怒りと陰謀論…ワグネル関係者の反応は プリゴジン氏の反乱

グリゴー・アタネジアン、マリア・コレニュク、BBCグローバル偽情報チーム

ロシアの雇い兵組織「ワグネル」の創設者エフゲニー・プリゴジン氏

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ロシアの雇い兵組織「ワグネル」の創設者エフゲニー・プリゴジン氏はこれまで、自分は2万5000人の戦闘員の忠誠を得ているのだと、自慢していたかもしれない。しかし、プリゴジン氏による反乱が急速にしぼんでしまった結果、ワグネルの忠誠心も急速に変化しているようだ。

BBCヴェリファイ(検証チーム)が分析したインターネット上のメッセージでは、ワグネル部隊員やその家族らは、プリゴジン氏がモスクワへの大胆な前進を中止し、占領した南部ロストフから撤退したことに、激怒している。

ワグネル戦闘員を名乗る投稿者は、メッセージアプリ「テレグラム」で20万人が登録するチャンネルで、「あのはげのくず野郎は、自分の手でワグネルを破壊した。手当たり次第に周りを巻き込んでひどい目に遭わせた」と息巻いた。

「またしても、無意味な反乱だった」と、この投稿者は付け加えた。テレグラムはワグネル戦闘員やロシアの主戦派が好んで使うソーシャルメディアで、匿名で数千人がやりとりしている。

プリゴジン氏がロシア政府に対する「正義の行進」を宣言したのもテレグラムだった。しかし現在は同じ場所で、大勢がプリゴジン氏に背を向けている。

アメリカ出資の「ラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティー(RFE/RL)」ロシア語サービスのマーク・クルトフ記者は、ワグネル戦闘員の親族が使っているテレグラムのチャットグループにアクセスした。クルトフ氏は、そこで交わされているメッセージの一部をBBCに共有した。

ある女性は、「みんな、ただ裏切られた」、「プリゴジンを信じていたけど、彼がしたことは恥ずべきことだ」と書いていた。

別のユーザーは、「プリゴジンはこんなことするべきじゃなかった。純粋な裏切りだ」と投稿していた。

ワグネルを支持するインフルエンサーたちはこれまで、声高にプリゴジン氏を絶賛してきた。こうした人々は何カ月もの間、プリゴジン氏の行動を称賛し、プリゴジン氏が敵対する国防省、特にセルゲイ・ショイグ国防相を攻撃していた。

しかしワグネルによる反乱が始まると、そうしたインフルエンサーの反応は驚くほど静かだった。

ワグネル派の最大チャンネル「グレーゾーン」と「メダルの裏側」は、合わせて90万人のフォロワーを持つ。しかし両グループとも、すぐにはプリゴジン氏の行動を支持しなかった。代わりに、流血の原因をショイグ氏とその忠実な支持者たちの敵対行為に求めるという、合理的で中立的な中道を目指した。

ロシア南部ロフトフ・ナ・ドヌの南部軍管区司令部を警備する雇い兵組織「ワグネル」の戦闘員

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また、陰謀論に逃げ込む人々もいた。

「ワグネルPMC短信」は、プリゴジン氏がワグネルの公式チャンネルとして承認しており、部隊によって運営されている。同チャンネルは驚くことに、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が反乱を糾弾した際、誰の名前も出さなかったと指摘。「プーチンは 『反乱軍と裏切り者 』の名前を挙げなかった。おそらくそれは、プリゴジンに正義を取り戻させ、(ロシアのウクライナ侵攻の)失敗を招いた真の裏切り行為を犯した者たちを罰するためだったのだろう」と説明した。

プーチン氏とプリゴジン氏が共謀し、「ロシアのエリートたちの忠誠心を試す」ためにクーデター未遂を起こしたという説は、ソーシャルメディア上で急速に広まった。ワグネル戦闘員の親族が集まるチャットグループでは、「プーチンが自分でやる必要がないように、プリゴジンを通してショイグを排除するように仕組まれたのでは?」と書く女性もいた。

だが、キーウにある「応用政治研究センター」のウォロディミル・フェセンコ局長は、この説に反対だ。

「もし反乱が仕組まれたものなら、何のために? プーチン氏がどれほど弱いかをみんなに見せるためか?」と、フェセンコ氏は疑問を呈した。

「今回起きたことで、プーチン氏は公に恥をかいた。そしてプリゴジン氏も、世間的な評価を一部失った。これまでは力を発揮していたのに、ただ撤収した」

しかし、プリゴジン氏が反乱当日、撤退に同意した後に撮影された発表は、今もインターネット上で憶測を呼び続けている。

プリゴジン氏はそこで、「今日はいい結果が出た。みんなを元気づけた」と述べている。

動画説明, ワグネルの反乱……5つの影響を考える