アフガニスタンで市街戦が激化、タリバンの進攻続く

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アフガニスタン南部ヘルマンド州のラシュガル・ガーで、政府軍と反政府組織タリバンによる市街戦が激化している。制圧されれば、初めてタリバンの手に渡る州都になるかもしれないとの懸念が広がっている。
政府軍とアメリカ軍による空爆にもかかわらず、ラシュガル・ガーではタリバン戦闘員による攻撃が激しさを増している。
タリバンはテレビ局を制圧したと発表。また、市民数千人が郊外に逃れ、建物内に避難している。BBCが取材した医師は、「そこら中で戦闘が起きている」と話した。
一方、政府軍もタリバンとの戦闘のために数百人の兵士を展開している。
国際駐留軍のほとんどが9月までにアフガニスタンから撤退すると発表されて以降、タリバンは農村地域を中心に急速に勢力を拡大してきた。
特に、ヘルマンド州はアメリカやイギリスの軍事作戦の中心地だったこともあり、タリバンの手に落ちれば政府軍にとっては大きな痛手となる。
タリバンはもともと、ヘルマンド州北部やカンダハール州、ウルズガン州、ザブール州など、アフガニスタンの南部や南西部を拠点としてきた。しかしBBCアフガンの取材では現在、ガズニ州やマイダン・ヴァルダク州など北部や北東部、中部の州にも勢力を広げており、各地の州都を攻撃している。
アフガニスタン第2の都市カンダハールでも戦闘は続いており、1日にはロケット弾が同市の空港に落ちた。
タリバンにとっては、カンダハールを制圧すればアフガニスタン南部を掌握する大きな足掛かりとなり、象徴的な勝利になるといわれている。
西部の第3の都市ヘラートでも、激しい戦闘が数日続いている。7月30日に国連の施設が攻撃された後、政府軍が複数地域で撤退を迫られた。

政府軍がタリバンの進攻に苦戦する中、アシュラフ・ガニ大統領は戦闘の激化について、アメリカ軍の突然の撤退が原因だと非難した。
議会演説でガニ大統領は、「現在の状況は、(アメリカ軍の)突然の決定によるもの」と指摘。アメリカ軍には、撤退すれば「相応の結果」が訪れるだろうと警告していたとのべた述べた。
アメリカ軍は大半がすでにアフガニスタンから撤退したものの、政府軍を支援して空爆を行っている。2日夜にも、ラシュガル・ガーでの空爆は続いた。
ジョー・バイデン政権は2日、タリバンの攻勢が強まったことを受け、アメリカ軍に協力していたアフガニスタンの難民数千人を受け入れると発表した。
また、タリバンがパキスタン国境の町で拘束した「市民を殺害」し、戦争犯罪を犯している可能性があると非難している。
アントニー・ブリンケン米国防長官は、タリバンが行っている「非常に不快で全く容認できない」残虐行為の報告を受けていると語った。
国境検問所のあるスピン・ボルダークで撮影された動画には、復讐(ふくしゅう)殺人の様子が映されていた。こうした非難について、タリバンは関与を否定している。
タリバンはすでに主要な検問所を複数占領しており、アフガニスタンへの輸入品の関税を徴収している。
戦闘によって貿易が縮小したため正確な額は不明だが、たとえばイラン国境のイスラム・カラでは、1カ月の税収が2000万ドル(約21億8000万円)になることもあるという。

アフガニスタンでは一連の戦闘により、今年上半期だけで民間人が非常に多く犠牲になっている。国連によると、市民の死者1600人の大半は、タリバンなど反政府組織の手による殺害だという。また、戦闘を受けて多くの人が家を追われており、今年に入って約30万人が避難民となっている。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、タリバンが農村地域を広く制圧しているため、バダフシーャン州、クンドゥーズ州、バルフ州、バグラーン州、タハール州などで、国内難民の波が起きていると指摘した。
郊外の村などに数日間、避難してから家に戻る人もいれば、長期間家を離れる人もいる。AFP通信は、一部の難民や政府軍が、タリバンの攻勢でタジキスタンへと押しやられていると報じている。








