ハマスのイスラエル襲撃から2年……各地で集会、ガザでは攻撃続く エジプトで交渉2日目

砂地に犠牲者の名前や写真、経歴が書かれた看板が等間隔に立てられている。看板の周囲には花が植えられていたり、献花が置かれたりしている。写真中央には、看板の前でキッパをかぶった男性がイスラエル国旗を広げている。別の男性が、看板の前にしゃがんで花を眺めている

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画像説明, 多くの人が人質として連れ去られたノヴァ音楽フェスティバルの会場にも人々が集まった(6日、イスラエル・レイム)

トム・ベネット記者(エルサレム)、アリス・カディー記者(テルアヴィヴ)、ヨランダ・ネル記者(レイム)、ラシュディ・アブアルーフ・ガザ特派員

パレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスなどがイスラエル南部を襲撃してから2年を迎えた7日、イスラエル各地で集会が開かれた。一方、ガザでの戦争終結に向けた交渉が、この日もエジプトで続けられた。そうした中も、イスラエルはガザへの激しい砲撃を続けた。

ハマスが主導した攻撃では、1200人以上が殺され、251人が人質としてガザに連れ去られた。この日はユダヤ人にとって、ホロコースト以降で最も多くの死者が出た1日となった。

イスラエルはこの攻撃を受けて、ガザへの軍事攻勢を開始した。ハマスが運営するガザ地区の保健省によると、この攻勢により6万7000人以上が殺害されている。同省の統計は、国連やその他の国際機関によって信頼できると見なされている。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は声明の中で、「測り知れない痛み」と共に、同国が「奇跡的な回復力」を示したと述べた。

「血に飢えた敵は我々を激しく攻撃したが、我々を打ち砕くことはできなかった」

ネタニヤフ首相は、「戦争のすべての目標を達成する。すべての人質の帰還、ハマス体制の排除、そしてガザがもはやイスラエルにとって脅威とならないことの保証だ」と誓った。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、2年前の攻撃を振り返り、「あの日の恐怖は、我々すべての記憶に永遠に刻まれるだろう」と述べた。

一方で、すべての当事者に対し、ドナルド・トランプ米大統領が提示した和平案に合意するよう呼びかけた。グテーレス事務総長はこの和平案を、「この悲劇的な紛争を終わらせるための歴史的な機会」だと表現した。

「交渉は困難」と情報筋

イスラエル政府は、公式の追悼行事を、ユダヤ教の新年が終わる16日まで延期した。しかし、7日には国内各地で関連行事が実施された。

テルアヴィヴでは、ハマスの攻撃で死亡したイスラエル人の遺族を対象とした追悼式典が行われた。この式典は遺族らが企画し、イスラエルのテレビ各局で放送された。

その数時間前には、全国で1分間の黙とうがささげられた。

一方、イスラエルとハマスの交渉団は、エジプトの紅海沿岸のリゾート地シャルム・エル・シェイクで、提案について協議する間接交渉の2日目を迎えた。

交渉に詳しいパレスチナ高官がBBCに語ったところによると、現地時間午後7時(日本時間8日午前2時)から、夜の交渉ラウンドが始まったという。

この高官は、午前の交渉は具体的な成果を得られないまま終了したと述べた。その背景には、イスラエルが提示したガザ撤退地図案に関する意見の相違や、ハマスが求める「イスラエルが合意の第1段階終了後に戦闘を再開しないことの保証」に関する対立があるという。

同高官は、「交渉は困難で、いまだに実質的な進展は見られていない」と述べたが、仲介者らが両者の隔たりを埋めるために尽力しているとも強調した。

別のパレスチナ高官はこれより前、交渉では、恒久的な停戦、人質とガザ出身のパレスチナ人収容者との交換、イスラエル軍のガザ撤退、人道支援物資の配送に関する取り決め、そして戦後のガザ統治に関する問題の5点に焦点が当てられていると述べた。

また、交渉に詳しい情報筋がBBCに語ったところによると、トランプ米大統領の交渉担当者であるスティーヴ・ウィトコフ中東担当特使と、義理の息子のジャレッド・クシュナーさんが7日夜にアメリカを出発し、8日にエジプトに到着する予定だという。

トランプ大統領は6日、ホワイトハウスで記者団に対し、「我々には合意を成立させる非常に良い機会がある。それは持続可能な合意になるだろう」と述べた。

人質の解放求める人々

動画説明, 【検証】 ガザに残る人質はいま……ハマス襲撃から2年

イスラエル・テルアヴィヴの「人質広場」では、ノヴァ音楽フェスティバルの攻撃を生き延びた兄を持つハガルさん(仮名、29)がBBCに対し、「もうどこも故郷のようには感じられない。すべての人質が戻ってくるまでは、誰も安心できない」と語った。

「みんなが家に戻ってきたとき、ようやく息ができるようになる。そのとき初めて、回復を始めることができる」

エルサレムにあるベンヤミン・ネタニヤフ首相の公邸前では、人質家族を支援するために人々が集まった。イスラエルによれば、ガザでは48人が依然として拘束されており、そのうち20人が生存していると見られている。

デモに参加したアタリア・レゲブさんはBBCに対し、「人質が帰ってくるためなら、必要な妥協はすべてすべきだ。でも私たちは、自分たちの安全が保証されることを本当に望んでいる」と語った。

最近の世論調査では、イスラエル国民の約70%が、人質の解放と引き換えに戦争の終結を望んでいることが一貫して示されている。

ハマスの襲撃を受けたノヴァ音楽フェスティバルの現場にも人々が集まり、哀悼の意を表した。

現場では、数キロメートル離れたガザでのイスラエルによる空爆と砲撃の轟音(ごうおん)が聞こえた。目撃者によると、イスラエル軍による激しい爆撃が続いているという。

ガザ市への攻撃続く、病院もひっ迫

建物が崩壊した荒地の向こうで、攻撃の煙が上がっている。遠方には崩れていないが廃墟となった建物も見える

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画像説明, イスラエルは間接和平交渉の間も、ガザへの激しい砲撃を続けている

ガザ市では7日未明、西部のタル・アル・ハワ地区、リマル地区、ナスル地区、東部のシャイフ・ラドワン地区、さらに北西部のシャティ難民キャンプで、空爆および砲撃が報告された。

ガザ市で避難生活を送っているイマーン・アル・ワヒディさんは昨年、イスラエルの空爆で17歳の息子を亡くしたという。アル・ワヒディさんはBBCに対し、「夜が来ると、恐怖も一緒にやってくる」と語った。

「私と3人の子どもたちは空爆を恐れている。夜はずっと一緒に寝て、お互いを抱きしめている。特に一番下の子は、夜通し私に頭を乗せている」

「いつも、何が起きたかを知るためにニュースを見ている。そして私は、この停戦が完了しないのではないか、戦争がまた戻ってくるのではないかと恐れている」

ガザ市のアル・シファ病院は、7日午後までに6人の遺体を受け入れたと発表した。そのうち3人は、南部のアル・サブラ地区でイスラエルの攻撃で殺されたという。

南部ハンユニスにあるナセル病院は、さらに2人の遺体が搬送されたと発表した。医療関係者によれば、そのうち1人は、南部への支援を求めていた際にイスラエル軍によって殺害されたという。

国連児童基金(ユニセフ)のジェイムズ・エルダー報道官は、ナセル病院の廊下の床に母親たちと負傷した子どもたちが並んでいたと説明。また、未熟児たちがベッドや酸素供給源を共有している状況だと述べた。

「小児科のある病室では、一つのベッドに3人の赤ちゃんと3人の母親がいて、酸素供給源も一つしかなかった。母親たちは20分ごとに酸素を子どもに交代で与えていた」と、エルダー報道官はロイター通信に語った。

「これが、母親たちが今置かれている絶望のレベルだ」

ガザ地区の保健省は、同地区にある38の病院のうち25がすでに機能停止しており、残る13も部分的にしか稼働していないと発表した。

一方イスラエル軍は、7日の朝にガザ北部からイスラエルに向けてロケット弾が発射され、ネティブ・ハアサラで警報が鳴ったと発表した。軍によれば、飛翔体は同地域に着弾したが、負傷者や被害は報告されていないという。

イスラエルは戦争開始以降、国際的な報道機関のガザ地区での独自取材活動を禁止している。そのため、双方の主張の検証が困難な状況となっている。