米国務長官、ガザで「子供の犠牲者あまりにも多い」 軍事衝突後4回目のイスラエル訪問

アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官

画像提供, EPA

アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は9日、パレスチナ自治区ガザ地区におけるイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘について、ガザ地区の民間人犠牲者が「あまりに多すぎる」と述べた。

ブリンケン氏は訪問先のイスラエルで、「日々のガザ地区の民間人の犠牲、とりわけ子供たちの犠牲があまりに多すぎる」とした。

また、イスラエルは障壁を取り除き、ガザ地区に不可欠な援助がより多く届くようにする必要があるとした。

一方で、イスラエルはガザ地区の民間人の中に紛れ込んでいるハマスとの戦いで大きな困難に直面しているとも述べた。

ブリンケン氏の発言は、イスラエルの指導者たちとの会談後のもの。同氏がイスラエルを訪問するのは、ガザ地区での戦闘が始まってから4回目となる。

昨年10月7日のハマスの奇襲では、イスラエル側で約1200人が殺害され、約240人が連れ去られた。イスラエルのガザ地区への報復攻撃ではこれまでに、女性や子供を中心に2万3000人以上が殺害されたと、ハマスが運営するガザ地区の保健省は発表している。

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米外交トップのブリンケン氏は、イスラエル・テルアヴィヴでの記者会見で、現地の「悲惨な人道的状況」に対するアメリカ側の懸念を、この地域の指導者たちは共有していると語った。

しかし、この3日間で、イスラエルの近隣諸国から新たに力強いメッセージを受け取ったとし、これらの国々がイスラエルと共存するだけでなく、イスラエルを含むすべての人が安全に暮らせるように同地域をまとめることを望んでいると、ブリンケン氏は述べた。

この発言からは、ハマスによるイスラエルへの攻撃で頓挫(とんざ)したかに見えたイスラエルとの外交関係正常化の話が、交渉のテーブルに上がっていることがうかがえる。

そのためには、イスラエルが「パレスチナの政治的権利とパレスチナ国家の実現に向けた明確な道筋」に同意することを含む、いくつかの難しい決断と難しい選択が必要になると、ブリンケン氏は述べた。同氏はこうした同意が長期的な和平のために不可欠だとしている。

イスラエルがこのようなことを検討する可能性があるかどうかについて、ブリンケン氏は言及しなかった。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はこれまで、安全保障上の懸念を理由にパレスチナ国家の樹立に断固反対すると表明している。

紛争拡大を懸念

イスラエルがガザ地区での軍事作戦を緩めているかどうかを示す何らかの証拠があるのかと問われると、ブリンケン氏は、イスラエル人を含め、この地域の誰も紛争のエスカレートは望んでいないと答えた。

この発言は、紛争が拡大することを心配する多くの人にとっては安心材料かもしれない。しかし、イスラエルが近いうちに軍事作戦を縮小するとブリンケン氏に伝えたことを示すものは何もない。

ここ数週間、イスラエルの隣国レバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラは、イスラエル北部へのロケット弾の発射を増やしている。アメリカはヒズボラをテロ組織に指定している。

他方、イエメンの武装組織フーシ派は、世界で最も重要な貿易ルートの一つである紅海で、商業船を攻撃している。

フーシ派はイランから支援を受けている。イランが同様に支援するイスラム組織ハマスとイスラエルがガザ地区で戦争状態にあるため、フーシ派はイスラエルと関係のある船を紅海で標的にしていると主張していた。

ヒズボラとハマスも、イランの後ろ盾を受けている。

パレスチナ人への対応は

9日に行われたブリンケン氏とイスラエル側の会談では、具体的な成果がまったくなかったわけではない。ガザ地区北部の地域にパレスチナ人を帰還させるための第一歩となる「評価ミッション」を国連が実施する計画について、アメリカとイスラエルが合意したと、ブリンケン氏は発表した。同地区北部はイスラエル軍の攻撃で壊滅状態となっている。

しかしブリンケン氏はこれについても、パレスチナ人の帰還は「一夜にして」実現するものではないと警告。不発弾や仕掛け爆弾の除去や、インフラ整備など、やらなければならないことがあまりに多すぎるとした。

南アフリカ政府が昨年末に、イスラエルがガザ地区で「ジェノサイド(集団虐殺)行為」を繰り広げているとして国際司法裁判所(ICJ)に対応を要請したことについては、「メリットがない」と述べた。

それでも、「日々のガザ地区の民間人の犠牲、とりわけ子供たちの犠牲があまりに多すぎる」とした。

ブリンケン氏は、ガザ人口の90%が深刻な食料不足に直面し続けているという国連データを引用し、「子供たちにとって、十分な食料がない状態が長引けば、その影響が一生続く可能性がある」と付け加えた。

「より多くの食料、より多くの水、より多くの医薬品、そしてそのほかの必需品をガザ地区に届ける必要がある。そして、それらがガザ地区に入ったら、必要としている人々にもっと効果的に届ける必要がある」

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【訂正】2024年2月13日:この記事は発表当初、ハマスは昨年10月7日のイスラエル攻撃で約1300人を殺害したと伝えていましたが、これは当日殺害された約1200人に、負傷のため後日亡くなった方々を含めた人数でした。このため記事本文を修正し、当日殺害された人数を「約1200人」にあらためました。この人数について、イスラエル政府は確定的な人数ではないと説明しています。