歴史的なケーブルカーが脱線、少なくとも16人死亡 ポルトガル首都

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ポルトガルの首都リスボンで3日午後6時すぎ、ケーブルカーが脱線して建物に衝突する事故があり、4日までに少なくとも16人が死亡、20人以上が負傷した。当局が発表した。
事故があったケーブルカーは、140年の歴史を持つグロリア線。リスボンを訪れる観光客に人気が高い。
ポルトガルの緊急当局によると、負傷者には軽傷の子ども1人が含まれる。
死者には外国人も含まれているが、ポルトガル当局は国籍を明らかにしていない。
一方でポルトガルメディアは、ドイツ人家族が事故に巻き込まれ、男性が死亡したと伝えた。男性の妻と3歳の息子は救出されたと、警察関係者が明かしたという。
ポルトガル紙オブザヴァドールは、この男性は現場で死亡が確認されたとしている。病院に搬送された妻は重体で、息子は軽傷という。
当局は死者を一時17人と発表したが、その後重複して数えられていた被害者がいたとして16人に訂正した。
3日夜に病院を訪れたリスボン市長のカルロス・モエダス氏は、「この街にとって悲劇的な瞬間だ」と述べた。
ポルトガル政府は、国全体で喪に服すと宣言した。4日の閣議には市長を招く予定という。
ポルトガルのマルセロ・レベロデソウザ大統領は、「この悲劇に見舞われた家族への哀悼と連帯の意」を表明した。
警察や緊急当局は数時間にわたり現場で対応した。ケーブルカーを運行する公共交通機関カリスや国家運輸安全委員会、警察はそれぞれ、事故調査を開始している。

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公共交通機関カリスの責任者は3日遅くに現場を視察した。同機関は声明で、ケーブルカーは規定通りに4年ごとの大規模点検と、2年ごとの中間点検を実施していたほか、毎日、毎週、毎月の点検も行っていたと説明した。
しかし、複数の目撃者の証言からは、ケーブルカーがブレーキシステムの故障によって、急勾配の坂道を猛スピードで下り、建物に衝突したことがうかがえる。
当局によると、ケーブルカーの残骸の中に数人が閉じ込められていたが、助け出されたという。
事故は、3日午後6時5分ごろ、リベルダーデ大通り近くで発生した。当時、何人が乗車していたかは不明。
ソーシャルメディアで広く共有された映像には、鮮やかな黄色の車両が横転し、ほぼ完全に破壊された様子が映っていた。煙のようなものが立ち込める中、人々が徒歩で現場から逃げる姿も確認できる。
目撃者の1人はポルトガル紙オブザヴァドールに対し、車両は「制御不能」に陥り、ブレーキが効かなかったと語った。
「下にいた車両に衝突すると思って、みんな走って逃げた」とテレサ・ダヴォ氏は証言した。
「だけど、車両はカーブで横転して、建物に衝突した」
別の目撃者はポルトガルのテレビ局SICに対し、ケーブルカーは急な坂道を「猛スピード」で下り、建物に激突したと述べた。
「建物に猛烈な勢いでぶつかって、まるで段ボール箱のように崩壊してしまった。ブレーキはまったく作動していなかった」
リスボン当局は、事故原因を断定するには時期尚早だとしている。
しかし、ポルトガル紙オブザヴァドールは、線路沿いのケーブルが緩んだため制御不能に陥り、近くの建物に衝突したと報じている。
ケーブルカーを運行する公共交通機関カリスは、調査を開始したことを明らかにしたうえで、「すべての保守点検プロトコル」は順守されていたと付け加えた。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、犠牲者の家族に哀悼の意を表した。
スペインのペドロ・サンチェス首相は、「この恐ろしい事故に衝撃を受けた」と述べた。

ケーブルカーは、急斜面を行き来する鉄道システムの一種。
グロリア線のケーブルカーは2両で、電動モーターが動力源となっている。2両はけん引式ケーブルでつながっており、一方が坂を下ると、その重さでもう一方が坂を上がる仕組みになっている。これにより、2両は同時に昇降することができる。
1885年に開業したグロリア線のケーブルカーは、リスボンで最も有名な観光資源の一つ。開業から約30年後に電化された。
その象徴的な黄色の車両は、坂が多いリスボンでは欠かせない交通手段だ。車両は石畳の通りを縫うように走っている。
今回事故を起こした車両は、リスボン中心部のレスタウラドーレス広場から、絵画のように美しい石畳の街並みが広がるバイロ・アルト(高台地区)までの約275メートルの距離を、わずか3分で結ぶ路線を走っていた。
このケーブルカーは地元住民が利用するほか、観光客にも非常に人気がある。リスボンは例年、夏の終わりにとりわけ大きなにぎわいをみせる。






