【解説】 アメリカの「大陪審」とは何なのか

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アメリカのドナルド・トランプ前大統領が、ポルノ女優への口止め料の支払いをめぐって起訴される可能性が出ている。現在、ニューヨーク州の大陪審が起訴が妥当か審理しており、元側近らから証言を得るなどしているとされる。大陪審とはどんな機関で、どんな役割をもつのか。
大陪審の目的は?
大陪審は検察官によって設置され、起訴に十分な証拠があるか判断する。
法律用語で言えば、犯罪が行われたと信じられる「相当な理由」の有無を判断するということになる。
結論を出すため、大陪審には捜査権限が与えられる。関係者に召喚状を出して証言を命じたり、関連書類を提出させたりできる。
陪審員らは証人に質問もできる。証人は弁護士の同席が認められない。
法制度に組み込まれている根拠は?
アメリカの「権利章典」に示されている。合衆国憲法の修正第5条は、「何人も、大陪審による告発または正式起訴によるのでなければ、死刑を科しうる罪その他の破廉恥罪につき公訴を提起されることは無い」と定めている。
どういう人たちで構成?
大陪審は一般人からなる。米裁判所のハンドブックによると、陪審員は「有権者登録リスト、実際の有権者リスト、必要に応じて他の名簿などから無作為に抽出される」。
陪審員は一つの事件で何カ月にもわたって呼び出されることがある。ただ、法廷に出るのはひと月に数日で済む。
陪審員は何人いる?
大陪審によって6人から23人まで幅がある。連邦大陪審は通常16~23人で構成される。
陪審員の数が多いことから、「大」陪審と呼ばれる。裁判になった後の審理陪審(または「小」陪審)はふつう、これより少人数だ。
審理陪審との違いは?
審理陪審と違い、大陪審は罪の有無を判断しない。
秘密裏に開かれるのも特徴だ。メディアは取材に入れない。一般的には、捜査対象者は出席できない。
秘密にするのは、陪審員を脅迫から守るのが理由。無実の人を根拠のない訴えから守る目的もある。
起訴はどう決まる?
大陪審が起訴(または刑事訴追)を勧告するために、全会一致する必要はない。
多数で決するが、何をもって多数とするかの要件はさまざまだ。陪審員の3分の2で決める場合があれば、4分の3を必要とする場合もある。
連邦、州、郡の検察はすべて大陪審を利用する。連邦法違反の犯罪については、大陪審の起訴が必要だ。
ただ、大陪審が起訴すべきだと投票で決しない場合でも、検察は裁判官を説得すれば起訴に持ち込める。
大陪審の審理は何カ月、時には何年にも及ぶことがある。
すべての州に大陪審を認める規定があるが、実際には約半数の州では利用されていない。それ以外の州では、連邦レベルではない犯罪で容疑者を起訴するかどうか、予備審問で決めることが多い。
(英語記事 What is a US grand jury?)








