたが、請求額の2億2500万ドルには遠く及ばなかった。遺族側は受け取りを拒否。レミントンの過失を証明する証拠を手に入れたとしていた。

レミントンは1816年設立の、アメリカで最も歴史ある銃器メーカー。本社はノースカロライナ州にある。同社のマーケティングとサンディ・フック小学校での乱射事件に関連性があったことを示す証拠はないとして、関連があったとする遺族側の主張を否定していた。

レミントンとは15日、連絡が取れず、コメントを得られなかった。

<分析>今後は訴訟が増加か――アンソニー・ザーカー北米担当記者

2000年代前半、全米ライフル協会(NRA)など銃に関する権利を主張する団体は、銃を使った死亡事案において銃器メーカーを経済的な責任から守るため、州政府や連邦政府に法整備をするよう圧力をかけた。その成果として、「合法的武器売買保護法」(PLCAA)が2005年、連邦議会で可決され、当時のジョージ・W・ブッシュ大統領の署名で成立した。

同法は多くの銃器メーカーを法的な争いから守った。しかし、レミントンと、サンディ・フック小学校の乱射事件で児童20人と学校職員6人の命を奪ったライフル、ブッシュマスターAR-15は守り切れなかった。

事件で死亡した成人5人と児童4人の遺族は、レミントンが、暴力的なビデオゲームや勇ましい軍隊的な言葉を使って、「危険な状態にある」若者たちにライフルを売り込んだと主張した。遺族たちはまた、PLCAAが定める違法な宣伝の禁止に例外があると訴えた。レミントンが今回、7300万ドルを支払って訴訟を終わらせると決めたのは、法廷で闘うリスクを勘案してのことだろう。

今回の和解は、銃による暴力事件で製造者に経済的な責任を取らせるべきだとする、各州政府や銃規制派を勢いづかせるかもしれない。銃器メーカーに対する現存の法的保護は、必ずしも乗り越えられない障壁ではないという希望が、銃規制派らに与えられた。