タリバン、国境の要所複数を制圧と アフガニスタン

画像提供, Reuters
アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンは9日、イランとトルクメニスタンへ至る国境通過の要所数カ所を制圧したと発表した。
タリバンは、北部ヘラート州で大攻勢を展開し、イランに近いイスラム・カラ、トルクメニスタンと国境を接するトルグンディの街をそれぞれ制圧したと明らかにした。アフガニスタン政府当局もこれを認めている。
現場動画では、国境税関事務所の屋根からタリバン勢力がアフガニスタン国旗を引き下ろす様子が映っている。
イスラム・カラ検問所は、アフガニスタンとイランを結ぶ最大級の交易の要所で、月額約2000万ドル(約22億円)の収入を政府にもたらしていた。トルグンディは、アフガニスタンとトルクメニスタンを結ぶ2大交易拠点のひとつ。
アフガニスタン内務省のタレク・アリアン報道官はAFP通信に対して、アフガニスタン軍が全力で2つの検問所奪還に取り組んでいると話した。
タリバンのザビフラ・ムジャヒド広報担当は、イスラム・カラ検問所は「完全に我々の支配下にある」と述べた。
タリバン兵はヘラート州で5郡を、戦うことなく制圧したという情報もある。


アメリカが主導した連合軍が駐留部隊の撤収を終えようとするなか、タリバンは急速に支配地域を広げている。
タリバンは、すでに国土の85%を支配下に収めたと主張しているが、これを客観的に検証することはできず、アフガニスタン政府は否定している。
アフガニスタンには34州に約400郡が行政地区としてある。タリバンがこのうちすでに、西はイラン国境付近から東は中国国境付近まで、約3割の郡を制圧したという見方もある。
駐留米軍は今月2日、アフガニスタンの首都カブール北郊にあるバグラム空軍基地から、米軍や北大西洋条約機構(NATO)加盟各国軍の駐留部隊の撤収が終わったと発表した。
アフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領は、アフガニスタン軍だけでタリバンの動きを十分抑え込めると強調している。しかし、最近ではアフガニスタン兵1000人以上がタリバンと衝突後、隣国タジキスタンへ逃れる事態も起きている。
ロシア政府は9日、アフガニスタン―タジキスタン国境の約7割にあたる地域をタリバンが急速に制圧したと述べた。ロシア外務省のマリア・ザハロヴァ報道官は、ロシア政府がアフガニスタンの全当事者に自制を求めていると述べた。
これに先立ち、アメリカノジョー・バイデン大統領は8日、アフガニスタンにおける米軍の活動は8月31日に終了すると明らかにした。バイデン氏はホワイトハウスで演説し、「これまでと違う結果達成の合理的な期待がないまま、新世代のアメリカ人をまたアフガニスタンの戦争に送り込むつもりはない」と述べていた。
その上でバイデン大統領は、アフガニスタンに統一政府ができる可能性はかなり低いと話していた。
米情報関係者の間には、タリバンが今後6カ月のうちにアフガニスタン全土を支配下に置く恐れがあるという見解もあるという。
イギリス国防参謀長陸軍大将のサー・ニック・カーターはBBC番組「トゥデイ」で、アフガニスタンには今後3つのシナリオが考えられると説明した。
アフガニスタン政府が「全州の州都を維持している現状で示しているように、踏みとどまる」可能性がひとつだと参謀長は述べ、「2つ目のシナリオはとても悲しいもので、国が分裂し政府が崩壊するものだ。タリバンが国の一部を支配し、1990年代のように他の国民や民族がそれ以外を支配するという状態だ」と話した。
「3つ目の、もっと前向きなシナリオは、具体的な政治的譲歩と協議が実現する展開だ。アフガニスタンでの米軍の活動は正式には8月31日に終わるが、それまでに大半の外国部隊は撤収を終わらせている」
アフガニスタン政府とタリバンの和平交渉は続いているものの、膠着(こうちゃく)が相次ぎ、大きい進展のない状態。










