ワニは何匹いる? 野生動物写真家コンテストの注目作品

ジョナサン・エイモスBBC科学担当編集委員

Dhritiman Mukherjee image of a gharial croc

画像提供, Dhritiman Mukherjee/WPY/NHM

この写真に写っているワニは何匹? 百匹以上?

二度見してしまっても大丈夫。このオスのインドガビアルの背中は完全に子どもたちに覆われてしまっている。

この写真は写真家のドリティマン・ムカジー氏によるもの。インドのチャンバル国立保護区で撮影されたこの写真は、今年の野生生物写真家コンテスト(WPY)で大きな注目を集めている。

子どものワニたちはこれから、成長し繁殖するために生き延びなければならない。

淡水にすむインドガビアルは絶滅危惧種に指定されている。かつては南アジア全域に2万頭ほどが生息していたが、現在確認されている成体は1000頭以下とも言われており、その4分の3がウタル・プラデシュ保護区に集中している。

「このオスのインドガビアルは7、8頭のメスと交尾していたので、その結果が表れている」とムガジー氏は説明する。

「ガビアルは汽水や沼地に住んでいるワニと比べると随分と警戒心が強いが、このオスは子どもを守ろうとしているし、私が近づけば攻撃してくるだろう。とても攻撃的になるはずだ」

オスの鼻の先にある口の端がつぼ(ヒンドィー語でガラ)のように盛りあがっているのが特徴で、これがガビアルという名前の由来になっている。

WPYを主催するロンドン自然史博物館で、は虫類キュレーターを勤めるパトリック・キャンベル氏によると、「あの口の端が鳴き声を増幅させている」という。

「他のワニは、子どもを口の中に入れて運ぶ。もちろん細心の注意を払って! しかしガビアルはその特徴的な鼻のせいでそれができない。なので子どもたちは頭や背中の上につかまって守ってもらっている」

Dhritiman Mukherjee image of a gharial croc

画像提供, Dhritiman Mukherjee

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ガビアルの個体数減少は、生息地が減っているというおなじみの話だ。

ダムやかんがい用の堰(せき)が川の流れをせき止めているのが主な理由だ。また、川から砂やれき岩が取り除かれたことで巣も作りづらくなっている。そして、釣り具による被害が長く続いている。

「飼育・放流」プログラムによって、少なくとも絶滅の危機には至っていないものの、長い目で見れば大規模な対策が必要だという。

写真家のムガジー氏は、写真に込めた感情をガビアル保護に必要な科学に結び付けることで、支援につながればと考えている。

そうでなければ、ガビアルは今後、ロンドン自然史博物館にある標本のような形でしかお目にかかれなくなってしまうかもしれない。

この記事の冒頭で紹介したムガジー氏の写真は、WPYの「行動:両生類、は虫類」部門で高い評価を得ている。

NHM collection of gharial specimens

画像提供, Patrick Campbell

画像説明, ロンドン自然史博物館にはガビアルの標本が数多く保管されている
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今年のWPYの入賞作品は10月13日に発表される予定。ただし、新型コロナウイルスの影響で式典はオンラインで行われるという。

10月16日からは、ロンドン自然史博物館内でWPYの企画展示も行われる。

ムガジー氏によるガビアルの写真のほかにも、「行動:鳥類」部門では、アレッサンドラ・メニコンツィ氏がスイス・アルプスで撮影したキバシガラスの写真が話題となっている。

Bird image by Alessandra Meniconzi

画像提供, Alessandra Meniconzi/WPY/NHM

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また、ハイメ・クレブラス氏による、エクアドルのクモがカエルの卵を食べている写真も注目を集めている。

Spider image by Jaime Culebras

画像提供, Jaime Culebras/WPY/NHM

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