IEAが石油備蓄の協調放出で合意 過去最大量

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ミッチェル・ラビアク 経済記者
国際エネルギー機関(IEA)は11日、石油備蓄の協調放出に加盟32カ国が合意したと発表した。米・イスラエルが2月28日にイラン攻撃を開始して以来、原油の供給量の減少と価格急騰が世界的な問題となっている。
IEAは、「前例のない規模」の課題に対抗するため、加盟各国が計4億バレルを協調放出すると発表した。IEAには、米英を始め世界の裕福な国々が多く加盟する。
米・イスラエルとイランの戦争による影響で、通常は世界の石油供給の約25%が通過するホルムズ海峡が事実上封鎖されているほか、湾岸地域の石油生産も急減している。
原油価格は戦争開始時から約25%上昇している。複数の専門家は、IEAの措置は短期的な解決にしかならないと述べている。
IEAの協調放出は、ロシアがウクライナ全面侵攻を開始した2022年以来。当時の放出量は過去最大だったが、今回の4億バレルはその倍以上の量となる。
ただし、これは世界全体の3〜4日分の供給量、あるいはホルムズ海峡から通常出荷されるおよそ2週間分にしかならない。
IEAの加盟国および協力国は、世界のエネルギー生産の3分の2と、消費の80%を占めている。
加盟国には、世界的な混乱に備え、自国の石油消費量の90日分を備蓄する義務がある。
加盟国が保有する緊急備蓄は合計12億バレル以上で、さらに政府の義務に基づく民間在庫が6億バレルある。
政府が保有する備蓄の3割を放出することは、頻繁に繰り返せることではない。

原油そのものは一カ所に集中して保管されているわけではない。例えば、英石油大手のシェルやBPといった生産者は、イギリス各地のターミナルや精製所に備蓄を持ち、他の場所に保管されている在庫を備蓄として計上することもできる。
放出が決まっても、追加の原油がいきなり市場に流れ込むわけではない。
代わりに、生産者は精製所向けに市場で提供する量を増やす。しかし、エネルギー専門家は精製能力が不足しているとBBCに話した。
備蓄放出は、繰り返しが効かない策だという問題もある。
「一度放出すれば、備蓄はもうない」からだと、BPの元戦略責任者ニック・バトラー氏は話した。
エネルギー調査会社ライスタッド・エナジーのアナリスト、ホルヘ・レオン氏は、この放出は「助けにはなるが、混乱を完全に相殺するものではない」と述べた。
「緊急備蓄が放出されることは誰もが知っていた。(中略)それでも、それほど価格は下がっていない」
一方、IEAのファティ・ビロル事務局長は、今回の協調放出は世界のガス市場の助けにはならないと指摘。ガス市場は「非常に厳しい」状況にあると述べた。
紛争によって液化天然ガス(LNG)の供給は20%落ち込んでおり、対処の「選択肢はほとんどない」とも事務局長は話した。
イギリスのLNG指標価格は紛争開始から約70%上昇しているが、ロシアとウクライナの戦争開始後に達した高値にはまだ遠い。
イギリスのエド・ミリバンド・エネルギー相は、「イギリスは同盟諸国と協力して、石油市場の混乱に対処するため、役割を果たしている」と述べた。












