トランプ氏、スコットランドを私的に訪問「来られてうれしい」と

英スコットランド・グラスゴーのプレストウィック空港に到着し、大統領専用機エアフォースワンから姿を見せたトランプ米大統領。紺のスーツに赤いネクタイをし、右手を挙げている。背後にはエアフォースワンの青い機体がある

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画像説明, 英スコットランド・グラスゴーのプレストウィック空港に到着したトランプ米大統領(25日)

アメリカのドナルド・トランプ大統領は25日、4日間の私的訪問のため英スコットランドに到着。「スコットランドに来られてうれしい」と述べた。

米大統領専用機エアフォースワンは25日午後8時30分ごろ、スコットランド・グラスゴーのプレストウィック空港に着陸した。トランプ氏は、イギリスのイアン・マリー・スコットランド担当相と、アメリカのウォーレン・スティーヴンス駐英大使に出迎えられた。

トランプ氏が報道陣に応じた後、トランプ氏を乗せた車列はスコットランドのサウス・エアシャーにある同氏所有のターンベリー・リゾートへ向かった。トランプ氏は26日に同リゾートでゴルフをするとみられる。

28日に会談予定のキア・スターマー英首相について、トランプ氏は、「私はみなさんの首相のことが好きだ。おそらくみなさんもご存じだろうが、彼は私より少しリベラルだ。でもいい人だ。彼は貿易協定を成立させた」と語った。

そして、「12年かけて取り組んでいたこの取引を、彼が成立させた。これは良い取引で、イギリスにとって良いものだ」と付け加えた。

トランプ氏はこれに先立ち、スコットランド自治政府のジョン・スウィニー首相についても「いい人だ」と語り、会うのを楽しみにしているとしていた。

スウィニー氏は「スコットランドのために声を上げる」と約束している。

トランプ氏所有のターンベリー・ゴルフリゾートへ向かう車列。警察のバイクが先導し、後ろに黒い車が続いている

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画像説明, トランプ氏を乗せた車列は幹線道路A77を通り、トランプ氏所有のターンベリー・ゴルフリゾートへ向かった

警察車両と救急隊を伴った20台以上の車列は午後9時30分ごろ、ターンベリー・ゴルフリゾートへ入った。

大統領専用車ビーストは、小規模な抗議集団の横を通り過ぎてリゾート内の高級ホテルに到着した。

トランプ氏は今週末をこのリゾートで過ごした後、アバディーンシャーにある2つ目の所有地へ移動する。トランプ氏はこの場所に、全18ホールからなる新たなゴルフコースをオープンする予定。

トランプ氏は記者団に対し、映画「007」シリーズの初代ジェイムズ・ボンド役を務めたスター俳優が、ゴルフ場計画で重要な役割を果たしたと語った。

「ショーン・コネリーが許可取得を手伝ってくれた。ショーン・コネリーがいなければ、あの素晴らしいゴルフコースは存在しなかっただろう」

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、28日にトランプ氏と面会し、大西洋を挟んだ貿易関係について協議する予定だとソーシャルメディアに投稿した。

トランプ氏は29日には、スターマー英首相と、スコットランド自治政府のスウィニー首相と面会するとみられる。

トランプ氏は30日にアメリカへ戻り、9月には国賓としてあらためてイギリスを公式訪問する。

週末の抗議行動に備えて警備敷かれる

今回の訪問に合わせて、26日にはエディンバラとアバディーンなどで多数の抗議行動が行われると予想されている。

サウス・エアシャーとアバディーンシャーでは、トランプ氏の訪問に先立ち、すでに大規模な警備体制が展開されている。

スコットランド警察を支援するため、英各地から警官数十人が派遣されている。

ターンベリーでは道路が封鎖され、迂回路が設けられた。トランプ氏所有のリゾートの外には検問所が設置され、周辺には大型フェンスが設置された。

アバディーンシャーにあるトランプ氏の所有地でも、警察車両が多数目撃されている。

トランプ氏の訪問に合わせて封鎖された道路。路上には「道路封鎖」、「減速せよ。検問所でアクセス許可証の提示を」と書かれた看板が置かれ、手前に赤と白の三角コーンが5つ並んでいる。奥には警察車両が停められ、警察官2人が立っている

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画像説明, トランプ氏の訪問に合わせて、多くの道路が封鎖されるなど、警備が敷かれた

風車と不法移民

トランプ氏はスコットランドに到着後、「欧州に二つ、言っておく。風車を止めろ。あなたたちは自分で自分の国をだめにしている。本当に悲しい」と述べた。

「上空を飛んでいると、あちこちに風車があるのが見えて、美しい野原や谷を台無しにして、鳥を殺している。海に立てているなら、海をだめにしている」とトランプ氏は、欧州でさかんな風力発電への反対を繰り返した。

「風車を止めるのと、あとほかにも言えることはあるが、移民については、しっかりしないと欧州がなくなるぞ」ともトランプ氏は言い、不法移民は「侵略者」で「欧州を殺している」と主張した。

「我々(アメリカ)は先月、誰一人、入国させなかった。一人もだ。締め出したんだ。それから、(ジョー・バイデン前大統領が)入国を認めた大勢の悪人を排除した」

「バイデンは全く不器用なやつだった。彼が(こうなることを)許してしまった(中略)しかし、今度はあなた方が自分の国でそれが起こるのを許してしまっている。欧州で起きているこの恐ろしい侵略行為を止めなければならない。多くの欧州諸国でこういうことが起きている」

そして、「そういう事態を許さない人や指導者もいるが、彼らは正当な評価を得ていない」と続けた。

「今ここで彼らの名前を挙げることもできるが、ほかの人たちに恥ずかしい思いをさせるつもりはない」

「だが、止めなければならない。この移民流入はヨーロッパを殺している」と、トランプ氏は主張した。

エプスティーン元被告の捜査資料などについて

これらについて記者団から問われたトランプ氏は、「それについて言うことは何もない」と答えた。

「恩赦についての質問も多く寄せられているが、今は恩赦について話をすべき時ではない」とも述べ、メディアは「大したことではないことを、すごく大げさに報じている」と、トランプ氏は主張した。

トランプ氏の訪問、イギリスの反応は

レイチェル・リーヴス英財務相は先に、トランプ氏のスコットランド訪問は「国益」にかなうものだと記者団に述べた。

グラスゴー空港近くにある英ロールス・ロイス社の工場を訪問した際、リーヴス氏はこう述べた。「我が国のキア・スターマー首相がトランプ大統領との関係構築に尽力したおかげで、わが国は世界で初めて(アメリカと)貿易協定を締結することができた」。

さらに、スコッチウイスキー産業から防衛分野に至るまで、スコットランドの人々にとって「目に見える利益」がもたらされたと付け加えた。

スコットランド自治政府のスウィニー首相は、トランプ氏との会談を「スコットランドのために声を上げる」機会だとしている。スウィニー氏は貿易や、アメリカからスコットランドへのビジネス誘致などについて協議したい考えを示している。

また、パレスチナ・ガザ地区の「ひどい状況」など、「重大な国際問題」についても提起するつもりだとした。

トランプ氏の訪問に抗議しようとしている人々に対しては、「平和的かつ法を順守した行動を取る」よう求めた。

現職の米大統領がスコットランドに

現職のアメリカ大統領がスコットランドを訪問するのは異例。

1957年には、エリザベス女王(当時)がアバディーンシャーのバルモラル城でドワイト・D・アイゼンハワー大統領(当時)を歓迎した。

2005年には、ジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)が主要8カ国首脳会議(G8サミット)に出席するためにパースシャー・グレンイーグルズを、2021年には、ジョー・バイデン前大統領が国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)に出席するためにグラスゴーを、それぞれ訪れた。

2人のほかに、今世紀にスコットランドを訪れたアメリカの現職大統領はトランプ氏のみ。前回訪問した2018年には、トランプ氏に対する抗議活動が起きた。ターンベリーではパラグライダーが低空飛行し、トランプ氏のリゾート周辺の飛行禁止区域に侵入する事態が起きた。

トランプ氏は、2020年大統領選でバイデン氏に敗れてから2年半後の2023年にも、再び同地を訪れた。

トランプ氏とスコットランドのつながり

トランプ氏にはスコットランドとの深いつながりがある。

母マリー・アン・マクラウド氏は、1912年にスコットランドのアウター・ヘブリディーズ諸島のルイス島で生まれ、ゲール語話者だった。

世界恐慌時代にニューヨークへ渡り、不動産開発業者のフレッド・トランプ氏と結婚した。

トランプ氏は9月17日から19日までの日程で、国賓としてイギリスを公式訪問する。チャールズ国王がイングランド・バークシャーのウィンザー城で、トランプ氏とメラニア夫人を歓迎する予定。