アメリカとNATO、アフガニスタンからの正式撤退開始

アフガニスタンに駐留する米軍の撤退作業が正式に始まった。ジョー・バイデン米大統領は今年9月11日までにアメリカの「最長の戦争」を終わらせると表明している。
米軍や北大西洋条約(NATO)加盟各国の連合軍の撤退開始を受けて、アフガニスタンの反政府勢力タリバンは、外国部隊への攻撃を中止するというこれまでの合意は無効になったと主張。これに対して駐留米軍は1日、連合軍への攻撃には「強力に対抗する」と強く警告した。アフガニスタン軍は厳重警戒態勢を敷いている。
トランプ前政権下の昨年2月末、アメリカとタリバンは今年5月1日までに米軍が完全撤退する代わりに、タリバンは外国部隊への攻撃をやめ、タリバン支配下にある地域でアルカイダなどの過激派組織の活動を認めないことで、合意していた。
ロイター通信は複数の関係者筋の話として、タリバンはこれ以来、欧米部隊の拠点を他のイスラム過激派から守りつつ、アフガニスタン兵や市民を攻撃していたと伝えている。
アフガニスタン駐留米軍のスコット・ミラー司令官は1日、「間違えないように。連合軍へのあらゆる攻撃に強力に対抗する武力をわれわれは保有しているし、アフガニスタン軍を支援するための武力も保有している」と警告する動画を発表した。
駐留米軍によると、1日午後にはカンダハル空軍基地へ「効力のない間接的な砲撃」を受けたものの、人員や機器への被害はなかったという。

バイデン米大統領は今年4月、タリバンによる攻撃継続などを理由に、撤退期限を5月1日から9月11日に延期すると発表した。今年の9月11日は、アメリカのアフガニスタン空爆開始の契機となった米同時多発攻撃から20年の節目にあたる。
タリバンの広報官は、アメリカが昨年2月の合意の「理念に違反したことが、(タリバンの戦闘員が)占領軍にふさわしいあらゆる対抗措置を開始するきっかけになった」とコメント。
一方で米軍の側は、撤退作業の実務に取り掛かっている。AP通信によると、何をアメリカに送り、何を処分品としてアフガニスタン国内で売却するのか、装備の在庫点検をしているという。
攻撃続く
米軍が撤退準備を進める一方で、タリバンとアフガニスタン軍の激しい戦闘が続いている。
南東部ガズニ州では4月30日夜にタリバンが軍施設を襲撃し、多数の犠牲が出たとみられる。同じ日には東部ロガール州プレアラムでトラックによる自爆攻撃があり、約30人が死亡し110人が負傷した。被害者の多くは生徒だった。

画像提供, Reuters
バイデン大統領は、20年近い米軍の活動によって、イスラム聖戦派勢力がアフガニスタンを拠点に欧米攻撃を計画することはもはやできなくなったとして、米軍の撤退は正当だと主張している。
またアフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領も、政府軍だけで十分、反乱勢力を押さえ込めると表明。米軍とNATO各国の部隊が撤退すれば、タリバンが戦う理由がなくなるとして、タリバンに向かって「お前たちは誰を殺しているんだ? 何を破壊しているんだ? 打倒外国人というお前たちの建前はもう通用しない」と述べている。
しかし、アフガニスタン国内では警戒感が根強い。
「タリバンが支配していた暗い時代にまた戻ってしまうのではないかと、みんな怖がっている」と、首都カブールの民間ラジオ局で働くメナ・ノウロジさんはAFP通信に話した。「タリバンは前と同じだ。変わっていない。アメリカは少なくとも1年や2年は駐留を延長すべきだった」。
BBCのパキスタンおよびアフガニスタン特派員、セカンダー・カーマニ記者は、国際社会の関与が終了に向かう一方で、タリバンとアフガニスタン政府の和平協議が膠着(こうちゃく)している現状では、国内の武力紛争はまだ当面続くしかないだろうと指摘する。








