【米大統領選2024】 民主党の副大統領候補は誰に

11月の米大統領選に向けて、カマラ・ハリス副大統領が、共和党のドナルド・トランプ前大統領に対抗する民主党大統領候補になる見通しとなった今、話題はハリス氏の伴走者選びに移っている。
来月シカゴで開かれる民主党大会で代議員が指名投票をする前に、ハリス氏は副大統領候補を正式に決定する必要がある。
だれが最も適任なのか、全国的なスポットライトにさらされても大丈夫な人はだれかを探るため、該当者のいわゆる「身体検査」を行うチームがすでに、作業を進めていると言われている。
歴史的に、副大統領は大統領候補の特徴を補うために選ばれる。そのため、選挙戦略に詳しい人たちは、ハリス氏が激戦州出身の白人男性を選ぶのではないかと考えている。
副大統領候補として名前が挙がっていると報じられている人物を、アンソニー・ザーカー北米担当編集委員の分析と共に紹介する。
ジョシュ・シャピロ ペンシルヴェニア州知事

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ハリス氏はペンシルヴェニア州で勝たなくてはならないというのが、大方の見方だ。そして、同州の知事でカリスマ性あふれるシャピロ氏は、バラク・オバマ元大統領と比較されるほど演説が上手な政治家だ。
指名されて勝利すれば、シャピロ氏はユダヤ系初のアメリカ副大統領になる。地元では、共和党支持層の一部がすでにシャピロ氏支持に回っている。
シャピロ氏は、2022年に当選して以来、高い支持率を維持している。同州は2020年大統領選ではバイデン氏が勝ったが、2016年にトランプ氏が僅差で勝利した激戦州でもある。
昨年には、フィラデルフィアの主要幹線道路で崩落した橋を迅速に再建したことで、全米で話題となった。これは、初当選の知事にとって大きな政治的勝利となった。
橋を素早く修復した成果は、2028年の大統領候補として有力視されているシャピロ知事にとって、インフラ整備の重要性を主張する際の、うってつけの論点になると大勢に評価された。
ザーカー評:シャピロ氏は、ハリス氏にとって重要な、もしかすると最も重要な州を確保するのに、貢献できるかもしれない。
しかし、シャピロ氏はガザ戦争をめぐりイスラエルを公然と支持し、ペンシルヴェニア州での学生デモを批判してきた。このことは、ハリス氏が避けたい民主党内の分裂を招くかもしれない。
ティム・ウォルズ ミネソタ州知事

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60歳のウォルズ氏は、2018年の州知事選で当選するまでの12年間、連邦議会の下院議員を務めた。
同州ミネアポリスで2020年5月に黒人男性ジョージ・フロイドさん(当時46)が白人警官に首を膝で押さえつけられて死亡した事件では、大規模な抗議デモに対処するために州兵を派遣した。州知事としての力量は、この時に全国的に脚光を浴びた。
政界入りする前には、州兵を20年間務めた。その間に高校で社会科や地理を教えたり、高校フットボールのアシスタントコーチを務めたりした。
CNN番組でハリス氏の副大統領を務める意向があるか質問されると、ウォルズ氏は「国の利益にとって最善なことをする」と答えた。実際に、候補者を検討してその「身体検査」を担当しているハリス氏のチームから関連資料を受け取っているかと聞かれると、確答を避けた。
ザーカー評:民主党が優位のミネソタ州そのものは激戦州ではないが、ウォルズ知事は「中西部の小さい町」らしい感覚の持ち主として、党派性を超えて広く有権者にアピールすることができる。
左派の政治家でありながら、その率直な物言いと宗教的な信念から、穏健中道派のような存在感を得ている。
(編集部注:ウォルズ知事の名前のカタカナ表記について、当初は「ウォルツ」としていましたが、本人や家族の発音を確認し、「ウォルズ」に変更します)
マーク・ケリー上院議員(アリゾナ州選出)

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海軍の戦闘機パイロット出身で元宇宙飛行士のケリー氏は、実践的な行動派として評価されている。それだけでなく、不法移民対策には強い姿勢で臨み、時にはバイデン政権を批判してきたため、保守派でも共和党支持で固まっていない浮動層には支持しやすい候補かもしれない。
ケリー上院議員はさらに、2011年にアリゾナ州で起きた銃乱射事件で重傷を負ったギャビー・ギフォーズ元下院議員の夫でもある。ギフォーズ元議員はその後、銃規制を推進する運動にとって重要な存在となっている。
民主党にとって、銃問題は主要課題のひとつだ。それだけに、ケリー氏の個人的な経験は、有権者の共感を呼ぶ可能性がある。
ザーカー評:ケリー氏は、民主党が是非とも確保したい州の出身だ。
一方で、ケリー氏の指名は将来の課題につながるかもしれない。もしもケリー氏が副大統領となれば、その上院議員としての任期が満了する2026年に特別補選が行われる。その時点で民主党は、アリゾナ州選出の上院議員の議席を維持するために闘わなくてはならない。
アンディー・ベシア ケンタッキー州知事

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ベシア州知事は、保守色の強いケンタッキー州の民主党指導者として、成功を収めてきた。同州は2020年の中間選挙で、25ポイント以上の差をつけてドナルド・トランプ前大統領を選んでいる。
2019年に知事に初当選し、2023年に再選。公共教育の支援やリプロダクティブ・ライツ(生殖に関する権利)といった民主党の主要課題を推進している。
副大統領候補として名前が挙がっている中では最も若く、共和党候補とのジェネレーション・ギャップを強調することができる。
また、キリスト教の信仰と、それが自分の性格や仕事に与える影響について、臆せず公言しているため、ハリス氏の手が届かない一部地域で、有権者を引き付けられるかもしれない。
ベシア氏も、ジョージア州で記者団に、ハリス氏のチームから関連資料を受け取っているかと聞かれたが、確答を避けた。
ザーカー評:ベシア氏は、共和党支持者が多数を占め、2020年にはトランプ前大統領が圧倒的に得票した州でも、巧みに支持を得られると明した。
しかし、同氏の人気には、かつてケンタッキー州で人気だった元知事の息子という要素も含まれている。それだけに、その人気は全国的に再現できないかもしれない。
ピート・ブティジェッジ運輸長官

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ピート・ブティジェッジ運輸長官が大統領を目指しているのは、周知の事実だ。
ブティジェッジ氏は2020年大統領選に出馬。その後は、バイデン政権の高官として、特にコミュニケーション能力に優れた一人として、しばしば称賛されている。
ブティジェッジ氏は運輸長官として、国民にとっての危機的事態にいくつか対応してきた。
2022年に発生したイースト・パレスティーンでの鉄道脱線事故や、メリーランド州ボルティモアでの橋崩落事故、米サウスウエスト航空のスケジュール危機などで、連邦政府の対応を指揮した。
ブティジェッジ氏はX(旧ツイッター)で、バイデン氏は「アメリカ史上最高の、そして最も影響力のある大統領の一人に数えられる」と述べた。
そして、「カマラ・ハリス氏を次期大統領に選出するために、できる限りのことをする」と述べた。
ザーカー評:ブティジェッジ氏は2020年の民主党の大統領候補戦で脚光を浴び、予想外のスターになった。その人気は今も続き、忠実な支持者を得ている。
保守派FOXニュースのように、リベラルにとっては「敵地」と言える場でも、ブティジェッジ氏は民主党の重要メッセージを巧みに説明し、擁護してみせる。そのコミュニケーション能力は、ハリス氏の伴走者として有用なスキルかもしれない。
ロイ・クーパー ノース・カロライナ州知事

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クーパー州知事は、2016年と2020年の2度にわたって大統領選でトランプ氏が勝利したノース・カロライナ州で、大きな成功を収めた民主党議員だ。
クーパー氏は1987年から公職に就いており、人気と共に豊富な知識も持ち合わせている。
2017年に州知事に初当選、2020年に再選を果たした。
また、ハリス氏とクーパー氏は二人ともそれぞれの州で司法長官を務めた経験があり、長年の友人でもあるため、その相性には問題がないはずとされている。
しかしクーパー氏については複数のメディアが、7月下旬に自ら候補から外れたと報じている。
BBCがアメリカで提携しているCBSニュースによると、クーパー氏はハリス陣営に対し、自分が選挙運動のために州を離れた場合、物議を醸しているマーク・ロビンソン副知事が責任者となるため、それは問題になるという意向を「自分から先に伝えた」という。
J・B・プリツカー イリノイ州知事

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イリノイ州のJ・B・プリツカー知事は、トランプ氏を攻撃し、バイデン氏を擁護することで、近年知名度を高めている。
ハイアット・ホテル・チェーンの後継者として、富豪の実業家という経歴を持つ。トランプ氏に対する批判を、ソーシャルメディアに次々と投稿することで注目されている。
6月末の討論会後、プリツカー氏はトランプ氏を「嘘つき」と呼び、トランプ氏は「34件の有罪判決を受けた重罪犯で、自分のことしか考えていない」と述べた。
ウィトマー氏と同様にプリツカー氏も、中絶の権利や銃規制などについて、民主党の進歩的な課題を次々と達成してきた実績がある。
プリツカー氏も、ABCの番組に出演した際、副大統領候補として審査を受けているのかという質問への確答を避けた。
ザーカー評:シカゴの人らしい率直な物言いが、プリツカー氏の政治に「普通の人」らしい説得力を与えている。
しかし、ハリス氏がリベラルなカリフォルニア州出身なだけに、同じように民主党色の濃いイリノイ州出身のプリツカー氏では、アメリカ中西部の激戦州で有権者に十分アピールしづらいかもしれない。
その他の候補者
民主党は多くの人材を抱えているため、潜在的な候補者のリストは、これらの民主党員以外にも広がっている。
メリーランド州知事のウェス・ムーア氏は、同州ボルティモアのフランシス・スコット・キー橋の崩壊事故以来、このところ注目されている。
エイミー・クロブシャー上院議員とコーリー・ブッカー上院議員は、過去に大統領選に出馬した経験があり、民主党員の間でも知名度があるため、しばしば名前が挙がる。
ジョージア州上院議員のラファエル・ウォーノック氏も、激戦州で接戦を制した実績がある。
ウィリアム・マクレイヴン退役海軍大将(68)は、2011年に国際テロ組織「アルカイダ」創設者の故オサマ・ビン・ラディン容疑者を殺害した特別作戦を指揮したことで、ワシントンでの評価を確実なものにした。近年は、特に国家安全保障問題でトランプ氏を声高に批判し、バイデン大統領の強力な支持者として注目されるようになった。
ミシガン州で知事を2期務めるグレッチェン・ウィトマー氏は、中西部で人気が高まっている民主党政治家で、2028年大統領選への出馬が広く予想されている。副大統領候補として一時名前が挙がったものの、自分はミシガン州を離れる予定はないと記者に話した後、29日朝にはCBSの番組で、自分は検討対象になっていないと言明した。











