【検証】 アメリカの銃規制に関する主張をファクトチェック

ジェイク・ホートン、BBCリアリティーチェック(ファクトチェック)チーム

Uvalde Texas

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テキサス州ユヴァルディの小学校で生徒19人と教員2人が死亡した銃乱射で事件を受け、アメリカでは再び、銃所持をめぐる規制の問題が議論されている。

ジョー・バイデン大統領をはじめとする政治家が、銃を持つの権利についてそれぞれの主張を展開している。

クルーズ上院議員:「銃規制はうまくいかないし、効果的ではない」

テキサス州選出のテッド・クルーズ上院議員(共和党)は、与党・民主党による銃規制対策に反対している。銃乱射事件後にクルーズ氏は、アメリカ国内の権利制限の話なのか、他の国の話なのかを特定せずに、このように主張した。

一方、同じく銃規制策に反対しているテキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は、イリノイ州シカゴの事例を明示した。

イリノイ州はテキサス州よりも銃規制が厳しいが、特にシカゴでは銃犯罪の発生率がテキサス州よりも高い。

しかし、シカゴで回収される銃の大半はインディアナ州やミシシッピ州など、銃規制法の緩い他州からのものであることが多い。

Abbott and Cruz

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画像説明, テキサス州のテッド・クルーズ上院議員(中央)と、グレッグ・アボット州知事(左)

シカゴ市警の2017年報告書によると、市内で犯罪に使われた違法な銃の6割近くが、州外から持ち込まれたものだった。

銃規制推進団体「ギフォーズ法律センター」の調査では、全体としては銃規制が強化された州では銃による死亡率が低くなっている。

「州法は有効だが、完全ではない。各州は規制をかけることができるが、違法な製品を抱えて車で州境を越えるのはとても簡単だ。州境でチェックされないので」と、ギフォーズ・センターのデイヴィッド・プチーノ氏は指摘する。

アメリカでは、各州が独自の刑法を制定することができる。しかし、すべての州で同じ法律を適用するには、連邦レベルで可決する必要があり、この方法で銃規制法案を可決した例は限られている。

海外との比較では、銃乱射事件後に全国的な規制を導入した結果、銃犯罪が減少した国がいくつかある。

オーストラリアでは1996年のポート・アーサー事件以降、大幅な銃規制が導入された。全国銃器協定により、ほぼすべての自動・半自動小銃が禁止されたほか、銃の登録が義務付けられ、銃の「買い戻しプログラム」が設定された。

その後、銃による死亡率や銃による大量殺人事件は大きく減少した。

Australia's firearm homicides
Presentational white space

イギリスでは、1987年のハンガーフォード銃乱射事件をきっかけに禁止される武器の種類が増やされ、1996年のダンブレーン小学校銃乱射事件を経て、さらに銃規制が強化された。

ダンブレーン事件後にイギリスで起きた乱射事件は、2件。イングランドとウェールズでは1996年以降に銃犯罪が増加したものの、2004年をピークに減少しており、これは取り締り強化の成果だと分析されている。

スイスとフィンランドは、ヨーロッパで最も銃の所持率が高く、狩猟文化も盛んだが、銃の登録制度など厳しい規則が設けられている。両国とも銃による殺人は非常に少ない。

10カ国以上で行われた130件の研究を調べたところ、銃を規制すると銃による死亡が減少する傾向があることがわかっている。

バイデン大統領:「憲法修正第2条は絶対的なものではない。可決されたときには大砲を所有できなかった」

バイデン大統領は、憲法修正第2条について2つの点を主張している。1791年に可決された修正第2条は国民の武器保有権を保障するもので、銃規制反対派がしばしば主張の根拠にしている。

修正第2条には、「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、国民が武器を保有し携行する権利は、これを侵してはならない」と書かれている。

バイデン大統領の修正第2条は「絶対」ではないという主張は、2008年の最高裁判決に裏打ちされている。

この判決では、「(修正第2条が保障しているのは)いかなる方法、いかなる目的であれ、どんな武器も保有・傾向できるという権利ではない」 と結論付けている。

しかし、修正案が可決された時に大砲を所有することが禁止されたという主張は間違っている。

サウステキサス法科大学の憲法専門家、ジョシュ・ブラックマン氏は、「バイデン氏は何度もこの主張をしているが、誤りだ。憲法修正第2条が批准されたとき、大砲を禁止する法律はなかった」と指摘する。

Joe Biden

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画像説明, ジョー・バイデン大統領

アボット州知事:「我々は州として、社会として、メンタルヘルスについて、もっと上手に取り組まなくてはならない」

テキサス州のアボット知事(共和党)は、学校で銃を乱射した犯人は「メンタルヘルス(心の健康)の課題」を抱えていたと述べ、同州はメンタルヘルスに「もっと上手に」対処する必要があると述べた。

しかしアボット氏は今年4月、州のメンタルヘルスプログラムを担当する委員会から2億ドル(256億円)以上の資金を転用現地紙テキサス・トリビューンは、この資金は州境管理に充てられたと報じている。

非営利団体「メンタルヘルス・アメリカ」の今年度の報告書によると、メンタルヘルス医療への全体的なアクセスにおいて、テキサス州はアメリカで最下位となっている。