タリバン、アフガン南部の州都を制圧 米軍の撤退開始以降で初

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アフガニスタンの反政府組織タリバンは6日、南部ニムルズ州の州都ザランジを制圧した。地元当局者が明らかにした。アフガンに駐留する米軍の撤退開始に伴いタリバンが広範な攻撃を始めて以降、タリバンが州都を制圧するのは初めて。
アフガンに駐留する外国部隊が撤退を開始して以降、タリバンは国内で急速な進攻を続けている。地方の大部分を占領し、現在は主要都市を標的にしている。
西部ヘラート、南部カンダハール、ラシュカル・ガーなどの州都も切迫した状況に陥っている。
国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)のデボラ・ライオンズ事務総長特別代表は6日、この1カ月で1000人以上の民間人が犠牲になったとし、アフガンでの紛争が「新たな、より致命的な、より破壊的な局面」に突入したと述べた。
ライオンズ氏は、アフガンが「大惨事」に向かっていると警告。国連安全保障理事会に対し、「都市への攻撃を今すぐやめなければならないという、明確な声明」を出すよう求めた。
英政府は6日、治安状況の悪化を理由に、アフガンに滞在している全ての英市民に国外への退去を勧告した。
都市が「戦わずして陥落」
タリバンは、イラン国境近くの主要貿易拠点ザランジでの戦いに勝利したとツイートした。
「これはすべての始まりだ。他の州もすぐに我々の手に落ちる」と、タリバンの司令官はロイター通信に述べた。
ソーシャルメディアに投稿された写真には、民間人が政府施設から物品を略奪する様子が写っている。また、地元の空港内にいるタリバン戦闘員や、街の入り口でポーズをとる戦闘員の写真もある。
タリバンは周辺地域を制圧した後、ザランジの制圧を長らく狙っていた。
しかしニムルズ州の副知事は記者団に対し、ザランジが「戦わずして」陥落したと明かした。
副知事をはじめとする地元当局者は、アフガン政府からの援軍が足りていないと訴えた。
「ザランジはしばらくの間、脅威にさらされていたのに、中央政府の誰も我々の話に耳を傾けなかった」と、副知事は述べた。
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タリバンが最後に州都を占領したのは、北部クンドゥズを一時的に制圧した2016年。
今年5月、20年にわたる軍事作戦を終えた米軍や北大西洋条約(NATO)加盟各国の連合軍が段階的に撤退し始めたことに伴い、タリバンは大規模な軍事作戦を開始した。アナリストたちは、ザランジの制圧でタリバンの勢いがさらに加速するとみている。
米軍とアフガン軍は南部ヘルマンド州の州都ラシュガル・ガーにあるタリバンの拠点を空爆した。
政府軍は、戦略的に重要な都市であるザランジを失うことはないと誓っており、同市での戦闘は熾烈(しれつ)を極めている。当局は市民に退避するよう求めているが、数千人が閉じ込められている。命からがら逃げ出す人もいる。


ヘラートでは、政府によるタリバンへの攻撃を見越して、住民が自宅から逃げ出している。
「私たちには何も残っていないし、どこに行けばいいのかわからない」と、住民の1人はAFP通信に述べた。
「人権に対する侮辱」
首都カブールでは6日、政府メディアセンターの所長が、モスクから車で移動する際にタリバンに射殺される事件があった。
タリバンは、所長の「行いに対して罰を与えた」とした。
アフガン政府の同僚たちは、所長の殺害は衝撃的で卑怯だと非難した。
アメリカのロス・ウィルソン駐アフガン臨時代理大使は、事件について、「悲しい、嫌悪感を感じる」とツイート。「こうした殺人はアフガン人の人権と言論の自由に対する侮辱だ」と付け加えた。
3日にはカブールで、国防相の自宅を狙った自動車爆弾攻撃や銃撃があり、4人が死亡した。ビスミラ・カーン・モハマディ国防相は当時、自宅にはいなかった。
国連安全保障理事会は6日に会合を開き、各国代表が殺りく行為の拡大に懸念を表明した。
アフガンの国連特使は、武装勢力に攻撃を止め、意味のある和平交渉に参加するよう圧力をかけるための対応を安保理に求めた。
「タリバンがアフガニスタンを破壊し、国際社会を脅かすのを阻止するのが、我々の共同の責任だ」
こうした中、アフガニスタン独立人権委員会の委員長は、暴力によって政権を奪取しようとすれば、タリバンが主張する政府が認められることはないと、周辺各国がタリバンに伝える必要があるとBBCに述べた。









