アフガン兵1000人超が逃走 タリバンとの戦闘避け隣国タジキスタンへ

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タジキスタンの国境警備隊は5日、隣国アフガニスタンの兵士1000人以上が反政府武装勢力タリバンとの衝突を受け、タジキスタンへ逃れてきたと明らかにした。
タジキスタンの国境警備隊はこの日の声明で、アフガン兵が「自分たちの命を守るため」に国境を越えたと発表した。
アフガン兵がタジキスタンへ逃れたのは、この3日間で3度目で、過去2週間では5度目。合わせて1600人近い兵士が越境したことになる。
タジキスタン国家安全保障委員会は、今回逃れてきた集団は武装勢力との戦闘後、5日早朝にやってきたと説明した。
アフガニスタンでは暴力行為が増加しており、タリバンはここ数週間、特に同国北部で大きな成果をあげている。
20年にわたり同国に駐留した米軍や北大西洋条約機構(NATO)軍の撤退が進む中、タリバンの攻撃は勢いを増している。
タジキスタンと国境を接するバダフシャン州とタカール州では、タリバンの急速な前進がみられた。

「タリバンがすべての道路を遮断したため、彼らは国境を越える以外に行き場がなかった」と、アフガニスタンの高官は5日、ロイター通信に語った。
バダフシャン州選出のザビフラ・アティク議員によると、アフガン部隊は様々なルートを使って逃れたという。タジキスタンの国境警備隊は、アフガン兵には避難所や食料が提供されているとしたが、それ以上の詳細はわかっていない。

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タリバンが攻撃を継続
ドナルド・トランプ前米政権下の昨年2月末、アメリカとタリバンは今年5月1日までに米軍が完全撤退する代わりに、タリバンは外国部隊への攻撃をやめ、タリバン支配下にある地域でアルカイダなどの過激派組織の活動を認めないことで、合意していた。
ジョー・バイデン米大統領は今年4月、タリバンによる攻撃継続などを理由に、撤退期限を5月1日から9月11日に延期すると発表した。今年の9月11日は、アメリカのアフガニスタン空爆開始の契機となった米同時多発攻撃から20年の節目にあたる。
タリバンはアフガン軍との戦闘停止には応じず、現在では国土の約3分の1を支配しているとされる。
アフガン政府軍だけで抑え込めるのか
アフガン駐留軍の大部分は9月の期限を前にすでに撤退しており、同国の治安維持を引き継ぐはずだったアフガン軍の崩壊が懸念されている。
アフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領は、政府軍には反乱勢力を抑え込める能力が十分あると主張しているが、戦闘から逃れるためにパキスタンやウズベキスタンに避難する兵士が増えているとの報告もある。
近隣諸国はこのまま戦闘が激化し続け、難民が流入してくる場合に備えている。
タリバンのスポークスマン、スハイル・シャヒーン氏はBBCに対し、アフガン兵が戦闘を拒否した後、調停を経て多くの地区がタリバンの占領下になったとし、最近の暴力行為の増加はタリバンの責任ではないと主張した。
BBCのリーズ・ドゥーセット主任国際特派員は、アフガニスタンの人々にとって憂慮すべき事態だと指摘する。
タリバンは、有罪判決を受けた殺人犯の公開処刑などといったイスラムの処罰への支持、テレビや音楽、映画の禁止、10歳以上の女子の通学を認めないといった、様々な人権侵害や文化侵害で非難されてきた。
「アフガニスタンの人たちは、自分たちの生活や家族の将来に不安を感じている」と、ドゥーセット氏は言う。
アフガン国内の外交使節団を守る方法についても懸念が高まっている。
ロシアは4日、治安状況の悪化を理由に、北部マザリシャリフにある領事館の業務を一時停止したと発表した。ザミル・カブロフ、アフガニスタン特使は、アフガン軍があまりに多くの地区を降伏させたことで不安定な状況に陥っていると述べた。
トルコとイランも同市での活動を停止し、外交官をカブールに移したと報じられている。
米軍撤退は「正当」
米軍が主導する有志連合によるアフガニスタン攻撃は、同時多発攻撃を機に2001年10月7日に始まった。
同時多発攻撃はアフガニスタンを拠点にするタリバンが支援するアルカイダによるものとされた。
バイデン大統領は、20年近い米軍の活動によって、イスラム聖戦派勢力がアフガニスタンを拠点に欧米攻撃を計画することはもはやできなくなったとして、米軍の撤退は正当だと主張している。
しかし、アフガニスタンのハミド・カルザイ前大統領はBBCに対し、テロと過激主義を倒すというNATOと米軍のアフガンでの任務は失敗に終わったと考えていると述べた。
そして、アフガン政府とタリバン双方に対し、「和平のためにできるだけ早期に腰を据えて話し合う」よう求めた。









