イスラエル、ガザ南部の病院に連続攻撃 海外メディア記者含む20人殺害される

画像提供, EPA/AP/Reuters
パレスチナ・ガザ地区南部ハンユニスで25日、イスラエルによる病院への連続攻撃があり、少なくとも20人が殺害された。死者には外国報道機関のために活動していたジャーナリスト5人が含まれると、イスラム組織ハマスが運営するガザ保健省は発表した。
死亡したジャーナリスト5人は、ロイター通信やAP通信、アル・ジャジーラ、ミドル・イースト・アイと連携して活動していた。各報道機関がこれを認めた。
南部ハンユニスにあるナセル病院への攻撃で、医療従事者4人も殺害されたと、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は明らかにした。
空爆を捉えた映像では、最初の攻撃で標的となった人々を救出しようと駆けつけた救助隊員が、2度目の攻撃を受ける様子が確認できる。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は「悲劇的な出来事」だとし、軍当局が「徹底的に調査している」と述べた。
今回の攻撃により、2023年10月の開戦以降にガザで殺害されたジャーナリストの数は200人近くに達した。
報道の自由を推進する国際NGO「ジャーナリスト保護委員会(CPJ)」によると、ガザでの戦争は、ジャーナリストの犠牲が最も多く記録される戦闘となっている。この2年間に殺害された報道関係者の数は、それ以前の3年間で世界各地で殺害された報道関係者の数を上回っているという。
開戦以来、イスラエルは外国メディアのジャーナリストがガザへ独自に入ることを禁止している。
一部のジャーナリストが、イスラエル国防軍(IDF)の管理下でガザへ入ることを認められた例もあるが、各報道機関はガザ取材の大半を現地の記者に頼っている。
映像から分かること
25日の空爆現場を捉えた映像には、ガザ南部の主要病院であるナセル病院の入口に立つ医師が、最初の攻撃の後に、血に染まった衣服を掲げてジャーナリストに見せる様子が映っている。その後、突然爆発が起こり、ガラスが割れ、人々が逃げ出す様子が確認できる。負傷した男性が安全な場所へ、はって移動しようとする様子も映っている。
アル・ガドTVがライブ配信した別の生々しい映像は、最初の攻撃後にナセル病院の最上階付近で救助活動を行う複数の緊急隊員と、それを撮影するジャーナリストの様子を捉えていた。
この映像には、ハンユニスを一望できる場所としてジャーナリストがよく集まっている階段が映っている。2度目の攻撃は救急隊員とジャーナリストを直撃し、煙とがれきが空中に舞い上がった。その後、少なくとも1人の遺体が映っている。
犠牲者について
ロイター通信は、契約カメラマンのフサム・アル・マスリ氏が死亡したと発表。同氏が屋上でテレビの生中継に対応していたところ、最初の攻撃が起きた瞬間に映像が途絶えたという。
目撃者によると、同じくロイター通信の契約フォトグラファーとして活動していたハテム・ハレド氏は、2度目の攻撃で負傷したという。
ロイター通信は、この出来事に打ちのめされているとしたうえで、「追加情報を急ぎ探している」とした。
AP通信は、契約記者のマリアム・ダッガ氏(33)が死亡したと発表。「衝撃を受け、悲しみに暮れている」とした。
病院への攻撃で、アル・ジャジーラのモハメド・サラマ氏、ミドル・イースト・アイのために活動していたフリーのアフマド・アブ・アジズ氏とフォトグラファーのモアズ・アブ・タハ氏も殺害された。タハ氏をめぐっては当初、米NBCのために働いていたと報じられたが、NBCはこれを否定した。一方でロイター通信は、同氏はロイターを含む複数の報道機関と仕事をしていたと説明した。
AFP通信は、ハマスが運営する民間防衛隊の話として、同隊のメンバー1人も攻撃で殺害されたと報じた。
イギリスの慈善団体「パレスチナ人のための医療支援(MAP)」のプログラム・オフィサー、ハディル・アブ・ザイド氏はメディア宛ての声明で、集中治療室(ICU)を訪れていた際に「すぐ隣の手術室が爆発に巻き込まれた」と説明。
「死傷者が至る所にいた」、現場は「耐えがたい」状況だったと付け加えた。
国際社会の反応
この攻撃に対して、国際社会からはすぐに非難の声が上がった。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、「この残酷な紛争の中で重要な任務を遂行する医療従事者とジャーナリストがいかに極度の危険に直面しているか、直近の恐ろしい殺害行為が浮き彫りにしている」と述べた。
そして、「迅速かつ公平な調査」と「即時かつ恒久的な停戦」を求めるとした。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のフィリップ・ラザリーニ事務局長は、「飢饉(ききん)の中で静かに命を落とす子どもたちの現状を伝える、最後の声が封じられつつある」として、ジャーナリストがまたしても殺害されたことに強い怒りを表明した。
イギリスのデイヴィッド・ラミー外相は、この致命的な攻撃に「恐怖」を感じたと述べた。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、攻撃は「容認できない」ものだとした。
2週間前には、ガザ市のアル・シファ病院近くが攻撃を受け、ジャーナリスト6人が殺害された。うち4人はアル・ジャジーラのジャーナリストだった。
ガザ保健省は25日、イスラエルの攻撃で殺害された58人の遺体が、過去24時間でガザの複数の病院に運ばれたと発表した。しかし、破壊された建物のがれきの下にはまだ複数の遺体が残されているという。
同省によると、58人のうち28人は、配給拠点で食料を受け取ろうとしていた際に殺害されたという。
複数の病院では、ほかに11人が栄養不良で死亡したと、同省は明らかにした。うち2人は子どもだった。栄養不良による死者数は子ども117人を含む300人に上っている。
ハマスは2023年10月7日にイスラエルを攻撃し、約1200人を殺害、251人を人質として拘束した。これを受けたイスラエルの攻撃により、これまでに6万2744人以上のパレスチナ人が殺害されていると、ガザ保健省は発表している。国連は、この数字を信頼できるものとみなしている。












