バイデン米大統領、米軍撤収の正当性主張 タリバン勢力拡大

Afghan security forces guard a damaged building

画像提供, Getty Images

ジョー・バイデン米大統領は8日、アフガニスタンにおける米軍の活動は8月31日に終了すると明らかにした。アフガニスタンでは駐留米軍や北大西洋条約機構(NATO)各国の部隊が撤収するなか、反政府勢力タリバンが勢力を拡大している。

2001年9月の米同時多発攻撃を受けて米軍が同年10月にアフガニスタンを攻撃して以来、4人目のアメリカ大統領となったバイデン氏は、米軍が駐留を続けるのは選択肢としてあり得なかったと述べた。さらに、米軍の素早い撤収については、人命保護につながったと擁護した。

ホワイトハウスで演説したバイデン氏は、「アフガニスタンであと1年だけ戦い続けるのは、解決にはならない。むしろ、あの国で果てしなく戦い続けるためのレシピになってしまう」と述べた。

大統領はさらに、米軍などの撤収を機にタリバンがアフガニスタンを制圧してしまうと決まったわけではないとして、戦闘員約7万5000人のタリバンは兵30万人を擁するアフガニスタン軍に決してかなわないと述べた。

また、米軍や米政府のために働いた通訳や翻訳者などのアフガニスタン人を、国外へ避難させるため、米政府として取り組んでいると明らかにした。すでに2500人のアメリカ移住を可能にするため特別移民ビザを発行しているものの、実際に渡米した人は今のところその半数にとどまっているという。

駐留米軍の撤収については、ドナルド・トランプ前政権が昨年3月、今年5月までに終わらせることでタリバンと合意していた。今年1月に発足したバイデン政権は、撤収期限を今年9月11日に延期していた。

撤収完了後も米軍は、650~1000人の兵をアフガニスタンに残し、大使館やカブール国際空港、主要政府庁舎などの警備に当たる予定。

最近のアメリカ国内の世論調査では、アフガニスタン撤収に賛成する人は支持政党を問わず多いものの、撤収に否定的な人は野党・共和党の支持者の方が多い。

アフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領は、アフガニスタン軍だけでタリバンの動きを十分抑え込めると強調している。しかし、最近ではアフガニスタン兵1000人以上がタリバンと衝突後、隣国タジキスタンへ逃れる事態も起きている。

タリバンのスハイル・シャヒーン広報担当は今月初め、衝突が増えているのはタリバンの責任ではないとBBCに話した。多くの地域がタリバン支配下に入っているのは、戦闘で制圧したからではなく、国軍兵が戦闘を拒否したため、仲介を経てタリバンがその地域を統治することになったのだとシャヒーン氏は話した。

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<分析> リーズ・ドゥーセットBBC主任国際担当編集委員

Analysis box by Lyse Doucet, chief international correspondent

バイデン上院議員とバイデン副大統領は、アメリカがアフガニスタンから出るべきだと考えていた。そのバイデン氏は今や大統領として、全軍の総司令官だ。

アフガニスタンへの支援は止まらないと言明しつつ、アフガニスタンの政治家も国軍も単独でタリバンによる政権奪取を阻止する能力があると、バイデン氏はことさらに強調した。そして、「そうするかどうかだ」と問いかけた。

アフガニスタンの人たちも、同じ質問を繰り返している。政府の混乱と不和が続き、地方でタリバンが劇的な戦火を上げている状況で。

バイデン大統領は女性や女子の権利の重要性も力説した。しかし、すでにタリバン支配下にある地域にその声は届かず、そうした地域では女の子が学校に行けなくなっている。

あらゆるシナリオを検討する大統領として知られるバイデン氏は、アフガニスタンに統一政府ができる可能性はかなり低いと言明した。そして、カブールの政府が崩壊したとしても、アメリカにできることは、あるいはアメリカがするべきことは、あまりないという考えも示した。

それはアフガニスタン自身、そして近隣諸国の役目なのだと。

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