【解説】 COP28の「大きな前進」 本当に気候変動に影響与えるのか

マット・マクグラス環境担当編集委員

第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)のスルタン・アル・ジャベル議長(左)と気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCC)のサイモン・スティル事務局長(13日、ドバイ)

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画像説明, 第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)のスルタン・アル・ジャベル議長(左)と気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCC)のサイモン・スティル事務局長(13日、ドバイ)

アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれていた第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)が13日、全会一致の合意をもって閉会した。合意の槌(つち)が打ち下ろされた時には温かい言葉があふれたが、今回の会議は本当に、気候変動に影響を与えるのだろうか?

この華やかな大都市で採択された合意は、初めて気温上昇における化石燃料排出の役割にくぎを刺し、将来的な石炭と石油、ガスの削減について概要を示した。

国連は、この合意は歴史的なもので、2015年のパリ協定以来の大きな前進だとしている。

しかしこの合意だけで、今回のCOPの「北極星」ともいえる、今世紀の世界平均気温の上昇を工業化以前と比べて1.5度以下に抑える目標を達成できるのだろうか?

その可能性はほとんどない。

この合意の主眼である「エネルギーシステムにおける化石燃料からの脱却」は、確かに大きな転換点だ。

しかしこの文言は、多くの国が望んでいたものよりはるかに弱い表現だ。

議長国のUAEは会議開始当初から、「化石燃料のフェーズ・アウト(段階的な完全廃止)」という強い文言を盛り込んでいた。

しかし、多くの人々の反対に直面した結果、最初の合意草案でこの表現を削除した。

このことは進歩的な人々の怒りを買い、多くの人が産油国を批判した。

南スーダンは、気候変動の影響を最も受けている国のひとつだ。写真は洪水の中にたたずむ男性

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画像説明, 南スーダンは、気候変動の影響を最も受けている国のひとつだ

だがこれは、サウジアラビアのような国のせいばかりではない。

表現が弱くなった主要因は、声高に叫ばれる化石燃料のフェーズ・アウトに確信を持っていない、中所得の途上国の姿勢だ。

ナイジェリアやウガンダ、コロンビアといった国々からは、石炭や石油、ガスからの収入を使って、より環境に優しいエネルギーへの移行費用を確保する必要があるのだという苦情が出ている。

コロンビアは、化石燃料の使用を縮小したことで国債などが格下げされたと主張している。つまり、グリーンに向けて国際的な融資を受けるには、さらに大きなコストがかかるということだ。

COP28の最終合意では、各国にエネルギーシステムにおける化石燃料からの「脱却」を求めている。しかしプラスチックや輸送、農業に関しては求めていない。

一方で、2030年までに自然エネルギーとエネルギー効率を現在の3倍にするという新たな約束など、排出量抑制に役立つ他の要素も多く含まれている。

これにより、石炭、石油、ガスによる発電がいくらか、風力と太陽光に取って代わられることになる。

COP28の本会議の写真

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もうひとつの重要な要素は、各国が2025年までに、より強力な炭素削減計画を提出するよう求められていることだ。

中国とインドがグリーンエネルギーへの急速な移行を新たな約束の中核とするなら、世界的な取り組みに大きな変化をもたらすだろう。

しかし、この協定では「移行のための燃料」の役割も認められている。これは天然ガスの継続使用を示す国連用語だ。

また、炭素回収・貯留の技術も支持されている。これは、石油生産者が掘削を継続するために利用したいと考えている技術だ。

一方で、小島嶼(とうしょ)国の代表らは、自分たちが会議室にいない間に合意が結ばれたと怒りを表明している。

こうした国々は、短期的な排出削減が進まないことが、自分たちの生活を脅かす重要な弱点だと考えている。

ドイツのアナレナ・ベアボック外相は、「私たちはあなた方を見ている。そして、この文書があなた方、あるいはあなた方の子供たちにとって十分なものではないことを理解している」と述べた。

ベアボック氏は、ドバイでの合意はスタート地点に過ぎないと語った。これこそ、今回の会議の重要な収穫だと私は考えている。

オブザーバーらは、次回と次々回のCOPもこの合意の一部であり、世界が気候変動に関する方向性を修正するのを手助けすると考えている。来年のCOPはアゼルバイジャンで、再来年はブラジルでそれぞれ開かれる予定だ。

自然エネルギーのコストが下がり続ける中、化石燃料への圧力は高まり続けると見られている。

2025年、ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァ大統領は、化石燃料を永久に使われないようにするチャンスを得るだろう。