オミクロン株とデルタ株で「感染の津波」が発生 WHOが警告

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デルタ株とオミクロン株の組み合わせが、新型コロナウイルス感染症COVID-19の「危険な感染の津波」を引き起こしている――。世界保健機関(WHO)のトップが29日、危機感を表明した。
アメリカや欧州各国では連日、新型ウイルスの新規感染者が最多記録を更新している。背景にはオミクロン変異株の急拡大がある。
しかし、WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は、29日の記者会見で、デルタ変異株もあわせた「双子の脅威」が、全体の感染者数を押し上げていると警告。
「これが、疲弊した医療従事者と崩壊間際の医療制度に、現在も今後も、ものすごい負担をかける」と述べた。
フランスで1日20万人超に
ロイター通信によると、現在は世界全体で連日、計約90万人の新型ウイルスの新規感染者が報告されている。
フランスは29日、新規感染者が20万8000人を超えた。2日連続で、1日当たりの感染者の最多記録を上回った。
アメリカではこの1週間、1日平均26万5427人の感染が報告されている。1日平均としては過去最多となっている(米ジョンズ・ホプキンス大学調べ)。
デンマーク、ポルトガル、イギリス、オーストラリアでも、感染者が過去最多を記録している。
ポーランドでは29日、新型ウイルス関連の死者が794人報告された。同国で現在発生している感染の第4波で、最多となった。死者の75%以上はワクチン未接種者だった。
「もう『波』ではない」
これまでの研究によると、短期間のうちに世界で主流になったオミクロン株は、デルタ株より症状が穏やかだとされる。ただ、感染力はずっと強い。各国の感染急増は、オミクロン株が原因とみられている。
フランスのオリヴィエ・ヴェラン保健相は、「オミクロンについては、もう『波』とは言わない」、「『津波』だ」と記者団に述べた。
アメリカの感染症対策トップのアンソニー・ファウチ博士は、同国におけるオミクロン株の感染拡大が、来年1月末にピークを迎えそうだと米CNNに語った。人口規模とワクチン接種率に基づく推定だという。
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富裕国が「流行を延ばす」
富裕国の一部では、3回目のワクチン接種が促進されている。イギリスでは現在、12歳以上の57%が3回の接種を済ませている。
WHOのテドロス氏は、富裕国がブースター(追加)接種を大々的に進めることで、「パンデミックを長引かせる可能性が高い」と記者団に話した。ワクチン接種率が比較的低い貧困国にワクチンが供給されなくなり、「新型ウイルスに拡散と変異のチャンスをさらに与えることになる」と、理由を説明した。
テドロス氏はまた、来年前半のうちに世界の人々の「70%がワクチン接種を受けることを目指すキャンペーンを、みんなで後押しすると、新年を迎えるにあたって決意する」よう呼びかけた。
WHOによると、ワクチン接種率40%という最初の目標を達成できていない国は、まだ100カ国近くあるという。
最多を更新している国々
WHOが28日に発表した報告書によると、ヨーロッパの新規感染者(すべての変異株)は、今月26日までの1週間で57%増加した。アメリカ大陸では30%の増加だった。
増加傾向はまだ続くとみられる。29日には以下の国々で新型ウイルス関連の最多記録が更新された。
- フランス 新規感染者20万8000人、集中治療室に新たに入った患者53人、死者184人
- イギリス 新規感染者18万3037人、死者57人
- イタリア 新規感染者9万8020人(前日は7万8313人)
- デンマーク 新規感染者2万3228人(うち1205人は感染経験者)
- ポルトガル 新規感染者2万6867人(前日は1万7172人)
- オーストラリア 新規感染者1万8241人(前日は1万1300人)
- ギリシャ 新規感染者2万8828人
人数の多さについては、クリスマス時期の報告の遅れが原因となっている可能性があると、当局は指摘している。
不可欠労働者が不足
感染者の急増で隔離措置に入る人も増え、社会生活にとって不可欠なサービス部門で働く人々の不足が生じている。
イギリスの消防士の組合によると、ロンドンの消防士の約3分の1が今週、出動できなくなっている。新型ウイルス検査で陽性となったり、隔離生活を送ったりしているためだという。
米テキサス州では、未成年者の拘置施設のいくつかに、州兵が補佐役として派遣されている。
スペインは、スタッフ不足の改善を目的に、隔離期間を10日から7日に短縮した。アメリカもすでに同様の短縮を実施。イギリスでは、ウイルス検査で2日連続で陰性と判定された人は、1週間で隔離生活を終えることが認められている。










