【東京五輪】 イギリス代表チーム、競技ごとの成績と強化費を比較

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「チームGB」ことイギリス代表チームに五輪・パラリンピック用の強化費を提供する英政府機関UKスポーツは、東京オリンピックでの非公式のメダル目標は45~70個だとしていた。ただし、UKスポーツのサリー・マンデイ代表は、パンデミックの影響で選手たちが試合に出る機会を奪われていたため、今回は通常よりも「ホリスティック」(総合的)な姿勢で臨むとも述べていた。
最終的にイギリス代表は東京五輪で計65個のメダルを獲得した。2012年のロンドン大会と同数で、海外での大会としては2016年リオ大会に次いで2番目の成功を収める結果となった。
チームGBのマーク・イングランド統括責任者は、今回のメダル数を「イギリスのオリンピック史上最高の成果」と呼んだ。
「チームが歴史を作ったというだけでなく、私が生きている限りこれほど困難で大変な環境は絶対ないという状況で、歴史を作ったはずだ」とイングランド氏は述べ、「あらゆる逆境をはねかえしてのことで、イギリスのオリンピック史上最高の成果だと思う。東京の奇跡で、東京では素晴らしい経験をした」
それではここで、各競技のイギリス・チームの成績と、それぞれUKスポーツから受け取っている強化費を比較してみる。

アーチェリー
強化費 £1,122,879
メダル 0
チームGBがアーチェリーでオリンピック・メダルを獲得したのは2004年が最後で、それは東京でも変わらなかった。【東京五輪】 イギリス代表チーム、競技ごとの成績と強化費を比較
5年前のリオ大会の後、UKスポーツは複数の競技について強化費をゼロにする方針を打ち出し、アーチェリーもそのひとつだった。しかし2018年になってUKスポーツは判断を帳消しにして、強化費の提供を復活させた。
2024年パリ大会に向けての強化費は、210万ポンド以上に大幅に増額されている。
陸上
強化費 £23,007,531
メダル 6 (銀3、銅3)
2016年大会でチームGBは金2つ、銀1つ、銅4つを取った。当時の強化費は2682万4206ポンドだった。
今大会では、キーリー・ホジキンソンが女子800メートルで銀、ローラ・ミュアが女子1500メートルで銀を獲得。2人ともイギリス新記録を作った。男子400メートルリレーの代表チームはわずか100分の1秒の差で1位を逃し、銀を獲得した。
男子1500メートルでジョシュ・カー、女子棒高跳びでホリー・ブラッドショー、女子4×100メートルリレーのチームがそれぞれ銅を得た。
陸上の強化費はパリ大会へ向けてさらに削減され、2217万5520ポンドになる。
バドミントン
強化費 £946,779
メダル 0
チームGBのバドミントン・チームは、リオ大会で男子ダブルスで銅メダルをとったにもかかわらず、2018年までの強化費はゼロだった。
今回はメダルなしに終わったが、混合ダブルスでは準々決勝、男子シングルスではベスト16にまで勝ち進んだ。パリ大会へ向けた強化費は320万ポンドと大幅に増額されているため、3年後が期待されている。
ボクシング

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強化費 £12,084,436
メダル 6 (金2、銀2、銅2)
イギリスのボクシング・チームは東京大会で、1920年以来最高の成績を残した。
ガラル・ヤファイが五輪の男子フライ級チャンピオンになった翌日、ローレン・プライスが女子ミドル級で優勝した。
男子ライトヘビー級でベン・ウィテカー、男子ウェルター級でパット・マコーマックが銀メダルを獲得。女子フェザー級のカリス・アーティングストールとスーパーヘビー級のフレイザー・クラーク主将が銅メダルを得た。
ボクシング・チームは強化費を168万ポンド、大幅に削減されたものの、メダル数はリオ大会の倍だった。
パリ大会に向けてさらに68万8929ポンド、強化費が削減される見通し。
カヌー(スプリントとスラローム)
強化費 £16,344,693
メダル 2 (銀1、銅1)
リアム・ヒースが男子カヤックシングル(K-1)200メートルで歴代五輪4つ目のメダルとなる銅を獲得し、イギリスの五輪カヌー選手として最高峰に立った。マロリー・フランクリンは女子カナディアン(C-1)で銀メダルを得た。
メダル計2個は、ロンドン大会やリオ大会での半分で、2000年シドニー大会以来最も少なかった。
カヌーはパリ大会に向けて25%以上の強化費削減に直面しており、次回の強化費は1220万ポンドになる見通し。
自転車(トラック、ロード、BMX、マウンテンバイク)

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強化費 £24,559,306
メダル 12 (金6、銀4、銅2 )
チームGBの自転車チームは東京大会の前に、570万8510ポンドも強化費を削られたものの、トラック、マウンテンバイク、BMXで計12メダルと見事な成績を残した。
男子マウンテンバイク(クロスカントリー)でトム・ピドコック、女子BMXレースでベサニー・シュリーヴァー、女子BMXフリースタイルでシャローット・ワージントンが金を獲得。
トラックレースではイギリスが最多のメダル7個を得た。ジェイソン・ケニーは男子ケイリンで自らのタイトルを守り、7つ目の五輪金メダルを獲得した。その2日前には妻ローラ・ケニーがケイティー・アーチボルドと共に女子マディソンで優勝し、五輪3大会で金メダルを得た初のイギリス女子選手になった。
五輪初出場のマット・ウォールズは男子オムニアムで圧勝し、金メダルを得た。
自転車チームの強化費はパリ大会に向けて、304万2378ポンド増額される。
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飛び込み

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強化費 £7,223,280
メダル 3 (金1、銅2)
飛び込みチームは東京大会へ向けて強化費を、746万7860ポンドから722万3280ポンドに減らされたものの、5年前と同じ数のメダルを獲得した。
リオ大会では金1つ、銀1つ、銅1つだったのに対して、東京大会では金1つと銅2つだった。
金メダル獲得を長年の悲願としていたトム・デイリーは、マティ・リーと共に、男子シンクロナイズドダイビング10メートルで金を獲得。さらに個人の10メートル飛び込みで銅メダルを得た。
ジャック・ロアーは男子3メートル飛板で銅メダルを獲得した。
パリ大会へ向けた飛び込みの強化費は846万3542ポンドに増える。
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馬術

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強化費 £12,541,195
メダル 5 (金2、銀1、銅2)
馬術チームは東京大会へ向けて強化費を545万1405ポンド削減されたが、5年前のリオ大会よりもメダルを増やした。
オリヴァー・タウネンド、ローラ・コレット、トム・マキュインが総合馬術団体で49年ぶりにイギリスに金をもたらした後、ベン・マーがエクスプロージョンW号と共に障害馬術競技個人で金を獲得した。
馬術チームの強化費はパリ大会へ向けてさらに減額され、1108万5964ポンドになる。
体操(体操競技とトランポリン)

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強化費 £13,408,688
メダル 3 (金1、銅2)
体操チームはリオ大会ではメダル7つの成績だったが、チームの顔ぶれをがらりと変えた東京大会では、3つにとどまった。
リオと東京の両方に出場したのはマックス・ウィットロックとブライオニー・ペイジの2人のみで、ウィットロックは男子あん馬で2連覇を達成。あん馬で史上最も優れた選手の地位を固めた。
ペイジはトランポリンで銅を得た。女子団体でもイギリスが銅メダルで、同種目で93年ぶりのメダルを得た。
体操チームの強化費はパリ大会へ向けてわずかに減額され、1250万ポンドになる。
ホッケー
強化費 £12,905,612
メダル 1 (銅)
イギリスの女子ホッケー・チームは前回大会の優勝チームとして東京大会に臨んだものの、これまでの5年間は「良いことがあまりなかった」苦しいものだったと、ホリー・ペアン=ウエブ主将は話していた。
リオ大会の優勝チームから東京でも引き続き出場したのは7人のみだったが、銅メダルを得て3大会連続のメダル獲得を果たした。
男子チームは準々決勝で敗退した。
柔道
強化費 £6,564,334
メダル 1 (銅)
チェルシー・ジャイルズは7月25日、女子52キロ級で、東京でのイギリス代表のメダル第1号を手にした。
柔道はパリ大会へ向けて強化費を111万7530ポンド減額される。
近代五種
強化費 £5,498,321
メダル 2 (金2)
ケイト・フレンチの金メダルはイギリスの近代五種チームにとって、2000年のシドニー大会以来だった。
リオ大会で10位だったジョー・チューンは今回、男子個人で金メダルを手にした。
近代五種チームはパリ大会へ向けて、強化費が20%削減される見通し。
ボート

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強化費 £24,655,408
メダル 2 (銀1、銅1)
ボート競技は伝統的にチームGBが特に得意とする競技で、東京大会へ向けても最高額の強化費をUKスポーツから支給されてきた。しかし今回は、1980年以来初めて金メダルを逃すという、不本意な成績に終わった。
男子クオドルプルスカルで銀、男子エイトで銅のメダル計2個という結果は、1996年アトランタ大会以来、最も少ない。
UKスポーツは昨年12月、パリ大会への強化費は約10%減の2220万ポンドになると発表した。
英ボートチームのパフォーマンスディレクター、ブレンダン・パーセル氏は東京でのイギリス代表の成績は「残念」で「いらいらする」ものだと述べながら、「パリでは復活し成績を残せると、確信している」とも強調した。
セーリング

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強化費 £22,249,000
メダル 5 (金3、銀1、銅1)
東京大会でイギリス代表が特に好成績を残した競技のひとつが、セーリングだった。セーリング競技のメダル数でイギリスが1位になるのは、過去6大会で5回目だった。
女子470級でエイリー・マキンタイアと共に2連覇を果たしたハナ・ミルズは、五輪の女子セーリング選手として最高の成績を残した選手になった。さらに男子フィン級でジャイルズ・スコットが、49er級ではディラン・フレッチャーとスチュアート・ビテルのペアが、それぞれ金を手にした。
スコットはイギリスのセーリングは「良い状態にある」と話した。ただし、パリ大会ではフィン級が種目としてなくなり、470級は混合種目に変わるため、セーリング・チームも対応を余儀なくされる。
射撃
強化費 £6,008,790
メダル 1 (銅)
射撃チームは東京大会へ向けて強化費が、395万888ポンドから600万8790万ポンドに増額された。
マシュー・カワード=ホリーは男子クレー・トラップ個人で金を狙っていたが、結果は銅だった。
大会前は女子クレー・スキート世界1位でメダルが期待されていたアンバー・ヒルは、日本へ出発する直前に新型コロナウイルス陽性と判明し、欠場する羽目になった。
パリ大会へ向けての強化費は、580万2749ポンドに減額される見通し。
スポーツクライミング
強化費 £678,722
メダル 0
東京大会で初めて新競技に採用されたスポーツクライミングで、イギリスにメダルが期待できるのは、今大会で引退する予定のショーナ・コクシーのみだったが、彼女は女子決勝に残れなかった。
UKスポーツはパリ大会へ向けて、クライミングを含め7競技に、先行投資としての予算提供を強化する。「長期的なメダル獲得ポテンシャルへの支援プログラムを開始」する方針を示している。
クライミングは3年後に向けて、156万2811ポンドの強化費を受ける。
競泳

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強化費 £18,731,645
メダル 8 (金4、銀3、銅1)
イギリスの競泳チームは東京大会で大成功を収めた。この大活躍は、しばらく忘れられそうにない。
メダル合計8個のうち、4つが金だった。イギリス競泳が五輪でこれほどの結果を出すのは初めてで、イギリスがひとつの五輪で金を4つも取るのは、113年間で初めてのことだ。
7月26日にアダム・ピーティが男子100メートル平泳ぎで、イギリスの金メダル第1号を獲得。ピーティは五輪で2連覇した最初のイギリス競泳選手となった。
ダンカン・スコットは男子4×200メートルフリーリレーで金、男子200メートル自由形で銀、男子200メートル個人メドレーで銀、男子4×100メートルメドレーリレーで銀と、メダルを計4個獲得。ひとつの五輪でイギリス選手が獲得したメダル数としては最多となった。
北京五輪の競泳金メダリスト、レベッカ・アドリントン氏は、「このチームはパリへ向けて、どんどん強くなる」、「トップ選手はだれ1人として立ち止まらないし、東京に出なかった中にも才能ある選手は大勢いて、間もなく頭角を現す。未来はとても明るい」と期待を示している。

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テコンドー
強化費 £8,223,805
メダル 3 (銀2、銅1)
女子57kg級でロンドン大会、リオ大会と連覇していたジェイド・ジョーンズが7月25日に、1回戦で敗退し、イギリスのテコンドー・チームにとっては波乱の幕開けとなった。
しかし、ブラドリー・シンデンとローレン・ウィリアムズがそれぞれ銀を獲得したほか、ビアンカ・ウォークデンがリオ大会に続き2個目の銅を手にした。
これによって、テコンドー・チームは2008年以来初めて金を逃したものの、リオ大会と同じメダル総数を得た。
トライアスロン

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強化費 £7,049,372
メダル 3 (金1、銀2)
五輪のトライアスロンでイギリス選手が表彰台に上がる姿は決して珍しくない。東京五輪も同様で、計3つのメダルを獲得した。
まず五輪初出場のアレックス・イーが男子の銀を獲得し、続いてジョージア・テイラー=ブラウンが女子で銀を手にした。
さらに、新種目の混合リレーで、イーとテイラー=ブラウン、ジョニー・ブラウンリーとジェス・リアモンスが組み、金を獲得。今大会が最後の五輪となるブラウンリーはこれで、金・銀・銅すべての色のメダルを手にした。
パリ大会へ向けて強化費はわずかに減額されるものの、イーなど若手がブラウンリーの後継としてチームを支え、さらに活躍するものと期待されている。
その他の競技

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スケートボードがUKスポーツから受けていた強化費はわずか19万7725ポンドだったが、13歳のスカイ・ブラウンが銅メダルを手にしたことで、今後も五輪での成功が期待される。
スポーツクライミング、スケートボード、バスケットボール、フェンシング、サーフィン、卓球、ウエイトリフティングはいずれも、パリ大会へ向けて先行投資としての強化費増額の対象になる。
ウエイトリフティングでは女子87キロ級のエミリー・キャンベルが銀を獲得。イギリスの女子ウエイトリフティング選手として初めて五輪でメダルを得た。リオ大会以降、UKスポーツからの強化費はゼロになっていたものの、イギリスは五輪のウエイトリフティングで1984年以来となるメダルを取った。
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