【解説】 COP28、石油国家UAEで開幕 気候変動に変化をもたらせるのか
ジャスティン・ロウラット気候編集長、BBCニュース

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これからの2週間、たびたび「COP28」について耳にすることだろう。
気候変動に関する世界で最も重要な会議である「国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP)」の第28回が、議長国を務めるアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで30日に開幕した。同国は世界で十指に入る産油国だ。
COP28は、世界の指導者らの会合としては今年最大のもの。
イギリスの国王チャールズ3世やリシ・スーナク首相ら各国の首脳数十人と、約7万人が参加する。
石油が経済の中心となっている国で気候変動の会議を開くことは、前々から物議を醸していた。加えて、UAEは石油やガスの取引のために会議を利用することを計画していると、BBCが証拠を基に報じたことで、懸念はいっそう高まった。
果たして、世界で最も豊かな石油国家の一つで開催される首脳会合(サミット)は、気候変動に対して意味ある行動を生むことができるのか。
活動家のグレタ・トゥーンベリさんは、国連の気候サミットは「たわ言」でしかないと言っている。口先だけで行動が伴わないとの指摘だ。
だが、もしCOPが存在しなければ、それに代わる何かは必ず必要だ。
自分のことを、地球を訪れた宇宙人だと想像してみてほしい。
あなたはこの星が、住人たちの行動によって潜在的な大災害に直面していることを発見する。
すると、まずこう言うだろう。「みんなで集まって、どう解決するか合意しないとだめだよ」。
しかし、大変なのは事態を進展させることだ。
気候変動の原因となる温室効果ガスの排出削減に世界が初めて合意したのは、わずか8年前、パリで開かれたCOP21でのことだった。
当時200カ国近くが、世界の産業革命前からの気温上昇を2度より「ずっと低く」し、1.5度に抑える「努力を追求する」と宣言した。国連の科学者らが、気候に最も危険な影響が及ぶのを回避するために重要だとしている目標だ。
2015年に採択されたこのパリ協定を、国連は大きな前進であり、「ほぼ普遍的な気候変動対策」を生んだと評価する。世界の温暖化レベルが、これで引き下げられることになった。
ところが最近の国連報告書は、世界の取り組みについて、パリ協定の目標達成に必要なペースからはほど遠いとした。
この点に対処することが、今回の会議の大きな課題の一つだ。
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議題のトップに来るのは、国連用語で「国が決定する貢献」(NDC)と呼ばれる各国政府の削減目標を、より包括的なものにするための合意形成だ。
これは、目標は時間とともにどんどん思い切ったものにしていき、歯止めのように不可逆的に熱意を高めていくべきだという考えに基づいている。
COP28で期待されるのは、NDCの対象範囲を広げ、すべての経済活動からの排出量をカバーすることで合意することだ。例えば、食品や農業が拡大対象に考えられる。
また、これは望みは薄いが、各国に対して、約束したことについてもう少し説明責任を果たさせる努力もある。
現時点では、パリ協定は各国に何も強制できない。国連のプロセスでは、すべての行動が自発的なものなのだ。
もう一つの重要な問題はカネだ。
誰が何に対して誰に支払うかは、多くの議論が交わされるだろう。
明るいニュースとしては、風力発電や太陽光発電のような再生可能エネルギーの技術がはるかに安く利用できるようになっており、それらによって発電される電力は多くの場合、化石燃料より安価なことが挙げられる。

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UAEの目標の一つは、世界の再生可能エネルギー容量を2030年までに3倍にすると世界に約束させることだ。アメリカ、中国など主要20カ国・地域(G20)はすでにこれに合意している。UAEはまた、エネルギー効率の改善率を2030年までに2倍にすることでも、各国の合意を得たい考えだ。
こうした対策は、長期的には節約になるとしても、多額の先行投資が必要だ。
また、すでに予測されている気候変動の影響に備え、対処するには、膨大な費用がかかる。
これらの議論で中心にあるのは、世界を二分する深刻な不平等だ。
豊かな国々の大半は、化石燃料を燃やして豊かになった。
貧しい国々は、自分たちが環境に配慮した行動を取るとともに、豊かな国々が引き起こした気候変動への影響に対処するために、豊かな国々は資金を拠出すべきだと主張する。
途上国の気候変動対策を支援するために年間1000億ドルを拠出するという、何年も前からの先進国の約束(当初は2020年までに実現するとされていた)は、ようやく守られたようにみえる。
また、世界銀行や国際通貨基金(IMF)のような大きな国際機関が、資金繰りを助けるために融資ルールの変更を求める圧力に屈していることを示す証拠にも注目すべきだ。
しかし、すべてが順風満帆とはならないだろう。
昨年エジプトで開かれたCOP27の大きな成果は、最貧国の気候災害に対処するための「損失と損害」基金の新設で合意したことだった。
だが、この基金にどの国が資金を投じるのか。欧州連合(EU)は財布を開く意向を示しているが、アメリカやその他の経済大国はどうなのか。
中国、サウジアラビア、湾岸諸国はCOPにおいては依然、途上国と定義されている。そのため、こうした基金に資金を拠出する義務はなく、論争の元となっている。
そして最後に、COPの定番である「ダウンかアウトか」ゲームの再来も予想される。
これは、石炭、石油、ガスといった、温室効果ガス排出抑制の技術なしに燃焼されている「使用の衰えない」化石燃料について、世界の長期的な目標を表す際に、どんな言葉を使うかということだ。
言い換えれば、地球を汚す化石燃料の生産と使用を、世界は時間をかけて徐々に減らしていくべきなのか(「フェーズ・ダウン」)、それとも完全にやめるべきなのか(「フェーズ・アウト」)、そしてそれはいつなのか――ということだ。

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この問いは、今年の会議に特にぴったりだ。石油生産能力の増強を計画している石油国家が開催場所になっているからだ。
COP28のスルタン・アル・ジャベル議長は「フェーズ・ダウン」を望んでいる。だが、EUを含む多くの国々は、完全な「フェーズ・アウト」を求めるとみられている。
驚くべきことに、世界はまだどちらにも正式にコミットしていない。
現在生産中あるいは生産準備中の化石燃料は、世界が温暖化を1.5度に抑えるために燃焼できる上限をはるかに上回っているとの警告が出されているにもかかわらずだ。
というわけで、ともかく議論を始めよう!
追加取材:マーク・ポインティング










