電子判定がオフ、アウトがコールされず ウィンブルドン主催者が選手に謝罪

開催中のテニスのウィンブルドン選手権で6日にあったセンターコートの試合で、今大会から線審に替わって導入された電子判定システムが一時的に誤ってオフにされ、アウトをコールすべき場面で何の音声も出さなかったことが、1ゲームのうちに3回あった。ポイントを失った選手は、ゲームを「奪われた」と強く抗議し、主催者は試合後、謝罪した。
問題が起きたのは、ロシア出身のアナスタシア・パヴリュチェンコワ選手と、ソネイ・カータル選手(イギリス)の女子シングルス4回戦。
第1セット4-4でパヴリュチェンコワ選手は、カータル選手のバックハンドのショットがベースラインを越えたのを見て、動きを止めた。
これを受け、主審のニコ・ヘルワースさんはプレーを停止。その後、「音声のコールがなかったため、システムが機能しているか確認している」と観客にアナウンスした。
主審は大会関係者らと電話でやりとりした末、電子システムが「残念ながら最後のポイントを追跡できなかった」と説明。ポイントのやり直しを命じた。
このポイントは結局、カーテル選手が取った。その後、同選手はこのゲームをブレークし、5-4とリードした。
もし、このボールがアウトと判定されていれば、パヴリュチェンコワ選手はポイントを獲得し、このゲームを取っていた。
このポイントの前にも、同じゲーム内で2回、パヴリュチェンコワ選手のサイドでボールが正しくコールされなかった。主審はその2ポイントでは自分でコールした。電子システムがオフになっていたことは、当時は知らなかったとされる。
試合は結局、パヴリュチェンコワ選手が7-6 (7-3) 、6-4で勝利した。そのため、システム故障の影響が非常に深刻なものにならずに済んだ。
「私からゲームを奪った」
それでも、パヴリュチェンコワ選手のフラストレーションは、試合中から明らかだった。
問題のゲームをブレークされ、サイドチェンジのため自分の椅子に戻った際には、主審に対し、「あなが私からゲームを奪った。(中略)みんなが私からゲームを奪った。みんなが盗んだ」と訴えた。
試合後も、主審が自分でアウトのコールをしなかったことを、パヴリュチェンコワ選手は問題視した。
「彼はそのためにそこにいる」、「彼もアウトだと見定めた。試合後に私にそう言った」と同選手は言い、次のように続けた。
「彼は(アウトとコールする)と思ったけど、しなかった。代わりに、(主催者側が)リプレー(やり直し)と言っただけだった」
「(カータル選手が)地元の人だということと関係しているのかはわからない。(主審に)とっても難しいことだとは思う。彼はおそらく、これほど大きい決断をするのが怖かったのだと思う」
また、「主審が主導権を取るべきだと思う」、「彼はそのためにそこにいて、そのためにあの椅子に座っている。そうでないなら、主審なしの試合もできたと思う」とBBCスポーツに話した。
ルールブックは、電子判定システムがコールできなかった場合、「コールは主審がする」と定めている。また、「主審がボールのインかアウトかを判断できない場合、そのポイントはリプレーされる。この決まりは、ポイントの最後のショットや、選手がプレーを止めた場合にのみ適用される」としている。
判定システムについて選手たちは
ウィンブルドンでは今大会から線審が姿を消し、自動判定システムが導入された。何人かの選手は、このシステムへの不信感を表明している。エマ・ラドゥカヌ選手は、コールのいくつかは「あやしい」ものだったと述べている。
線審に代わる電子判定システムは、全米オープンや全豪オープンなどのトップレベルの大会でも導入されている。
主催のオール・イングランド・クラブのデビー・ジェヴァンス会長は、「選手らが望んだ」ため、システムを採り入れたと説明。疑問に思うこともあるが「信用するしかない」と述べるイガ・シフィオンテク選手(元世界ランキング1位)のように、システムを支持する選手もいる。
主催クラブは選手に謝罪
オール・イングランド・クラブは当初、「オペレーターのエラー」のため、システムが「問題のポイントでオフにされていた」と発表していた。
その後の追加調査によって、システムが「一つのゲームの間、コートのサーバー側で、誤ってオフにされていた」ことがわかったとした。
同クラブの広報担当は、「関係選手らに謝罪した」と説明。「ボール追跡技術の精度には、これからも全幅の信頼を寄せていく」、「今回は人為的なミスがあり、その結果を受け、プロセスを全面的に見直し、適切な変更をした」とした。






