習近平氏に1人で抗議した「ブリッジマン」、世界各地で行動を触発
フランシス・マオ、BBCニュース

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中国の習近平国家主席に1人で抗議する珍しい行動が、北京で見られた。中国共産党大会が開かれるなか、この行動が、世界各地で抗議の連帯をする人々を勇気づけている。
北京市内の橋に、習氏を独裁者と非難する横断幕が張られたのは、13日のことだった。
横断幕を張った男性はすぐに拘束されたが、その行動は写真で世界中に知れ渡った。
以来、アメリカ、イギリス、ヨーロッパ、オーストラリアなどの大学のキャンパスで、似たような看板やメッセージが出現している。
米メーン州のコルビー大学の手書きの看板は、北京の男性の行動を称賛。「私たち中国人は、検閲のない場所で本心を語るこのメッセージを広めたい」と書いてあった。
それら掲示物の多くは、北京市海淀区にある四通橋に先週掲げられたメッセージを模したものだった。

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ポスターの中には、習氏のことを「私の国家主席ではない」と否定したり、「さよなら近平」と習氏の退場を求めたりするものもある。
インスタグラムとツイッターでは、複数の中国活動家らのアカウントがフォロワーたちに向かい、北京のデモ参加者の「打倒」というかけ声を心に留めて、共産党大会の週に行動を起こすよう呼びかけている。
ソーシャルメディアの複数のアカウントによると、抗議の看板などは、アメリカのスタンフォード大学、エモリー大学、パーソンズ美術大学、ロンドンのゴールドスミス・コレッジ、キングス・コレッジ・ロンドン、香港のいくつかの大学などで見受けられる。
場所によっては、設置後すぐに撤去されたとみられる。カナダ・トロント大学に掲示された看板のすぐ横には、習氏を支持する反論の手紙が張り出された。
活動家グループが公開した画像では、中国国内でも同様の看板が出現している様子が見て取れる。中国でタブーとなっている天安門事件の民主化を求めたデモに言及したものもある。
「8964の精神は決して消し去られない」。四川省の公衆トイレに書き込まれたと見られる落書きには、そう記されている。数字は天安門事件のあった日(1989年6月4日)を指している。
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先週の北京市内の橋での抗議のあと、オンラインでは素早く弾圧の動きがみられた。関連するすべての映像や写真、そして「海淀」「北京の抗議者」「四通橋」などのキーワードが、中国のソーシャルメディアから削除された。「英雄」「橋」といった漠然とした関連語も制限された。
抗議があって以降、北京では警備が強化されている。市内のさまざまな橋には、警官や職員らが臨時配置されている。

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報道によると、橋での抗議の写真をメッセージアプリ微信(ウィーチャット)で共有した一部ユーザーが、アカウントの使用を停止された。また、ツイッターで写真を共有したとされる男性が逮捕された。中国では、仮想プライベートネットワーク(VPN)を使えばツイッターにアクセスできる。
橋で抗議した謎の男性は「ブリッジマン」と呼ばれ、天安門事件で戦車の列の前に立った身元不明の中国人男性「タンクマン」と比較されている。
インターネットでは、「ブリッジマン」の身元に関して大がかりな調査が行われている。ネット探偵らは、彼を学者だと特定。ソーシャルメディアのプロフィールも突き止めた。そこには2つのツイッターアカウントなどがあるとされる。
それらの1つは、先週末に消去された。一方、新たなツイートもあり、中国の革命家、孫文の遺言の一節が書かれていた。中国の自由と平等を求めることに生涯を捧げた、という内容だった。
活動家たちからは、「ブリッジマン」の身の安全を案じる声が出ている。同時に、道路脇の労働者に変装し、拡声器でスローガンを叫び、タイヤに火をつけた、その抗議活動を称賛している。
現場の映像には、男性が警官に逮捕され、車に押し込まれる様子が映っている。BBCはこの件に関して中国の警察当局にコメントを求めたが、拒否された。
「すべてを失うのに、あなたは彼らが来るのをじっと待ち、彼らに従って車に乗り込む。あなたはマシンの中へと歩いて行くのだ」と、ある活動家のアカウントは書いた。「あなたの行為は今も世界中で響き続けている」。
男性の抗議があったのは、第20回共産党大会の直前だった。会期は今週末までの予定だ。習氏は党トップの総書記として3選される見込みで、権力の掌握を強固にする。










