新しい国の作り方 必要な要素は

International flags fly in front of the United Nations headquarters

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スペイン北東部カタルーニャ自治州は10月1日、スペインから分離し、独立した国家になるかを問う非公式の住民投票を実施した。

ひとつの国の一部地域が独立を求めるのは、これが初めてではない。しかし、独立国家になるためには何が必要なのだろうか。

BBCワールド・サービスのラジオ番組「インクワイアリ―」が、その仕組みを調べた。

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Huge crowds cheering with Britain's Union flags march down the Mall towards Buckingham Palace to celebrate the Queen's Diamond Jubilee

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4つの要素

「ビールと航空会社がなきゃ本物の国じゃない」。米ロックミュージシャンのフランク・ザッパ は、かつてそう言った。

だが実際には、国際法の専門家はおそらく、国家を構成する4つの要素を挙げるはずだ。国民、領土、政府、そして主権を基に他国と関係を築く力が、国家の4要件だ。

国民の定義については大いに意見が別れるが、自分の国籍の概念や信念を持ち、定住している人たちだという説もある。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で国際法を教えるジェイムズ・アービング博士は、国民とはつながりがあることだと説明する。「実効性のあるつながり、帰属のつながり、アイデンティティーや感情のつながりがあること」。

「それから、実際の共通利害に関係するつながりだ」

もう1つの必須要件は、国土。国家は明確な領土、つまり国境の内側に主権の及ぶ地域を持たなければならない。

安定して実効力のある政府の存在も、国家の要件だと大勢た指摘する。

他国と関係を築く能力も、重要な要素だ。

つまり主権国家は、例えば外交関係の樹立に合意したり、共通の問題を解決するために協力したりする二国間関係を、自由に構築できる。また、例えば欧州連合(EU)の一部として、あるいは国際的な気候変動条約の加盟国として、多国間の関係も持つことができる。

この根底には、主権国家はほかのいかなる権力や国家に対して、依存も従属もしていないという前提がある。

では国になりたい地域は、どうすれば真の国家になれるのだろうか。

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The United Nations General Assembly in New York

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画像説明, 国連による承認が国家にとって究極のステータス

承認

個別の国同士で承認し合うこともできるが、何より大きな意味を持つのは、国連に国家として承認されることだ。

国連承認による恩恵はたくさんある。国際法による保護、世界銀行や国際通貨基金(IMF)の借款の利用、国境管理などが可能になり、色々な経済圏との貿易が容易になり、さまざま制度を活用できるようになる。

さらに、貿易法に保護されることで、貿易協定を作りやすくなる。

では、国連に承認されなくても、国家として存在できるのか。

キール大学で国際関係を教えるレベッカ・リチャーズ博士は、「要するに、古いことわざの『カモのように歩き、カモのように鳴くならば、それはカモだ』と言う通だ」と説明した。

「国家的存在だと認められる。ただし、承認されていないだけだ」

People wave flags as soldiers and other military personnel of Somalia's breakaway territory of Somaliland march past during an Independence day celebration parade in the capital, Hargeisa on May 18, 2016

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画像説明, 独立宣言の記念日を祝うソマリランド の人々(2016年5月18日)

ソマリランドが好例だ。東アフリカにある英国の元保護領で、1960年に4日間だけ独立した後、イタリア領ソマリアと統合した。

1991年に政府が崩壊するまで、ソマリアの一部だった。その後、ソマリランドは一方的に独立を宣言した。

リチャーズ氏は、ソマリランドの政府は「驚くほど強力だ」と話す。「民主的な選挙が何度も行われた。平和で安定している。信じられないほど大規模な経済開発も行われている。国家に期待するほぼ全てのものを持っている」。

しかし、どの国もソマリランドを承認していないため、国家運営は厳しい。

「特定の開発援助や人道支援を一部利用できるが、その多く、特に国連からの援助はソマリアを通じて入ってくる」

法的な保護がなければ、国際的な市場に参入するのも難しい。また、ソマリランドの通貨は自国以外では認められていないため、国際的な価値を持たない。

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法的障壁

国連憲章を手にした1945年当時のハリー・トルーマン米大統領

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画像説明, 国連憲章を手にした1945年当時のハリー・トルーマン米大統領

The concept which underlies the idea of a nation state is "self-determination".

国民国家という概念の根底にある発想は、「民族自決」だ。オックスフォード英語辞書は民族自決を、「民族が自分たち独自の政府の形を決める権利。国歌の形の自由な決定と、その権利」と定義している。

この権利は1945年6月、国連憲章に正式に記された。

民族自決は当初、植民地体制下で生活する人々が独立を勝ち取る、あるいは旧宗主国や別の国家との関わり方を模索する方法とみられていた。

アービング博士は、「多くの人が良い考えだと思ったが、言葉の意味については合意があまりなかった」と説明する。

植民地の住民が自分たちの国を望んだとする。民族自決の原則は、自分の国を持つべきだと促した。

その結果、地球上の約3割の人の政治的地位が変更された。国連加盟国は1945年には51カ国のみだったが、現在は193カ国だ。

だが問題があった。

国際法学者の多くは、植民地が独立した後、その国がさらに分離したり、国境の変更を検討したりするのは、認められないと主張したのだ。

けれどもこれは、民族自決の考えに反することになる。

LSEで南東欧政治のシニア・リサーチフェローを務めるジェイムズ・カー=リンジー博士は、「国境は変えられないという。しかし、人は自分の将来を自ら決める権利があるともいう。この2つの原則をどのように共存させるのか」と問いかける。

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自治・自律

Kosovo Olympic ceremony, 29 Jul 16

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画像説明, コソボは2016年の五輪に出場したが、完全な国際的承認は得られていない。写真は2016年7月

ある国の国境内の住民がそこから独立を望む場合、民族自決の原則により自治権は与えられるが、自分たち独自の国は認めないというのが、解決策だった。

この問題はコソボで表面化した。

旧ユーゴスラビアが解体した際、6つの共和国ができた。その1つがセルビアだった。

コソボはセルビア国内の1つの州だったが、幅広い自治権を持ち、セルビアとは異なる民族が住んでいた。

コソボが独立すると、セルビアの国境が変わり、領土保全の原則を侵害する恐れがあった。

カー=リンジー博士は、「国際社会は当初、(コソボは)国内で民族自決権を持つべきだと主張した」と話す。

「セルビア国内の州だが、ほかの共和国と同じ独立権は持たないと。そのため、(コソボの人たちは)平和的手段を通じて独立を得られないと気づくと、暴動を起こし始めた」

その後、セルビアとの紛争が発生し、北大西洋条約機構(NATO)が1999年に軍事介入するまで、紛争は続いた。

そして2008年、コソボは一方的に独立を宣言した。

セルビアは独立を無効とし、国際的な法律上の紛争を解決する国連の法廷、国際司法裁判所にこの問題を持ち込んだ。

カー=リンジー博士によると、「コソボの独立宣言は一般的な国際法に違反しているかどうか。これが係争内容だった」。

「そして裁判所は、地域が独立を宣言してはならぬという国際法はないと判断した」

しかし、重要だったのは法律上の問題ではなく、コソボが国家の地位を認めてもらえるかどうかだった。

「コソボは国連加盟国の半数以上から認められている」とリチャーズ博士は言う。「しかし国連が総体として主権国家と認めていないので、主権国家としては認められていない」

コソボは一定数の国から認められているので、世界銀行やIMF、国際オリンピック委員会に加盟するなど、国家として行使できる権利の恩恵に預かっている。

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East Timor President Taur Matan Ruak (L) meets with Chinese President Xi Jinping (R) at Diaoyutai State Guesthouse on September 2, 2015 in Beijing, China

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画像説明, 2015年9月に上海で会談する東ティモールのタウル・マタン・ルアク前大統領(左)と習近平中国国家主席(右)

強力な友人

「地域が独立して国家を樹立するのは、有力な他国が協力に前向きでないと本質的に不可能だ」と、米クリーブランド州立大学で国際法を教えるミレナ・ステリオ教授は言う。

では大国に支援してもらうにはどうすれば良いか?

東ティモールは1960年代までポルトガルの植民地だったが、インドネシアに侵攻された。

冷戦中の米国にとってインドネシアは重要な同盟国だったので、東ティモール独立運動を支援する動きはあまりなかった。

冷戦が終わり1990年代に入り、共産主義が倒れて西側の大国がインドネシアを同盟国として必要としなくなって初めて、東ティモールが国際的に注目を集めるようになった。

「欧米の大国は要するに、東ティモールの人権侵害を恥ずかしく思い、譲歩して『分かった。では今からあなたたち東ティモールの人たちは、遅ればせながら民族自決の権利を行使しても良いです』と言ったわけだ」とステリオ教授は話す。

People hold Catalan pro-independence flags

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画像説明, カタルーニャ独立を支持する人たち

ティモールの住民は1999年、独立を問う投票を行い、2002年に独立した。

しかし武力衝突が独立に向けた動きを妨害し、国連の政治的支援と国際平和維持活動の介入を必要とした。

スペインの状況は、これとはかなり違う。

現在の国際法の原則ではカタルーニャの人々は自決権を持つ。しかし多くの法律専門家は、スペインに領土保全の権利がある為、カタルーニャが期待できるのは自治権であって独立権ではないという意見だ。

では独立を支持する住民投票結果はどうなるのか?

「交渉の結果、カタルーニャがスペインに残留する一方で、自治権が拡大すると、私は予想している」とステリオ教授は言う。

「とても興味深いのは、スペインがコソボを独立国家として認めていない点だ。西洋民主主義諸国の中で、スペインだけが認めていない。認めてしまえば、カタルーニャ独立運動の前例となり、スペインの領土保全の権利を脅かすからだ」

さらにクルド人自治区の状況は全く異なるが、最終的には大国の支援不在という同じ問題に直面することになるだろう。

(英語記事 How do you start a country?