トランプ米大統領、テキサスの洪水被災地を視察 行方不明者160人の捜索続く

画像提供, Reuters
アメリカのドナルド・トランプ大統領は11日、テキサス州中部を4日未明から襲った洪水で少なくとも121人が死亡したことを受け、特に被害の大きかったカーヴィルの住民を前に、連邦政府が復興を支援すると約束した。他方、現地報道では警報のタイミングを疑問視する声が出ている。
トランプ大統領とメラニア夫人は同日、現地で地元当局者と面会したほか、横転したトレーラーの前に立つなどした。被災地を視察した後、トランプ氏は「こんな光景は見たことがない」と話した。
トランプ大統領は、カーヴィルの青少年センターで開かれた集会で、「私とファーストレディは、国全体の愛と支援、そして悲しみを伝えるためにここに来た」と述べた。
普段はあまり目立つ行動をとらないメラニア夫人も被災地を視察した。犠牲者の家族と抱き合い、祈りを捧げたとのだと夫人は話し、「美しい若い命を失ったすべての親御さんに、心からお悔やみを申し上げます。私たちは皆さんと共に悲しんでいます。国全体が皆さんと共に悲しんでいます」と述べた。また、被災地を必ず再訪すると約束した。
州当局によると、州全体で161人が行方不明で、ボランティア1万2300人以上が1日10時間体制で捜索作業を続けている。
当局は、「全員の所在が確認されるまで決して手を緩めない」としている。
「これは巨大な作戦で、日々拡大している」と、救援団体ヒール・コープスの医療担当ラジーヴ・フェルナンド氏はBBCに話した。
「大量のがれきが、何キロも何キロも下流へ遺体をどんどん押し流してしまう。なので毎日のように新しい情報が入ってくるので、我々の活動範囲も毎日のように拡大している」のだと、フェルナンド氏は説明した。
大雨が引き起こした鉄砲水のため、グアダルーペ川沿いにある18のサマーキャンプが被害に遭った。そのひとつ「キャンプ・ミスティック」では少女27人が死亡した。
今回の甚大な悲劇を受けて、適切な警報が出されていたのか、またなぜキャンプ場にいた人たちが事前に避難しなかったのかについて、疑問の声が上がっている。
トランプ大統領は、住民への警告が遅すぎたのではないかと遺族から声が出ているがそれにはどう答えるかと質問した記者に対し、「そんな質問をするのは悪人だけだ」と述べ、取り合わなかった。
トランプ氏はさらに、捜索隊の活動は「英雄的」だとたたえ、逆にただ座ったまま、何か違うことをしていたらどうなっていたかなどと話すのは「簡単」なことだと一蹴した。
大雨のためグアダルーペ川をはじめテキサス丘陵地帯の複数の河川は、4日未明に急速に増水した。グアダルーペ川の水位はわずか45分で約8メートル上昇した。川沿いのサマーキャンプでは、子どもたちや職員が眠っていた最中に気象警報が鳴り始めた。
複数の専門家は、鉄砲水の発生時間が夜明け前だったこと、被害に遭った一部の住宅の立地、携帯電話の不安定な通信状況、洪水の速度や激しさなど、複数の要因が重なり、甚大な被害につながったと指摘している。
警報のタイミングは
トランプ大統領の現地入りに先立ち、米ABCニュースの系列メディア「テキサス・ニュースルーム」を皮切りに複数の米メディアが、洪水緊急警報のタイミングについて疑問視する報道をしている。
複数の米メディアが入手した音声記録によると、カー郡の住民に対して緊急洪水警報を送信できないかとテキサス州の消防士が郡当局に要請したのは、最初の警報が発信される約1時間前のことだった。
消防士は7月4日午前4時22分、「コードレッド(緊急)警報を発令できないか」と問い合わせている。これに対し、通信指令員は「上司の承認が必要だ」と答えている。
報道によると、一部の住民が警報を受け取ったのはその約1時間後で、他の住民に届いたのは最大6時間後だったという。
警報の遅れについて問われたカー郡のラリー・リーサ保安官は、時系列を整理しているところだと答えた。
通信記録で消防士は、次のように話している。
「州道39号線のグアダルーペ・シューマッハ標識が水没している。(カー郡)ハント地区の住民に対してコードレッドを発して、高台に避難するか自宅に留まるよう促す方法はないか」
これに対し、通信指令員は「待機してください。上司の承認が必要です」と答えている。
このやりとりを最初に報じた「テキサス・ニュースルーム」によると、一部の住民はこのやり取りから約1時間後にコードレッド警報を受け取ったという。
「テキサス・ニュースルーム」によると、最も早い時点での発令が確認できた警報は午前5時34分だった。カーヴィルのジョー・ヘリング市長は、90分間は警報を受け取らなかったと地元紙テキサス・トリビューンに話している。
複数の報道機関によると、午前10時を過ぎてからようやく警報が届いたケースもあった。
緊急警報の遅れについて問われたリーサ保安官は9日に記者会見で、「最初に通知を受けたのは午前4時から5時の間だった」と述べ、「現在、時系列の整理を進めている」ものの、「それには少し時間がかかる」と説明した。
保安官は、「それは現時点で、最優先事項ではない」と述べ、現在は行方不明者の捜索と犠牲者の身元確認に注力していると述べた。
川沿いで続く捜索
キリスト教系支援団体「アップストリーム・インターナショナル」の創設者ジョー・リゲルスキー氏は、遺体捜索の特別訓練を受けた捜索犬を使い、グアダルーペ川沿いでがれきの中を捜索するチームを率いている。
「今ここに、こうした犬が何頭いても足りない」。捜索犬「ロケット」と活動にあたるリゲルスキー氏は、BBCにこう話した。
「アップストリーム・インターナショナル」の共同創設者でもある妻サミ・リゲルスキー氏は、がれきの中に散らばった遺留品を拾い集めていた。
サミ氏は木に絡まっていた子どものネックレスをほどき、カタツムリの絵が描かれた赤ちゃん用のカップを拾い上げ、「JOY(喜び)」と書かれたクッションを見つけた。サミ氏はこうした遺留品の写真と説明を、「Found on the Guadalupe River(グアダルーペ川で見つかったもの)」というフェイスブックグループに投稿し、持ち主が名乗り出たり、行方不明者の身元確認に役立てたりできるようにしている。
「あまりに大きい出来事の中で、これは本当に小さなことかもしれないけれども、誰かの子どもがこれで遊んでいたんです」と、サミ氏は赤ちゃん用のカップを手にして話した。












