イラン反政府デモで殺害された若者たち BBCが特定
BBCモニタリング、BBC偽情報検証チーム、BBCペルシャ語、ビジュアル・ジャーナリズム・チーム

イランでは現在、1979年の革命以降で最も激しい反政府デモが巻き起こっている。ここで紹介するのは、その中で殺された10代を含む若者たちだ。
この抗議運動は、先月中旬に髪の毛を覆うよう女性に義務づけた法律に違反したとして、クルド系女性のマサ・アミニさん(22)が道徳警察に逮捕され、その後に死亡した事件がきっかけとなっている。イランの人権活動家通信(HRANA)によると、これまでに222人が抗議中やその後に殺された。
イラン当局は情報を厳しく制御しており、独立した取材では、犠牲者の数や身元の特定が困難になっている。
BBCニュースはさまざまな調査手法を用い、未成年を含む40人の犠牲者を特定した。その多くは射殺されていた。
女性


これまでイランで起きてきた抗議運動は、ほぼ全てが経済状況に関するものだった。
しかし現在、街に出て抗議を行っているのは女性たち、特に若い女性たちだ。「女性、命、自由」というスローガンを叫ぶその様子は、前例のないものだ。
治安部隊はこうしたデモも鎮圧しており、中には射殺された女性もいる。
首都テヘラン周辺では、ニカ・シャカラミさんとサリナ・エスマイルザデフさんが殺された。共に16歳だった。
シャカラミさんは9月20日、友人に警察に追われているとメッセージを送った後にテヘランで行方不明になった。BBCペルシャ語が入手したシャカラミさんの死亡診断書には、「硬い物体が当たったことによる複数の負傷」のため亡くなったと書かれていた。
人権擁護団体は、ユーチューバーをしていたエスマイルザデフさんについて、9月23日に警棒を持った治安部隊に殴られた後に亡くなったと主張している。
マサ・モウゴウイさん(18)は、中部イスファハーンで亡くなった。
犠牲者には20代や30代の女性もいる。62歳のミノオ・マジディさんは西部ケルマンシャーで殺された。
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生徒


イラン各地の街や学校で、若い女性や女子生徒たちが抗議のため、法律で義務化されているスカーフを外して燃やした。イスラム教を重視する政府のイデオロギーに対する直接的な挑戦だ。
授業中にスカーフを脱ぐ様子を録画してインターネットに投稿した少女たちも街頭に立ち、大学生を中心とした運動に加わった。
高校生がこうした抗議に参加するのも前例がないという。
南東部シスタン・バルチスタン州では9月30日、複数の子供が殺害された。同州は、少数派バルチ人が多く住む。
アムネスティー・インターナショナルは、イラン当局が多数を銃撃して殺害したと非難している。
9月30日に殺害された12歳のモハマド・ラフシャニさんは、BBCニュースが特定した犠牲者の中で最年少だった。オミド・サラニさん(13)、ソデイス・ケシャニさん(14)、アリ・バラフーエイさん(14)、サメール・ハシェムゼヒさん(16)も死亡した。
北西部ケルマンシャー州では、15歳のアミルホセイン・バサティさんが殺された。16歳のザカリア・キアルさんとアミン・マレファトさんは、西アゼルバイジャン州で殺された。
民族的マイノリティーの多い地域の人々


BBCニュースの調査では、イラン全土で犠牲者が出ていることが分かっているが、長年抑圧や政治的暴力にさらされている民族マイノリティーの人々が狙われている。
モハマド・エグバル・ナエブゼヒさん(16)とオミド・サファルゼヒさん(17)は9月30日、バルチの人々が多く住む南東部バルチスタン州で殺された。
人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルは、イランの治安部隊がこの日に実弾を発砲し、大勢を殺害したと非難している。
BBCニュースが特定した犠牲者の多くは、当局と特に緊張状態にあるクルドの人々が多かった。ケルマンシャー州ではレザ・シャフパルニアさん(20)やサイード・モハンマディさん(21)が、西部クルディスタン州では20代のレザ・ロフティさんのほか、モフセン・モハンマディさん(28)、フェレイドウン・マフモウディさん(32)、40台のフォアド・ガディミさんが殺された。
抗議運動のきっかけとなったアミニさんも、クルド系イラン人だった。
治安部隊員
イラン政府は「平和的な」抗議参加者を殺害したことを否定している。その上で、20人以上の治安部隊委員が亡くなったと発表した。
犠牲者の特定方法について
イランでは情報が厳しく制限されている。インターネットは検閲され、通信速度も遅いか、時には遮断される。
政府の見解に反する事実を報道したジャーナリストは起訴される。
国際ジャーナリスト連盟によると、この抗議運動が始まってから24人の記者が当局に逮捕された。
当局はまた、真実を見つけようとする組織の信用度を下げるため、偽情報の拡散活動に大きく力を入れている。
BBCモニタリングとBBC偽情報検証チーム、BBCペルシャ語の記者らは、人権団体など信頼できる情報源から犠牲者の名前を預かり、本人や家族のソーシャルメディア投稿などと一致させた。
調査対象となった音声・動画資料には、遺体や葬儀・埋葬の写真や動画などが含まれる。調査チームはこうした資料を綿密に分析した上で、死亡診断書や公式のオンライン記録とも照らし合わせた。
一部の遺族については、取材を受けるなという圧力の中、秘密裏に連絡を取った。
取材:ケイヴァン・ホセイニ、シャヤン・サルダリザデフ、ヌーシン・ハヴァルザミン
制作・ビジュアル・ジャーナリズム:ルーシー・ロジャーズ、ドミニク・ベイリー、ラファエル・チェイコン
グラフィック:マーク・ブライソン、マット・トーマス、エルワン・リヴォールト











